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第 5 章 主成分分析を用いた脳波から 肩関節のトルクの推定肩関節のトルクの推定

5.2 実験設計

5.2. 実験設計 48 らの研究は脳の無意識的な準備活動を示すものであり,その準備活動は意識的な 行動を実行する1 s前もしくは1s後に始まる.また,脳損傷の患者らからはこの 類似した負の成分も発見された.

iii.EEGと運動準備及び実行に関係ある事象関連脱同期(ERD)の報告があ

る [91]. この研究では反対側の一時運動野で,μ 波と β 波(8-30 Hz)のパワース

ペクトルの減少を確認した.

iv.BaiらはERDの分析に基づいて,自分のペースでの手首運動の開始が実際 の運動前平均0.62± 0.25 sに検出した [92].

v.Awwad Shiekh Hasanらの研究 [93] [94]では μ,β と γ(0-45 Hz)周波数 領域の脳波信号を用いて,自分のペースでの手首の伸展運動の開始動作の検出を 行った.

次に,計測部位や解析用の電極の数や位置などを表5.1にまとめた.

表 5.1: 調査結果のまとめ

参考文献 解析用電極位置 周波数領域 動作

[95] C3 C4 P3 P4 8-30 Hz 中指動作の想像

[96] C3 C4 16-18 Hz 両手と足の動作の想像

[97] F3 F4Fp1 15-19 Hz 上肢,把持

[98] 64チャネル 0.01-1 Hz 上肢(肘),把持

[99] 64チャネル 0.01-1 Hz 上肢(肘)伸展/屈曲

[100] 5チャネル 25-28 Hz カーソルの制御

[101] FC3 FC4 C3 C4 CP3 CP4 µ FES 肘伸展/屈曲

[102] 27チャネル 全帯域 カーソルの制御

[103] 15チャネル 全帯域 カーソルの制御

[104] 21チャネル 1 Hz以下 手と肘の移動

[105] F3 F4 C3 C4 P3 P4 O1 O2 0-70 Hz 手の閉め,腕の屈曲

[106] 16チャネル 0.2-1 Hz 腕の到達運動

[107] C1 Cz C2 CP1 CPz CP2 0.1-1 Hz 腕の到達運動

空間分解能を上げるため,64点などの大量の計測点を導入している研究が多い.

しかし結果として,解析用の計測点は数個,あるいは十数個しかない.入力として の計測点が多すぎると,回帰のオーバーフィッチング問題が起こりやすく,計算の 負担も増えるため,計測の電極の数を減らしたい.調査結果を図で表すと,図5.2 のようになる.ここで色が濃いほどよく計測されており,かつ成功した計測点で

5.2. 実験設計 49 ある.その結果と眼球運動や眼電位などのアーチファクトになりやすい計測点を 除いて,計測点を決定した.それは前頭葉のFz,頭頂葉のC3,C4,CP1,CP2, と後頭葉のO1,O2 であり,それぞれ耳朶との差動増幅を行った.

Nz

F9

Fp1 Fpz Fp2

AF7 AF3 AFz AF4 AF8 F7 F5 F3

F8 F10 F4 F6

F2 F1 Fz

FT9 FT7 FC5 FC3 FC1 FC2 FC4 FC6 FT8 FT10 A1 T9 T7 C5 C3 C1 Cz C2 C4 C6 T8 T10 A2

TP9 TP7 CP5 CP3 CP1 CPz CP2 CP4 CP6 TP8 TP10 FCz

P9 P7 P5 P3

P8 P10 P4 P6

Pz P2 P1

PO7 PO3 POz PO4 PO8 O1 Oz O2

Iz

図 5.2: 関連研究の計測点のまとめ

5.2. 実験設計 50

5.2.2 タスク設計および計測内容

図5.3のようにリラックスした状態でヘッドキャップを装着した.下肢の動作の 影響を回避するために,椅子に座り実験を行った.被験者は外骨格ロボットを装着 し,開眼状態で,15秒以内に肩の屈曲と伸展運動を行う.実験タスクとして,15 秒間の間に

ˆ 安静状態

ˆ 90°までの屈曲

ˆ 約2秒間の維持動作

ˆ 最初の位置に戻る伸展動作

が含まれる.また,筋肉の疲労を回避するために,一連の動作終了後に,15秒の休 み時間を挟んでいる.その後,また任意のタイミングで(随意動作のため)動作を 行ってもらう.以上の実験タスクを繰り返し,計15試行を実行した.この時脳波 信号と筋電信号をインタフェイスボード(HRP Interface Board 07-0003-1, ZUCO.

Co.)を用いて同時に計測し,記録した.脳波の記録にはg.tec社製のg.BSamp増 幅アンプを使用し,サンプリング周波数を1000 Hz,バンドパスフィルタの通過

帯域を0.5-1000 Hzに設定した.筋電は肩関節の三角筋前部を計測点として計測を

行い,右手首をボディーアースとした.筋電の記録にはDELSYS社製の増幅アン プ(Bagnoli Handheld EMG System)を使用し,設定はバンドパスフィルタの通

過帯域を20-450 Hz,増幅倍率は1万倍とした以外は脳波計測と同条件とした.な

お,本研究では日常生活でのBMIの利用を目的とするためシールドルームは設け ていない.

5.2. 実験設計 51

Electrode for EMG Head Cap

Fz

A2 (Ref)

C3 C4

G

G

EMG and EEG Amplifier Computer

(Linux with Interfaceboard)

Cp1 Cp2

O1 O2

Relax Flexion and Keep Extension and Relax (a)

(b)

図 5.3: 脳波と筋電の計測タスク