6 現場適用性の検討および利用の提案
6.3 現場適用性の検討
6.3.1 実験概要
98
図-6.20 電気抵抗の測定結果(5日脱型)
図-6.19に材齢1日で脱型を行い,恒温恒湿室(温度20±1℃,湿度60±5%)に暴露し た供試体の電気抵抗の測定結果を示し,図-6.20に材齢5日で脱型を行い,恒温恒湿室に暴 露した供試体の電気抵抗の測定結果を示す.凡例は通電深さを示している.脱型前の電気 抵抗は,通電深さによらず同様の値を示している.しかし,脱型後の各通電深さの電気抵 抗は,通電深さ20mm,30mmで結果が逆になるものがあるものの,通電深さが小さいも のほど大きくなった.また,通電深さ5mmの表面に近い電気抵抗は,脱型直後に電気抵 抗が大きく増加しているのに対し,通電深さ50および70mmの電気抵抗に大きな変化が 認められない.脱型日に着目すると,材齢5日で脱型を行ったものの電気抵抗は,材齢1 日に対して脱型後の電気抵抗の増加が小さくなっている.これは材齢の進行にともなって セメント硬化体組織が緻密化し,コンクリート内部の水分が逸散する速度が遅くなったた めと考えられる3).
99
化試験を行った.試験練りで電気抵抗と各種物性値との相関式を得る.そのため,材齢91 日の圧縮強度を推定する場合には91日,促進材齢4週の中性化深さから中性化速度係数を
図-6.21 現場計測のフロー
写真-6.1 逆T型擁壁の外観 試験練り
材齢28日強度の確認
現場コンクリートの打設 鉄筋・型枠の組立
型枠脱型 工事の流れ
養生終了
完成
・電極の撤去
・計測装置の撤去
・電極および計測装置の設置
・計測装置の始動
材齢91日強度 : 材齢91日 促進中性化試験 : 材齢84日
・供試体の作成
電気抵抗の測定、強度試験等を実施
・強度および耐久性推定式の作成
・推定式の計測装置組込み 生コン
クリー ト工場
現場
養生終了時期判定手法の作業
計測位
100
図-6.22 逆T型擁壁の概略
得るためには84 日が必要となる.今回の実験では,養生終了時の圧縮強度,材齢28日の 圧縮強度,中性化速度係数を推定する.
生コンクリート工場の出荷するコンクリートの種類は,呼び強度やセメントの種類で異 なるものの基本的に種類が限られている.コンクリートの種類ごとに電気抵抗と各種物性 値の相関式を作成しておけば,基本的に配合条件や使用材料は大きく変化しないため,得ら れた関係式の転用は可能と考えられる.
次に現場の実構造物に電極を設置し計測を行った.計測を行った場所は,東京都町田市の 工事現場であり,屋外で作製される逆T型擁壁に電極を設置して測定を行った.逆T型擁 壁の外観と概略を写真-6.1および図-6.22に示す.計測位置は図中に示す擁壁縦壁とした.
試験練りでは,5章で記載したように電気抵抗と圧縮強度および中性化速度係数の関係式 を作成し,その関係式を用いて実際の現場で計測した電気抵抗から現場実構造物の圧縮強 度および中性化速度係数を推定する.
圧縮強度試験の方法は JIS A 1108:2018 に準拠して行った.促進中性化試験の試験方法
はJIS A 1153:2012に準拠して行い,供試体は100×100×400mmの角柱供試体を用い,
中性化深さ測定面以外をアルミテープで覆い二酸化炭素の侵入を防いだ.また,測定面は各
101
種養生期間中にラップフィルムで覆うことにより,封かん養生とした.供試体の前養生は,
各種養生を終了後,温度20±2℃,相対湿度60±5%の環境で材齢56日まで静置した.中 性化速度係数は,促進材齢4週の中性化深さから算出した.電気抵抗の計測は 5章と同様 とし,コンクリートの打設直後から経時的に計測を行っている.
(1)直流四電極法による電気抵抗計測
直流四電極法の概略を図-6.23に示し,表-6.9に電気抵抗の計測条件を示す.電極の金属 は,ステンレスを使用した.ステンレスを使用した理由は,実構造物のコンクリートの表面 を錆汁等で汚さないためである.計測条件は,3章,5.2,6.1と同様の方法である.写真-6.2 に電気抵抗の計測状況を示す.
要因 水準 計測方法 直流四電極法 印加電圧 10V(パルス波)
電極間隔 50mm 電極直径 φ2.6mm 通電深さ 50mm 電極金属 ステンレスの針金 図-6.23 直流四電極法の概略
写真-6.2 電気抵抗の計測状況
(2)配合および供試体
供試体に使用したコンクリートの配合を表-6.10に示す.表中のスランプと空気量は実測 値である.配合は生コン工場で製造され,27-12-20Nで表記される一般的なコンクリートで
2mm
V
通電深さ 電極間隔
コンクリート部 電極
通電部分
絶縁部分
I
型枠部
電極
計測装置
表-6.9 電気抵抗の計測条件
102 ある.
図-6.24に試験練りの際の養生方法の概略(圧縮強度試験用)を示す.すべての供試体の 型枠は,材齢1日で脱型した.供試体の養生期間は1,3,7,28に設定し,養生終了時およ
表-6.10 コンクリートの配合
セメント の種類
W/C
(%)
s/a
(%)
単位量(kg/m3) スランプ
(cm)
空気量
W C S G (%)
OPC 54 45 172 317 812 989 13.5 5.5
:封かん養生(20℃) :屋内暴露(20℃,RH60%)
:脱型 圧:圧縮強度試験 図-6.24 養生方法の概略(圧縮強度試験用)
び材齢28日に圧縮強度を測定した.促進中性化試験で使用した供試体の封かん養生期間も 圧縮強度試験と同様とした.また,実際の現場では実構造物の圧縮強度を確認するため,現 場封かん養生を実構造物と同じ期間で行い,その後,材齢28日まで現場環境に暴露した供 試体も作製した.実構造物の型枠脱型は,材齢6日で行った.
試験練りで作製した電気抵抗計測用供試体は,5章と同様とした.