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実験方法

ドキュメント内 島根大学審査学位論文(k667) (ページ 88-93)

第 5 章 溶融水酸化物法による Y124 のストロンチウム添加効果

5.2. 実験方法

表 5-1に溶融水酸化物法によるSr添加Y124粉末試料の合成条件を示す。また、実験は 図 5-2に示す流れで行った。原料には、Y2O3、BaCO3、SrCO3、CuOを用い、組成比がY(Ba 1-xSrx)2Cu4Oyとなるように秤量し、乳鉢にて混合を行った。これまでの報告と比較するため、

BaとSrの置換を想定し、組成比をこのように定めた。原料の混合粉と、それに対して100 wt%のKOH をアルミナるつぼに入れ、それらを電気炉にて600–750Cの温度で12時間の 熱処理を行った。炉冷した後、フラックスの除去を水とエタノールによって行った。得られ た試料の相の同定と格子定数並びにTcの評価はそれぞれ、XRD 2測定並びにSQUIDの 磁化測定によって行った。また、高温において合成した試料に関しては、XRD並びにSQUID の結果から Y123 の混入が確認された試料については、N2中で還元アニールを行うことに よって、Y123の超伝導特性を消失させ、Y124のみの転移温度を評価した。

- 目的温度にて12時間保持・炉冷

KOH

熱処理

水・メタノールによる洗浄

XRD測定 SQUID測定

試料の調合 - 原料の混合

- KOH由来の不純物等の除去

- 相の同定、c軸長、Tc等の評価 原料

るつぼ

図 5-2 試料作成から評価までの流れ 原料 Y2O3、BaCO3、SrCO3、CuO 初期組成 Y(Ba1-xSrx)2Cu4Oy

フラックス KOH (原料粉に対し100wt%) 合成温度 600–750C (25C間隔)

昇温時間 3 hour

保持時間 12 hour

冷却方法 炉冷

表 5-1 溶融水酸化物法によるSr添加Y124粉末試料の合成条件

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また、図 5-3にTcの評価方法の概略図を示す。磁気モーメントが10 K の値の1/2000にな った温度をTconsetとした。また、急激に磁気モーメントが変化する領域と、Tconsetが離れて いる場合、Tconsetは試料の平均的なTcを評価する指標としては不当であるため、本研究に おいては、新たにTc,effという指標を導入した。磁気モーメントの温度変化が最大であった 点の接線を、0に外挿し、その切片の温度をTc,eff とした。

温度

磁気モーメント

0

T

conset

T

c,eff (effective)

Temperature

Magnetic moment

図 5-3 Tcの評価方法の概略図。

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5.3.

640Cで合成を行った Y124のc軸長並びにTcのSr添加量依存性

始めに、Tc及びc軸長のSr添加量依存性を調査することを目的とし、これまでの研究か ら、溶融水酸化物法を用いて粉末試料を作製した際、容易に単相の Y124 が得られやすく、

不純物の量などが少ないと考えられる640Cにおいて、x=0–0.5の試料に関して合成及び評 価を行った。

5.3.1. 640Cで合成を行った試料の相の同定

図 5-4に640Cで合成を行ったSr添加Y124粉末試料のXRD 2パターンを示す。い ずれの試料もY124に由来する強い回折が確認された。また図中に示したとおり、Y2O3, CuO, Y2Cu2O5などの不純物ピークに由来する弱い回折ピークが確認された。ただし、Y123やY247 のような超伝導性を示す不純物相は確認されなかった。

5.3.2. 640Cで合成を行ったSr添加Y124の磁気モーメントの温度依存性

図 5-5に、640Cで合成を行ったSr添加Y124粉末試料の規格化した磁気モーメントの 温度依存性を示す。いずれの試料も、10 Kにおける超伝導体積分率は100%前後の強い反磁

5-4 640Cで合成を行ったSr添加Y124粉末試料のXRD 2パターン。シンボルはそれぞれ(•) Y2O3, () Y2Cu2O5, (+) CuOを示す。

0 10 20 30 40 50 60

2[degree]

Intensity [arb. unit]

*

*

+

x = 0

x = 0.025

x = 0.05

x = 0.1

x = 0.2

x = 0.3

x = 0.4

x = 0.5

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性を示す試料が得られた。x = 0の試料は典型的なY124のTcである81 Kにおいて転移が確

認された。また添加量のx の増加に従って転移は高温にシフトし、x > 0.1の試料に関して

は、90 K付近において転移が確認された。XRD パターンからはY123やY247相は確認さ

れていないことから、溶融水酸化物法においては、Sr の添加によってY124のTcが大きく 上昇することが明らかとなった。

5.3.3. 640Cで合成を行ったY124のTcc軸長のSr添加量依存性

図 5-6 にXRD 2パターンのY124 (0012)から求めた c軸長と Sr添加量 xの関係を示 す。また、図中には先行研究のSr/Ba置換Y124のTc並びc軸長のデータも示した。

Srの添加量の増加に従ってTcは増加し、x=0.1–0.2において最大でTconset= 90 Kを示した。

この値は他者の報告よりも高く、溶融水酸化物法を用いれば高い Tcを有する Y124 が得ら れること明らかとなった。x=0.3以降においては添加量の増加に従ってゆるやかに低下する 傾向が確認された。c軸長はx = 0.05以下の少量のSrの添加に対しては、わずかに伸張し、

x > 0.1の添加量では、収縮する傾向を見せた。

本研究においては、x = 0.05程度ではc軸長が伸張し、Tcが上昇しているが、それ以上の 添加量においてはc軸長が収縮している。格子定数の変化とTcの変化は必ずしも一致して おらず、Srの添加によって生じるTcc軸長の変化の要因は1つだけではなく、複合的な

図 5-5 640Cで合成を行ったSr添加Y124粉末試料の磁気モーメン トの温度依存性。

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2

40 50 60 70 80 90 100

Normalized magnetic moment

Temperature [K]

0 0.025 0.05 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Starting Sr

content x

-0.04 -0.02 0

75 80 85 90 95

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ものになっていることを検討するべきであると考えられる。

図 5-6 640Cで合成を行ったSr添加Y124粉末試料の

Tconsetc軸長のSr添加量依存性。本研究において横

軸は仕込み組成としている。Wada、Karpinski、Itohら の報告において横軸は置換量である。

c-lattice parameter [Å]

75 80 85 90

27.00 27.05 27.10 27.15 27.20 27.25

-0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

x in Y(Ba1-xSrx)2Cu4O8in starting composition Tc[K]

This work

Wada et al.

Karpinski et al.

Itoh et al.

(a)

(b)

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