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実環境での問題点と対処

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第 4 章 対象物の発見

4.2 実環境での問題点と対処

実環境で動作する移動ロボットに、筆者らの提案する対象物の発見処理をおこなわせる際、

考慮すべき問題とその対処法について述べる。

4.2.1 不要な特徴点への対処

前述したような画像特徴点に基づく3次元復元処理をおこなう際、実環境から得られる特 徴点の追跡結果には誤差を含むものが存在しており、また床面上など の物体と関係のない部 分から抽出されるものも存在する。このような点は 、クラスタリングによって対象物を特定 する際の妨げとなる。処理結果に悪影響を与えるようなこれらの特徴点については 、なるべ く簡便な条件をいくつか設定し 、除去する処理を随時おこなう。以下で詳細を述べる。

復元誤差が大きな特徴点の除去

モーションステレオの際、カメラから遠い距離にある物体から抽出された特徴点につい ては 、十分な視差が得られず特徴点の3次元位置Xの復元結果に大きな誤差が含まれ

Group1

Group2

Group3 Robot

Robot

Floor

Objects

3次元復元

2次元平面へ射影

格子毎にデータを格納

クラスタリング

対象物特定

図4.1:クラスタリングによる対象物の特定

る。この復元結果が 、良い精度で3次元位置が求まっている点と混在してしまうと、後 の対象物の特定処理に悪影響がある。対策として、2枚の画像中で対応する特徴点で、

カメラの移動方向に対して画素位置の変化が少ない特徴点については 、復元前に取り 除く。

追跡ミス特徴点の除去

KLT-Trackerを用いて画像間で特徴点を追跡する処理をおこなっているが 、Trackerが特

徴点を誤って追跡してしまった場合、その特徴点の復元結果は実際と異なってし まう。

そのような特徴点については、モーションステレオで用いる式(4.1)の評価値Cが大き くなるため、この振る舞いを利用して取り除く。

床の色情報を用いた対象物の分離

復元された特徴点に床面上のものが混ざっている場合、対象物の特徴点集団を特定する クラスタリング処理の妨げとなる。そこで床面の色情報を利用し 、床面上の特徴点を3 次元復元前に除去する処理を加える。具体的には、入力画像であるRGBカラー画像を、

L*a*b*表色系に変換し 、その表色系からあらかじめ作成した床面に関する色空間の正

規分布と比較することで、画像中の床面上の点を除去する。

4.2.2 移動ロボット の測位誤差への対処

移動ロボットの動作モデルから推定するカメラの位置・姿勢には誤差が含まれることは前述 した通りである。ここでは 、移動ロボットを走行させた際の対象物の発見処理について、考 慮すべき問題について評価し 、対処法について述べる。

問題:カメラ姿勢の復元結果への影響

モーションステレオで用いる式(4.1)は、カメラの姿勢を表すRと、カメラの位置を表 すTが正確であるという前提のもとに成り立つものであるが 、もしこれらに誤差を含 むと、復元結果が実際とは異なってしまう。

図4.3は、VHSのビデオテープを複数並べた環境(図4.2)を、ロボットに搭載したカメ ラから得た画像である。カメラの位置・姿勢の誤差が形状の復元結果に与える影響を示 すために 、カメラを200mm前方に動かす前後で取得した2枚の画像から、モーション ステレオにより特徴点の3次元位置を復元した。このとき、カメラは床面から320mm の高さにあるとし 、床面に対し15度の俯角をつけた。

図4.4は特徴点の3次元位置を復元した結果を床面に垂直な視点から観察したものであ る。カメラの位置・姿勢に誤差が無い場合、物体の位置は特徴点の集団として正確に復 元される。一方、カメラ位置の横方向(y軸方向)に10mmの誤差を含めた場合や、カ メラ姿勢のピッチ方向に1度の誤差を含めた場合では、復元結果が歪んでいることが判 る。特に、カメラの角度成分に対しては、少しの誤差が含まれているだけでも復元結果 は大きく影響を受ける。

camera

video cases

800mm 1200mm 実験環境

200mm

図4.2:環境

移動前 移動後

図4.3:ロボット上から取得した画像

一方で、移動ロボットのオド メトリから得られるカメラ位置・姿勢には、そもそも累積 誤差が含まれる。また、画像を取得時の時刻と、オド メトリの値の取得時の時刻は、必 ずしも同期が取れているとは限らない。このため、ロボットの動作モデルを用いて3次 元形状復元をおこなう場合、カメラの位置・姿勢の誤差を補正する必要がある。

対処:カメラの位置・姿勢の再算出

本研究のシステムは、対象物の発見処理をおこなう際、カメラに一定の俯角をつけ、そ れを搭載したロボットが床面上を走行するものである。ここで、可変なパラメータはカ メラのチルト角ψ、( カメラのパン角+ロボットの姿勢)を示すθ、ロボットの直進成 分tx、ロボットの並進成分tyの合計4つとなる。よって最適なカメラの位置・姿勢を 求めるためには、上記の4つのパラメータの組み合わせを見つけることで達成できる。

しかし 、式(4.1)の線形の評価関数は 、並進成分とスケールを分離できないため、並

復元結果(誤差無し)

カメラ位置に横方向10mmの誤差

カメラ姿勢 (ロール角) に1度の誤差

図4.4:特徴点の3次元復元結果( 視点は床面から垂直な方向)

進成分を小さくすると評価関数の値も小さくなってしまい、最適なパラメータを求めら れない。そこで以下のような非線形の評価関数を改めて定義する。

C=2

j=0

P i=0

rTxjmij

rTzjmij −f1Xi+txj Zi+tzj

2 +2

j=0

P i=0

rTyjmij

rTzjmij −f2Yi+tyj Zi+tzj

2

(4.2)

miは画像特徴点の位置座標に関するベクトル表現であり、rxryrzは回転表列Rの 各軸成分を表す行ベクトルである。txtytzは 、ワールド 座標系からのカメラ位置へ の平行移動成分、XYZはワールド 座標系から見た特徴点の3次元座標を表す。ま た、iは画像、jは特徴点の番号を表す。この式(4.2)の非線形の評価関数から 、RT、特徴点の3次元位置の補正をおこなう。計算手順としては、まず式(4.1)の線形最 小化により特徴点の3次元位置を暫定的に求め、それらを初期値として非線形最小化の 評価関数式(4.2)に入力する。真値に近い初期値が得られれば 、局所解に落ちにくく、収 束の速い最小化処理が可能となる。また、対象物の発見処理では、ロボットは直進走行 するため、動作モデルから得られるカメラの移動距離は比較的信頼できると考え、カメ ラの移動量はオド メトリから得たロボットの移動距離によって決定する。さらに、カメ ラの床面からの高さtzはロボットが移動しても変化しないので 、評価関数Cの変数を ψθtyと、特徴点の3次元位置(X, Y, Z)となり、3×(3×特徴点数)個の変数に対 して最小化処理をおこなう。

非線形最小化には、勾配法のひとつであるニュートン法を用いる。この処理の追加によ り、オド メトリから得られたカメラの位置・姿勢と、暫定的に求めた特徴点の3次元位 置を同時に補正する。

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