第 5 章 Scratch を用いた図形理解を深めるための授業実践
5.2.1 実践概要
2017年11月に行った授業実践[17]である。対象は津市立西が丘小学校の5年生で、各ク ラス1回(45分間)の授業を行った。表5-3は本授業実践の日程である。2016年の活動で は「星をえがこう!~Scratch でプログラミング~」のタイトルの下、45 分間の中で、ま ず、正五角形を描くプログラムを教え、五芒星を描くプログラムに変形させる課題を与え た。その後、自由に幾何学模様を描くプログラムの作成にも挑戦させた。正五角形を描く 場合には、72度ずつ回転させる必要があるが、何故72度になるのか考えさせ、五芒星を描 く場合には何度回転させたら良いのかを問題にすることにより、図形理解にも繋げようと した。
実践後のアンケートから「なぜ~度回転させるのか」の理解度は高いが、幾何学模様に 関する質問からは、「なぜそのような模様が描かれるのか」を考えられていない児童が多い ということが分かった。
そこで、2017年の授業実践では、2016年の授業実践では偶然の産物として描かれる場合 が多かった幾何学模様についても、プログラミング的思考に関わる繰り返し処理を理解さ せ、繰り返しの繰り返しで動くプログラムまで考えさせるようにした。
表5-3 授業実践の日程
授業実践日 授業時間 TA
11月14日(火) 3組13:45-14:30 4組14:40-15:25
情報教育2年3人+3年4人 +4年4人+院生2年1人 11月17日(金) 1組13:45-14:30
2組14:40-15:25
情報教育2年3人+3年4人 +4年4人+院生2年1人
授業は次の1)から8)の手順で進めた。2016年の授業実践にはなかった内容は6)、7)の内 容である。
1)事前に用意した正五角形を描くプログラムから、プログラム実行時の動き、各種プログラ ミングブロックの機能を説明
2)正五角形を描くプログラムの組み方を実演した後、同じプログラムを組ませる
3)正五角形を描く時になぜ72度ずつ回転するのかを、正五角形を描き終わるまでの虫の目
線の向きの変化から説明
4)正八角形、五芒星を描くプログラムを作成する課題に取り組ませる 5)五芒星を描くプログラムの解説をする
34
6)正方形を基にした幾何学模様を描くプログラムの仕組みを説明する(図5-8)
繰り返しの繰り返しを使うことで描かれる幾何学模様のプログラムを、児童に提示し描 かれる様子を見させるようにした。次に「なぜ幾何学模様が描かれたのか」の仕組みを理 解させるために、図5-8(c)のように、内側の繰り返しが「正方形を描くもの」だということ、
次いで虫の目線を「右回りに 60 度回す」ということを確認させ『「正方形をえがいてから 右回りに60度回す」ことを、6回繰り返す』のようにプログラムを言葉で言い表すように した。6回繰り返せば360度回って元の位置に戻ってくるということも確認させた。
(c) なぜ幾何学模様が描かれたのかの説明 さらにチャレンジ!!
きれいな図形をえがいてみよう!
を複数使うときれいな図形がえがけるよ!
(a) 幾何学模様を描く課題の提示
どうすればいいの?(みんなもやってみよう!)
の中に、
を入れる。
そして、 の後ろに 例えば左の写真のように、
をつける。
できたら動かしてみよう!!
(b) 幾何学模様を描くプログラムの提示
図5-8 例題を通して幾何学模様を描く仕組みを説明するスライド
35
7)3つの幾何学模様から一つ選ばせ、その模様を描くプログラムを作成する課題に取り組ま せる(図5-9)
何の図形が基になって描かれた幾何学模様なのかを提示した。図5-9に示す幾何学模様で は右端の問題が一番難しい。それぞれ基となっている図形がどれだけ描かれているかに着 目させるようにした。
次の図形から1つ選んで、
その図形をえがくプログラムをつくろう!
正三角形が もとになっている
正八角形が もとになっている
正方形が もとになっている
(正方形を回すだけ じゃできないよ!)
むずかしい!!
(a) 3つの幾何学模様を描く課題 (b) 幾何学模様課題の解答
図5-9 幾何学模様を描く課題提示と解答プログラムのスライド
36