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第 7 章 独立成分分析による肩関節の 屈伸運動時の特徴の抽出屈伸運動時の特徴の抽出

7.4 実験結果

7.4. 実験結果 90

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

4 3

8 7 5 6 1 2

7 6 4

8 2

4 5 3

7 6 1

5 2 3

8 1

0.5

0.5

0.5 Scale

Scal e

Scale time/s

(a)

time/s (b)

time/s (c) IC

IC

IC

図 7.3: 被験者の三人のICAの結果

7.4. 実験結果 91

IC8

0.039

-0.079 0 -0.039 0.079

20 60 40

0.01 -0.009

IC6

0.023

-0.047 0 -0.023 0.047

20 60 40

0.01 -0.02

IC4

20

0.041

-0.081 0 -0.041 0.081

60 40

0.02 -0.02

IC2

20 60 40

0.07

-0.14 0 -0.07 0.14

0.03 -0.03

IC7

20 60 40

0.021

-0.041 0 -0.021 0.041

0.01 -0.01

Trial No.

IC1

20 60 40

0.15

-0.29 0 -0.15 0.29

0.2 -0.2

Trial No.

0

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000 0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

IC3

20 60 40

0.042

-0.084 0 -0.042 0.084

0 0.02

-0.02

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

IC5

20 60 40

0.033

-0.066 0 -0.033 0.066

0 0.01

-0.02

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

Trial No. Trial No.Trial No.Trial No.

/mV /mV

/mV /mV

/mV /mV

/mV /mV

図 7.4: 被験者Aの各実験における各独立成分の波形

7.4. 実験結果 92

0 1000

-1000 0.08 -0.09

0.1

-0.21 0 -0.1

80 0.21

60 40 20

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.7 /mV

2000

IC2

Trial No.

IC1 /mV 20 60 40 80

0 1000

0.04 -0.04

-1000

0.1

-0.21 0 -0.1 0.21

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.7 /mV

2000

/mV

IC3

20 60 40 80

-1000 0 1000

0.04 -0.04

0.09

-0.19 0 -0.09 0.19

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.7 /mV

2000

/mV

IC5

20 60 40 80

-1000 0 1000

0.01 -0.01

0.029

-0.058 0 -0.029 0.058

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.7 /mV

2000

/mV

IC7

20 60 40 80

-1000 0 1000

0.01 -0.01

0.029

-0.059 0 -0.029 0.058

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.7 /mV

2000

/mV

IC4

20 60 40 80

-1000 0 1000

0.02 -0.02

0.1

-0.2 0 -0.1 0.2

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.7 /mV

2000

Trial No.

/mV

IC6

-1000 0 1000

0.01 -0.01

0.03

-0.06 0 -0.03 0.06

60 80

40 20

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG 0.7 /mV

2000

Trial No.

/mV

IC8

-1000 0 1000

0.022

-0.045 0 -0.022

0.045

20 40 60 80

0.009 -0.007

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.7 /mV

2000

Trial No.

/mV

図 7.5: 被験者Bの各実験における各独立成分の波形

7.4. 実験結果 93

IC1

-1000 0 1000

20 60 40

0.08 -0.07

0.14

-0.27 0 -0.14 0.27

Time (ms)

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

IC3

-1000 0 1000

20 60 40

0.05 -0.05

0.12

-0.24 0 -0.12 0.24

Time (ms)

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

IC5

0 1000

20 60 40

0.02 -0.02

-1000

0.038

-0.076 0 -0.038 0.076

Time (ms)

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

IC7

0 1000

20 60 40

0.02 -0.02

-1000

0.033

-0.066 0 -0.033 0.066

Time (ms)

Trial No.

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

IC2 0.04

-1000 0 1000

-0.03

0.13

-0.26 0 -0.13 0.26

20 60 40

Time (ms)

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

Trial No.

IC4

-1000 0 1000

0.02 -0.02

0.08

-0.16 0 -0.08 0.16

20 60 40

Time (ms)

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

Trial No.

IC6

-1000 0 1000

0.02 -0.01

0.08

-0.15 0 -0.08 0.15

20 60 40

Time (ms)

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

Trial No.

IC8

-1000 0 1000

0.009 -0.008

0.031

-0.061 0 -0.031 0.061

20 60 40

Time (ms)

0

-1000 1000

Time (ms) 0

EMG0.4

/mV

2000

/mV

Trial No.

図 7.6: 被験者Cの各実験における各独立成分の波形

7.4. 実験結果 94 に知るために,図7.4–7.6のデータに基づいて作成した頭皮上の分布を図7.7に示 している.まずこれら4つの図を通して,各独立成分の脳機能的な意味を解釈で きる.そして,それを踏まえ,運動に関連する成分を特定できる.また,図7.7か ら,すべての被験者で同様の成分が確認でき(被験者AのIC1,被験者BのIC2, 被験者CのIC3),変化の傾向性も類似していることが分かった.具体的には,動 きが始まる前にEEG信号の強度が徐々に増加し,動きが始まるとすぐに弱まる.

そして動きが始まってから再び増加し,最後に元に戻っている.変化する時間は 運動開始の時間にのみ依存し,またこの変化は毎回同じであるため,この成分は 運動に関与する脳波信号と判断できた.

7.4.2 眼電位成分の特徴および生データに与える影響

次に,眼球運動や瞬きに関連する成分を明確にする.実験を終えた後,被験者 A運動の前後で極力まばたきを行わないようにしており,一方で被験者Bと被験 者Cでは特に意識はしていなかったとのフィードバックを頂いた.これは図と脳 波の生データを見ても明らかで,被験者Aでは瞬きのような成分が見受けられな いが,被験者B,CではそれぞれIC4とIC2がそれにあたると考えられる.かつこ れらの成分は多数の瞬間的なスパイクが主な変動であり,前頭葉よりに分布が集 中していたため,これらの成分が瞬きに関連する成分と考えられる.確認のため に,瞬きの時刻と実験中のビデオに記録された目の動きの時刻を比較すると,2つ の時刻が完全に一致していることを確認できた.これらの結果から,瞬きによる 電位変化の特性と発生位置を把握できた.瞬きによる電位変化の特徴的な波形を 図7.8に示し,瞬き成分とEEG信号の関係と影響を図7.9に示す.

7.4.3 脳波の運動に関連する特徴成分の抽出結果および考察

前述したように,運動に直接関連すると考えられる脳波成分を選別した.次は この成分から運動に関連する特徴を抽出する.被験者A,B,Cの試行回数はそれ

7.4. 実験結果 95

図 7.7: 被験者A(a),B(b)およびC(c)の各独立成分(IC)の頭皮上の分布

7.4. 実験結果 96

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図 7.8: ICAによって測定されたEEG信号から分解された瞬きによる電位変化の

特徴的な波形.

ぞれ68,80,61である.任意のタイミングで動作する随意運動であるため,5分 間の動作回数は被験者毎に異なる.加算平均法により運動に直接関連する脳波成 分から抽出した特徴の結果を図7.10に示す.被験者3人のこの特徴の傾向性と分 布は非常に類似していることが分かった.さらに,運動と伴う特徴信号の変化は1 つのチャネルではなく全てのチャネルで観測された.つまり,この結果は人間が運 動を行うとき,その運動に対する処理をある程度の脳領域で行うのではなく,脳 全体が協同して行う特性があることを意味しており,これは第5章で述べた考察 と一致する.また,左半球の特徴の振幅が右半球の振幅よりも大幅に大きいこと が分かった.これは,3人の被験者が全員右利き,かつ右手での運動だったため,

図 7.9: 瞬き成分とEEG信号間の関係と影響.青い線は測定されたEEG信号であ り,赤い線は図7.8の瞬き成分である.

7.4. 実験結果 97

(a)

(b)

(c)

+0.187 mV

Fz C3

Cz P3 P4

O1 O2

C4

-1 sec

+0.126 mV

-0.126 mV

+0.0721 mV

-0.0721 mV -0.187 mV

Fz C3

Cz P3 P4

O1 O2

C4

-1 sec

Fz C3

Cz P3 P4

O1 O2

C4

-1 sec

図 7.10: 被験者A(a),B(b)およびC(c)の運動に関連する脳波成分から抽出した 各チャネル毎の特徴.

7.4. 実験結果 98 脳の対側性の影響が波形に顕著に現れたのだと考えられる.

7.4.4 筋電と脳波の特徴との関係および考察

EEG信号の特徴の変化の遷移を明確にするために,図7.11に示すように,100 ms毎に脳波の運動に関する特徴信号の遷移図をプロットした.(a),(b),(c)は それぞれ被験者A,B,Cの結果を指す.

(a)

(b)

(c)

-1000ms -900ms -800ms -700ms -600ms -500ms -400ms -300ms -200ms -100ms -1000ms -900ms -800ms -700ms -600ms -500ms -400ms -300ms -200ms -100ms

-1000ms -900ms -800ms -700ms -600ms -500ms -400ms -300ms -200ms -100ms

0ms 100ms 200ms 300ms 400ms 500ms 600ms 700ms 800ms 900ms

0ms 100ms 200ms 300ms 400ms 500ms 600ms 700ms 800ms 900ms

1000ms 1100ms 1200ms 1300ms 1400ms 1500ms 1600ms 1700ms 1800ms 1900ms 1000ms 1100ms 1200ms 1300ms 1400ms 1500ms 1600ms 1700ms 1800ms 1900ms

0.15 0.07 0 -0.07 -0.15

0.058 0.029 0 -0.029 -0.058 0.11 0.06 0 -0.06 -0.11

0ms 100ms 200ms 300ms 400ms 500ms 600ms 700ms 800ms 900ms

1000ms 1100ms 1200ms 1300ms 1400ms 1500ms 1600ms 1700ms 1800ms 1900ms

図 7.11: 脳波の運動に関する特徴信号の遷移図.

各被験者の3秒間のデータは動作開始を0秒として,-1〜0秒,0〜1秒,1〜2秒

7.5. まとめ 99 に対応する3つの行に分割されている.図の色は,処理されたEEG信号の振幅を 指す.図(a)では,運動開始前の400 msあたりから運動開始時刻0秒までEEG 信号は増加を続ける.その後,振幅は減少し,運動後の400 msの時点で負の最大 振幅となる.その後また振幅は徐々に増加し,そして運動後の1秒の時点で正の 最大振幅となる.被験者B,Cの場合も同様で,運動前の300 msから動作開始時 刻(0秒)まで振幅が単調増加する.そして,被験者Bでは運動後の500 ms,C では300 msの時点で負の最大振幅を示し,それぞれ運動後1100 ms,1200 msで 正の最大振幅となる.

したがって,特徴信号は動作の300-400 ms前に増加し始め,その後動作の開始 まで減衰し続ける.そして,動作後300-500 msごろ負方向の最大振幅に到達して から,徐々に増加し,動作後1-1.2秒ごろに正方向の最大振幅に到達した.これら の結果から,まずはEMG信号が生成される300-400 ms前にEEG信号が変化し 始めることを明らかにした.これで,脳波と筋電の時間上の順序関係は明らかに なった.またこれらの変化に関して,運動前の変化は運動計画に関連している可 能性が高く,運動後の変化は出力トルクの大きさの調整またはフィードバックに 関連している者と推測できる.今後,そちらの変化の原理を究明していく.

7.5 まとめ

本章では独立成分分析を用いて肩関節の屈伸動作に関連する脳波信号の特徴を 抽出し,動作に関する脳波の特徴の時間的変化の遷移を明確にした.筋電が生成

される300-400 ms前に脳波が変化し始め,さらに脳の対側性の影響を受けている

ことを確認した.これらの結果により運動に対する処理は特定の脳領域のみで観 測できるのではなく,脳全体で観測できる特性があることを示唆した.

8 章 特徴量の明確化を目的とした