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南国市石土調整池を例としたコスト試算

ドキュメント内 フロンティアプロジェクト (ページ 44-47)

第 4 章 湖沼水水質浄化への膜分離技術の適用可能性

4.1 南国市石土調整池を例としたコスト試算

4.1.1 Microsoft Excel ソルバーを用いた実験データ近似式の算出

実験によって得られたろ過水放流による懸濁物質除去効果より,南国市石土調整池を例と して,コスト試算を行った.

コスト試算を行うに当たり,実験データの近似式算出を行い,そこから浄化に必要なろ過 水の放流量の算出を試みた.定式化に用いる水質項目は,データ上でもばらつきが尐なく,

水槽内で均一に近い状態で分散していたと考えられるクロロフィルの数値を用いることとし た.

まず,原水のクロロフィル濃度が均一で流入流出のない理想状態でのろ過水放流によるク ロロフィルの除去効果を定義する.ろ過水放流が常に等量で行われると仮定したときの,ろ 過開始後の時間をtとおくと,t後の水槽内におけるクロロフィル濃度は以下の数式で表すこ とができる.

  t C e C '

f

A t

V

 ・

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水槽内での微粒子の挙動を計測することが困難であったことから,今回は循環用ポンプを 動作させることで理想状態に近似できると仮定して計算を行った.また,ろ過水中のクロロ フィル濃度は0として扱った.

計算はMicrosoft Excelのソルバーを用いて行った.説明変数を時間tとし,前記した指数

曲線に近似させた.元のデータとの重相関係数R2は非常に高い値となった.

 石土調整池

 鏡野公園池

4.1.1 クロロフィル実験値と計算値の比較(上:石土調整池,下:鏡野公園池) 0

5 10 15 20 25 30

1 11 21 31 41 51 61 71 81 91 101 111 121 131 141 151 161 171

Chlorophyll移動平均5 ug/L 計算値ug/L

0 20 40 60 80 100 120

1 17 33 49 65 81 97 113 129 145 161 177 193 209 225 241 257 273 289 305 321 337 353

Chlorophyll実測値 計算値

e t

t

f( )23.74 0.0011 e t

t

f( )100.08 0.0018 R2 0.94 96 .

2 0 R

Chlorophyll(ug/l)

Chlorophyll(ug/l)

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水質浄化による環境影響を評価することは困難であるので,今回の試算では,一年間で年 間平均クロロフィル濃度を半減させることを目標と設定し,試算を行うこととした.この近 似式に,石土調整池の平常時貯水量 175,000 ㎥を代入し,クロロフィル量の年平均値(2004 年測定)を用いて算出した.外部からの流入は隣接する十市パークタウンからの雤水流入のみ とすると,初期雤水流入による水質汚濁は起こらず雤水による希釈効果が見られることが亀 田らによって検証されていることから,計算上で外的な汚濁負荷は考慮しないこととした.

計算の結果,必要なろ過水放流量は一日当たり約185㎥と算出された.

4.1.2 南国市石土調整池を例としたコスト試算

以上の計算結果を踏まえ,同規模の造水量で稼働する浄水場のケーススタディを元にコス ト試算を行った.浄化設備の耐用年数は一般的な浄水上の耐用年数として設定される25年間 とし,計算に加味する運転等の条件は以下のものとする.条件の設定に関しては,一般的な 浄水上が行っている内容よりも汚濁が進んだ池水を処理するということを考慮し,洗浄頻度 を増やす等の変更を加えている.

 MF膜の薬品洗浄を1回/年とする

 PACによる凝集を行わない

 常に運転し続ける

 MF膜の交換は5年に一度

これらを踏まえ,守山浄水場の資料をもとに計算を行った結果,初期投資は38,475,000円 となり,維持管理費は年間 775,000 円,膜の交換費は 5 年に一度 700,000 円となった.25 年間換算した造水費用は45円/㎥となった.

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