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3.2.1 LixMn2O4薄膜の作製

PLDによるLiMn2O4薄膜の製膜

パルスレーザー堆積法(PLD)によりLMO薄膜を作製した.ターゲットにはLiMnO2とMnO が質量比1:1の混合されたLiMn2Oxペレット(豊島製作所)を用いた.基板はPt / Crコートし た SiO2ガラス基板(仙台石英硝子製作所)を使用した.ターゲットと基板を真空チャンバー内 に設置後10−4 Paの圧力まで真空排気した.その後,酸素分圧20 Pa,基板温度500°C で製 膜を行った.レーザーは波長193 nmのArFエキシマレーザーCOMPexPro 205(Coherent社)

を使用し,ターゲット上の照射エネルギー密度を 1 J cm−2,繰り返し周波数を 15 Hzに設定し た.製膜した薄膜は,X線回折(XRD),Cyclic Voltammetry測定(CV測定)及び誘導結合プ ラズマ原子発光分光法(ICP-AES)を用いて基礎的な特性評価を行った.XRD パターンは,

CuKα 線を用いた X 線回折装置(リガク,RINT-2100V)によって測定し,スキャン速度 2.0°

min−1,測定範囲 10–90°で 2θ スキャンを行った.ICP-AES は Optima 3300XL(Perkin Elmer 社)を用いた.

⚫ 電気化学的手法によるLi脱離

作用極としてLMO薄膜を用い,対電極および参照極としてLi金属を用いた三極式ビーカ ーセルを作製しLixMn2O4薄膜中のLi組成を電気化学的に制御した.電解液は1 mol L−1の LiClO4 / PC(富山薬品工業)を使用した.ポテンショ/ガルバノスタット(Bio-Logic 社:SP-150

または VMP3)を用いて定電流充電を行うことでLiを脱離した.電位が目標値に到達後,電流

がバックグラウンドレベル(< 200 nA)まで減少するまで電位を維持した.LixMn2O4,LiClO4,Li 金属の同位体比は,天然存在比(natLi:7Li 92.4%,6Li 7.6%)であった.

6LiClO4 / PC電解液の作製

同位体イオン交換を行うための6LI電解液の合成を行った.6LiClO4粉末は文献[86]を参考 に6Li2CO3(Cambridge Isotope Laboratories社:6Li 95%,7Li 5%)とHClO4(和光純薬)を遊離 反応させ合成した.6Li2CO3にHClO4の水溶液をビーカー中で白色固体が溶解するまで滴下 添加し,pH = 7に達した時点で反応が完了したと判断した.得られた6LiClO4粉末を200℃で 真空乾燥し,PC(キシダ化学)に1 mol L−1になるよう溶解した.得られた6LiClO4電解液の含

水率はKarl Fischer電量滴定をAQ-300(平沼産業)を用いて測定した.その結果,含水率は

100 ppm 以下であった.また,電気化学的な安定性を評価するため作製した 6LiClO4電解液

を用いてLMO薄膜の充放電試験を行い,可逆的なLi挿入抽出を確認した.

3.2.2 ステップ同位体交換法

図3.4に示すように1 mol L−16LiClO4 / PC電解液中にnatLixMn2O4薄膜を浸漬して同 位体交換を行った.薄膜の一部を溶液中に浸漬し,時間ステップΔ𝑡だけ維持したのち試料を 電解液中にさらに 0.5 mm 浸漬させた.この手順を繰り返すことで試料面上に複数の異なるイ オン交換時間の領域を0.5 mm間隔の縞状に形成させた.同位体交換後,電解液を洗い流し,

試料を乾燥させた.それぞれの置換時間における同位体比 6Li / (6Li+7Li)を SIMS ライン分 析により決定した.SIMS 測定に使用した装置は二重収束型SIMS(IMS 7f:CAMECA社)で ある.一次イオン種は Cs+,一次イオンの照射流束は 1nA,加速電圧は 15keV,集束イオンビ ームのスポットサイズは 1 μm であった.同位体比はイオン化効率が同じであることから 6Li と

7Liの強度比から決定した.

図3.4 ステップ同位体交換法の模式図.(a)は正面から見た図で,(b)は側面から見た図.

6LiClO4/PC

natLixMn2O4

(a)

(b)

6LiClO4/PC

natLixMn2O4

Pt/Cr SiO2

3.2.3 PITT測定

PITT測定は,LiClO4 / PC電解液を用いた三極式ビーカーセルと固体薄膜電池を用いて行 った.三極式ビーカーセルは 3.2.1 項で説明したものと同様のものを用いた.ビーカーセルに 用いたLMO膜の面積は116 mm2膜厚は300 nmであった.PLDと真空熱蒸着法によって正

極に LMO,固体電解質にアモルファス Li3PO4,負極にLi金属を用いた薄膜電池(Li /

a-Li3PO4 / LMO)をて作製した.薄膜電池用のLMO膜の面積は9 mm2,膜厚は300 nmであっ た.SIMS実験とPITT実験には同じ基板を用いた.固体電解質はPLDによって製膜した.レ ーザーにはArFエキシマレーザーを使用し,製膜条件は酸素分圧0.2 Pa,室温で行った.電 解質の膜厚は1 μmであった.LMO膜とa-Li3PO4膜は界面抵抗層の形成を防ぐために,同じ 真空チャンバー内で作製した.負極として使用したLi金属膜は真空熱蒸着により製膜した.

図3.5 全固体薄膜電池の模式図

Li a-Li

3

PO

4

LiMn

2

O

4

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