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実践的考察に向けての教科書における等積変形の省察

ドキュメント内 修士論文 (ページ 166-185)

第 2 章 現在の小中学校の教科書の様相

第 3 節 実践的考察に向けての教科書における等積変形の省察

小中学校で学習する立体、面積、体積に関する内容を概観してきた。この節では、本研究に 直結する求積や等積変形に焦点化して省察を行う。

1.三角形、四角形の等積変形(小学校)

三角形・四角形の面積を求めるのに、等積変形を使用している。

まず高さが図形の内部にある平行四辺形では、直角三角形を移動させ長方形化させるのは全 社が行っており[図 1]、台形を移動させ長方形化させるのは学校図書を除く 5 社で行ってい

る[図 2]。教育出版・啓林館では、対角線で平行四辺形を 2 つの三角形に分け、各三角形の

面積を求める方法もかかれている[図 3]。啓林館では、長方形と 2 つの三角形に分けて面積 を求める方法も行っている[図4]。

高さが図形の外に出る平行四辺形では、高さを図形の内部に入れるために三角形を移動させ る方法を全社で行っている[図5]。学校図書では、直角三角形分割をし、長方形になるように 移動する方法もかかれており[図6]、大日本図書では、高さが図形の内部に入るまで平行四辺 形を横に並べていき、大きな平行四辺形を等分する方法でも教えている[図7]。大日本図書・

東京書籍では、高さが図形の内部に入るまで平行四辺形を等分割し、すべての平行四辺形の面 積を足す方法もかかれている[図8]。

次に鋭角三角形及び直角三角形では、大日本図書以外の5社で高さを半分にして長方形化し ており[図9]、学校図書・大日本図書・日本文教出版では、高さを半分にして平行四辺形化し ている[図10]。日本文教出版を除く5社で頂点から垂線を下ろし、垂線で分かれた2つの三 角形を合同な三角形で長方形化することで面積を求めており[図11]、すべての会社でもとの 三角形と合同な三角形を使い、平行四辺形化している[図12]。啓林館では、底辺を半分にし て長方形化している[図13]。

鈍角三角形では、啓林館を除く5社で、もとの三角形と合同な三角形を使い、平行四辺形化 している[図14]。学校図書・大日本図書・東京書籍では、鈍角でない頂点から垂線を下ろし、

直角三角形をつくり追加された直角三角形部分を後から取り除いている[図15]。教育出版・

大日本図書・日本文教出版では、平行線の性質を使い等積変形を行っており[図16]、大日本 図書では、高さを半分にして平行四辺形化している[図17]。啓林館では、合同な三角形の回 転移動を使っている[図18]。

台形では、全社で、対角線で 2つの三角形に分ける方法[図 19]と合同な台形を使い平行 四辺形化して求める方法を扱っている[図20]。学校図書・教育出版・東京書籍では、もとの 台形の半分の高さで平行四辺形化を行っており[図21]、学校図書だけ、台形を三角形に変形 している[図22]。

ひし形では、全社で、対角線で2つの三角形に分ける方法がかかれている[図23]。学校図 書以外の5社では、ひし形を含む長方形を考えて面積を求めている[図24]。学校図書・東京

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書籍では、4つの直角三角形に分割し移動して長方形化をしている[図 25]。学校図書では、

左右の三角形を平行線の性質を使い等積変形を行っている[図26]。教育出版では、対角線で 2つの三角形に分け、平行四辺形化して面積を求めている[図27]。

一般の三角形では、学校図書・啓林館では、対角線で三角形に分けて面積を足し合わせてお

り[図28]、教育出版・日本文教出版では、平行線の性質を使い三角形化することにより面積

を求めている[図29]。

この単元で各教科書に載っている面積の求め方が一番多いのは、学校図書・教育出版の 17 個、一番少ないのは日本文教出版の 12個である。啓林館・大日本図書・東京書籍は、平均の 15,6個である。かかれている面積の求め方のバランスがいいものとしては、教育出版・大日本 図書がよく、学校図書は台形・ひし形に偏っており、啓林館は平行四辺形、三角形に偏ってい る。また、かかれている順番は、啓林館のみ三角形→平行四辺形→台形→ひし形で、その他の 会社は平行四辺形→三角形→台形→ひし形の順番である。

・学校図書

『小学校算数5下』学校図書H22.3.11検定済 pp.28-40

1

5 6

9 10

11 12

14 15 19 22

166

・教育出版

『小学校算数5下』学校図書H22.3.11検定済 pp.40-42

『小学算数5下』教育出版H22.3.11検定済pp.58-68

20 21

28 25

26

2

24 23 27

167

・啓林館

『小学算数5下』教育出版H22.3.11検定済p.72

『わくわく算数5下』啓林館H22.3.11検定済pp.4-13 2

9

16

3 4

18

168

・大日本図書

『わくわく算数5下』啓林館H22.3.11検定済pp.16-17

『楽しい算数5下』大日本図書H22.3.11検定済 pp.4-12 13

8

7

17

169

・東京書籍

『新しい算数5下』東京書籍H22.3.11検定済 pp.30-36

『新しい算数5下』東京書籍H22.3.11検定済 pp.39-44

『楽しい算数5下』大日本図書H22.3.11検定済 pp.12-15

170

・日本文教出版

『小学算数5年下』日本文教出版H22.3.11検定済 p.6

『小学算数5年下』日本文教出版H22.3.11検定済 pp.12-15

『小学算数5年下』日本文教出版H22.3.11検定済 p.9

171

2.等積変形を利用した円の求積(小学校)

円の面積では、すべての会社で、円をおうぎ形に分割して長方形化する方法を教えている[図

30]。学校図書では、おうぎ形を組み替え三角形に変形させ求める方法を扱っている[図31]。

学校図書・啓林館・大日本図書では、ひもで円をつくり一つの半径で切り取り、三角形化して

いる[図32]。学校図書・大日本図書では、おうぎ形に分割し平行線の性質を使い等積変形を

行う[図33]。

・学校図書

『小学校算数6上』学校図書H22.3.11検定済 pp.68-70

『小学算数5年下』日本文教出版H22.3.11検定済 pp.18-21

『小学校算数6上』学校図書H22.3.11検定済 p.99

33 31

30

32

172

・教育出版

・啓林館

・大日本図書

『楽しい算数6上』大日本図書H22.3.11検定済 p.57

『わくわく算数6下』啓林館H22.3.11検定済pp.6-8

『小学算数6上』教育出版H22.3.11検定済p.79

173

・東京書籍

・日本文教出版

『小学算数6年上』日本文教出版H22.3.11検定済 p.77

『新しい算数6上』東京書籍H22.3.11検定済 p.8

『楽しい算数6上』大日本図書H22.3.11検定済 p.60

174

3.円柱、角柱、円錐、角錐の求積(小学校)

立体の体積の求め方の学習は、5年生では、すべての会社で直方体、立方体などの特殊な立 体の体積を求めるのに、1辺が1cmの立方体の空間充填を利用するので、体積の公式は縦×横

×高さとなる。6年生では、学校図書・大日本図書・東京書籍では、底面を鉛直上方へと移動 させたときに通過する空間のことを体積としているので、底面積×高さへと体積の公式が変化 している。教育出版・啓林館・東京書籍・日本文教出版では、高さ1の直方体を重ねた体積の 合計を体積としている。大日本図書・日本文教出版では、円柱の体積を求めるのに円の長方形 化と同様の方法で直方体化して求めている[図34]。啓林館では、角柱による近似で円柱の体 積を求めている。日本文教出版では、一般の四角柱の体積を求めるのに、二つの三角柱に分け てそれぞれの体積を足し合わせて求めている[図35]。学校図書では、砂を使い、底面積と高 さの等しい角錐と角柱の体積を調べている。砂の色を変えることで、体積の関係が分かりやす くなっている[図36]。

・学校図書

36

『小学校算数5上』学校図書H22.3.11検定済 pp.84-91

『小学校算数6上』学校図書H22.3.11検定済 pp.99-102

175

・教育出版

・啓林館

・大日本図書

『小学算数5上』教育出版H22.3.11検定済pp.48-53

『小学算数6下』教育出版H22.3.11検定済pp.2-4

『わくわく算数5上』啓林館H22.3.11検定済pp.17-22

『わくわく算数6下』啓林館H22.3.11検定済pp.15-17

『楽しい算数5上』大日本図書H22.3.11検定済 pp.50-61

176

・東京書籍

・日本文教出版

『楽しい算数6上』大日本図書H22.3.11検定済 pp .74-77

34

『新しい算数5上』東京書籍H22.3.11検定済 pp.14-21

『新しい算数6上』東京書籍H22.3.11検定済 pp.95-97

『小学算数5年上』日本文教出版H22.3.11検定済 p.68-76

177

4.立体の体積の求め方(中学校)

立体の体積では、全社で、水を使った実験によって体積の関係を示していた。角柱・角錐は、

学校図書・教育出版・大日本図書・日本文教出版の4社で、そのうちイラストを用いているの は、大日本図書だけである[図38]。円柱・円錐は、学校図書・啓林館・大日本図書・東京書 籍・日本文教出版の5社で、そのうちイラストを用いているのは、大日本図書だけである[図

39]。球・円柱は、教育出版・数研出版・大日本図書・日本文教出版の4社で、そのうち半球

ではなく全球を使っているのは、教育出版だけである[図40]。角錐と角柱の関係についての 模型を使っているのは、教育出版・大日本図書である[図41]。東京書籍では、球を多面体と みなし、角錐の集合体として体積を求めている[図42]。

球の表面積は、教育出版・啓林館・数研出版・大日本図書・日本文教出版では、半球の表面 に縄を貼り付けて表面積を求めている。縄をほどいた後、教育出版・大日本図書・日本文教出 版では、球と半径が等しい二つの円を縄で作り示しており[図43]、数研出版では、半球と半 径が等しく高さが等しい円柱の側面積と等しいことから示しており[図44]、啓林館では、半 球の曲面部の表面積の2倍(全球の表面積)と半球の直径を半径とする円の面積が等しいこと で示している[図45]。

・学校図書

『小学算数6年上』日本文教出版H22.3.11検定済 pp.93-96

『中学校数学1』学校図書H22.3.11検定済 p.165 35

ドキュメント内 修士論文 (ページ 166-185)

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