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計測技術研究

大型ヘリカル装置(LHD)の計測機器は約60種あり、基本的に計測実験棟において研究開発を進め、計測法が実 証されたものについて順次LHD装置に計測器を設置しました。その結果、第1-19サイクルのLHD実験において 既に豊富な計測データを得ており、物理解析の進展に貢献しています。第19サイクルより開始した重水素実験では、

水素同位体の質量効果や高エネルギーイオンの閉じ込め物理の解明に役立つ計測機器の開発を期待しています。

特に具体的な研究課題として以下のものが挙げられます。

1)干渉計

LHDの電子密度計測器としてミリ波干渉計、遠赤外レーザー干渉計の2種類の干渉計を併用することによって信頼

性の高い電子密度計測を行います。ミリ波干渉計では、LHD本体まで往復約100mのビーム伝送となっています。こ の長い伝送部における機械的な変動の影響を取り除くために、285GHz /140GHzの2波長干渉計を採用しています。

遠赤外レーザー干渉計は、波長 119μm のCH3OHレーザーを光源に採用し、上下ポートを用いたマイケルソン型干 渉計で13コードを有しています。上部の反射鏡と下部の干渉光学系を一体化するために高さ20mの光学架台を採用 し、機械的振動の影響を低減しています。また、プラズマ周辺部の詳細な電子密度分布の計測、ペレット入射による 高密度プラズマの計測を目的とした80ch炭酸ガスレーザーーイメージング干渉計が稼動しています。炭酸ガスレーザ ーを用いた2次元位相コントラスト法を併設し、電子密度乱流揺動の空間分布計測も可能です。これらの計測の高性 能化を目指した開発研究、およびこれら計測を用いたMHD、輸送研究への共同研究参加を期待します。

2)トムソン散乱計測

横長主半径に沿った200点からの電子温度・密度分布を10-100Hzの繰り返しで測定可能なレーザー散乱装置を常時 稼動しています。本装置には、LHDプラズマの高性能化に対応した測定温度・密度領域の拡大と測定精度の向上、LHD 重水素実験やITERなどの将来の核融合実験装置のためのその場較正法の確立など、すべきことがたくさんあります。

共同研究の課題として、①測定温度領域の拡大、②測定精度の向上、③その場較正のための2波長化、などを考えて います。

3)ECE

LHDでは外側ポートにアンテナを使いECE測定を行っていますので、中心を除くトーラス外側赤道面での電子温 度の空間分布、各点での時間変化が計測できます。低周波ラジオメーターは54~86GHz(ただし70GHz、77GHz、83GHz を除く)を、高周波ラジオメーターは114~150GHz(ただし132GHzを除く)を1GHz刻みで測定しています。同時 に、ヘテロダインのIFを高速デジタイザーにて直接サンプリングするデジタル分光方式も部分的に行っています。ま た、既存のECE計測とは別の視線でECEイメージングを開発導入しています。従来型ECEのデータ処理、データ解 析、ハードウェア整備に加え、イメージング用のマイクロ波光学や画像処理技術も含めて広く共同研究に参加される 方を募ります。

4)VUV分光

VUV領域においても、斜入射分光器を用いて真空紫外・軟エックス線領域のスペクトルを常時計測しており、不純 物の振る舞いについての貴重な知見が得られています。鉄や炭素などの元々存在する不純物ラインだけでなく、ペレ ットやレーザーブローオフにより人為的に導入された不純物からのスペクトルを計測することも可能で、不純物輸送 研究だけでなく、原子物理学的な基礎研究にも活用されています。現在稼働している Schwob-Fraenkel 型斜入射分光 器の測定波長領域は、1 nmから150 nmに及びます。この分光器は重水素実験においても稼働する見込みです。広く 共同研究に参加される方を募ります。

5)分光計測一般

分光計測一般として下記のような計測機器を用いることによりさまざまな研究が可能であり、興味を持たれる方の 共同研究を募集します。

(a) 可視分光

・Hα分光(横長ポロイダル、縦長ポロイダル及びトロイダル分布計測)

・分布計測用3m直入射分光器(300-3000Å域にあるスペクトル線強度、イオン温度等の空間分布計測)

・分布計測用EUV分光器(100-40Å域にあるスペクトル線強度の2次元空間分布計測)

(c) X線分光

・マルチチャンネルX線結晶分光器(アルゴン、チタン、クロム及び鉄のX線スペクトルを観測可能。X線スペクト ルとともに中心部イオン温度及びトロイダル回転速度を計測中)

(d) Zeff計測

・干渉フィルターと光電子増倍管を用いた高速の可視域制動放射光分布計測

・可視分光器を用いた制動放射及びZeff空間分布計測 (e) 不純物ペレット入射装置

・不純物ペレット(カーボン等)を用いた粒子輸送研究

・各種不純物ペレットを用いた分光学的研究

・炭素ペレットを用いた分布制御と高イオン温度放電制御

6)重イオンビームプローブ

ヘリカル系プラズマの閉じ込め特性に重要な役割を果たしていると考えられている電位分布の計測法として、また 局所的な静電揺動の計測法として重イオンビームプローブ(HIBP)の開発を進めています。HIBPによりコアプラズ マの電位分布計測が可能となっており、電位分布と輸送の関連を調べる実験を展開する予定ですので、この分野に興 味をお持ちの方の応募を期待しています。また、計測装置としての高性能化(高精度化、揺動計測への対応、高密度 プラズマへの対応など)のためのハードウェアの開発も進めています。具体的には Au-やCu-などの負イオン源の開 発(スパッタ型イオン源の高出力化・長寿命化・安定化)、高エネルギー重イオンの高精度位置検出器、ビームライ ン制御手法などの開発も行っています。これらの要素技術開発の共同研究も募集いたしております。

7)荷電交換分光(CXS)、高速イオン荷電交換分光(FICXS)、モーショナルシュタルク分光(MSE)、ビーム輻 射分光(BES)

計測用の中性粒子ビームを利用して荷電交換分光(CXS)を行います。プラズマ中の炭素と中性粒子ビームとの荷 電交換反応を利用して、精度の高いイオン温度計測、プラズマ回転計測を行います。プラズマ回転から得られた電場 分布を求め、電場分布から最外殻磁気面を推定しています。

高速イオンのエネルギースペクトルと空間分布を計測するために、高速イオン荷電交換分光(FICXS)システムを 導入しました。このシステムにより、捕捉高速イオンの空間分布が計測で、閉じ込め磁場配位と高速イオンの閉じ込 めとの関係が研究できるようになりました。

ヘリウムと水素の比の空間分布を計測するために、二波長同時分光システムを導入しました。このシステムにより、

ヘリウムと水素の密度比の空間分布計測が可能となり、粒子閉じ込めのイオン種依存性が研究できるようになりまし た。

ヘリカル装置ではオーミック電流はありませんが、中性粒子ビーム駆動電流により特にプラズマ中心部の磁気シア は真空の磁気シアから大きく変化します。それ故に、ヘリカル装置においてもトカマクと同様に内部ポロイダル磁場 の計測は重要です。現在、モーショナルシュタルク効果(MSE)分光による回転変換角度分布の計測を行っています。

磁気シアと磁気島及びストキャスティック領域の出現についても興味深い結果が得られています。

プラズマ内部の揺動計測の為にビーム発光分光(BES分光)を開発しています。この揺動計測では、輸送に寄与し ているマイクロ揺動(短波長揺動)ではなく、非局所輸送において重要な役割を担っていると思われるメゾスケール 揺動(長波長揺動)を研究する予定です。

8)中性粒子分析装置

現在、中性粒子分析装置に関しては電磁場型のCNPAがLHDに設置されています。この分析装置はチャンネルト ロンを用いた検出器で、LHDに対して垂直視線で設置され0.1msの時間分解能、0.8から160keVまでの40エネルギ

ーチャンネルで検出できます。また不純物ペレットとの組み合わせによる荷電交換粒子計測も可能です。プラズマ小 半径方向の高エネルギー粒子分布の計測を通じて高エネルギー粒子の閉じ込め、ロスコーンの様相、イオンサイクロ トロン等の加熱分布の研究、α粒子計測シミュレーション実験研究などを進めています。この分析器は重水素対応に するため中性子ならびにガンマ線に対する十分な遮蔽が施されています。また偏向電圧を変えることにより水素・重 水素比の測定もある程度可能です。興味をもたれる方の参加を期待します

9)軟X線揺動測定器

多チャンネル軟X線検出器アレイは、LHDプラズマのMHD平衡、MHD安定性ならびにプラズマ輸送関連の研究 に有用な簡便な計測機器として有効に活用されてきました。重水素実験時には、従来型の半導体を使用した計測装置 を、シンチレータを使った耐中性子特性を持つ新システムに更新しています。プラズマ断面を10本程度の視線で観

測し、100kHzまでの周波数特性をもつ新しい軟X線揺動測定器システムが稼働する予定です。これを用いて

(a) 高速イオン駆動MHD不安定性や高ベータ領域でのMHD不安定性の研究

(b) 不純物蓄積と排出など不純物輸送の研究

(c) 密度、温度パルス伝搬などの摂動輸送の研究

(d) 磁気島やストキャスティック層の研究

などを引き続き推進します。これらの課題に対し実験及び理論の両面からの共同研究を期待します。

10)ボロメータ

LHDでは、世界的に広く用いられている金属薄膜ボロメータ(4アレイ)を用いての全輻射損失量及び輻射損失量 分布の評価を行っています。さらに、NIFSで新規に開発した赤外線カメラを利用した2次元IRボロメータによる輻 射損失量の2次元分布計測も行っており、ボロメータ全体として計500チャンネル以上での計測を行っています。こ れら多数のボロメータを用いて、非接触ダイバータ、密度限界、不純物蓄積、ヘリカル型装置に特有の3次元構造を 伴う非対称放射崩壊現象などに関する研究を精力的に行っています。また、高い耐放射線性能を有する半導体ボロメ ータの開発研究を推進しています。これらの テーマへの共同研究参加を歓迎いたします。

11)中性子及び高エネルギー粒子計測

LHDにおける高エネルギー粒子閉じ込め研究のための高性能中性子・ガンマ線計測器の要素開発、システム設計、

関係するソフトウェア開発、及び高エネルギー粒子計測開発等に関する共同研究を行います。例としては、

(a)中性子・ガンマ線プロファイル測定のためのシステム設計及び開発

(b)高計数率対応の中性子スペクトロメータの開発

(c)指向性のある高速中性子検出器の開発

(d)損失高エネルギーイオン計測法の開発

(e)高エネルギー中性粒子計測法の開発

などで、これらの計測器を用いた以下のような実験計画検討も合わせて行います。

(f)高エネルギーイオン閉じ込め研究提案、特にMHD不安定性に起因する損失機構の解明に向けた研究

(g)ヘリカル系での核融合反応生成荷電粒子軌道に関わる研究

(h)ヘリカル系における中性子輸送に関わる研究

上記以外にも中性子・高エネルギー粒子計測開発やアルファ粒子シミュレーション実験に関わる新しいアイデアの