第 6 章 統合に向けて
6.2 ロボット の動作計画
第 7 章 まとめ
本論文では 、単眼のカメラを搭載した移動ロボットにより、物体の3次元形状モデルを獲得 する手法を提案した。提案手法は、コンピュータビジョンの手法を適切に組み合わせ、ロボッ トが実環境で動作するが故に発生する様々な誤差に対処することで、移動ロボットに搭載す る目的に則した、高速な形状モデリングが可能である。さらに 、移動ロボット「山彦」に単 眼カメラを搭載した実験システムを構成し 、実際にロボットを走行させながら取得した画像 列を用いて実験をおこない、有効性を示した。
提案手法は 、
• 対象物の位置・形状・大きさは未知で良く、マーカ等を必要としない
• モデリングの対象物をロボットが自律的に決定する
• ロボットが走行しながら可能な高速かつ逐次的に形状を獲得できる
といった特長を持つ。さらに 、ロボットの動作モデルを用いずに形状モデリングをおこなえ るため、カメラをロボットの車体の上でなく、マニピュレータの手先に取り付けたり、カメ ラの動きデータが得にくい機体の場合でも適用が可能である。
ロボットが物体の操作などをおこなう従来の研究では 、物体の形状モデルや、形状の構成 要素などを事前知識として与えておくものがほとんどである。本研究では 、人間があらかじ めロボットに与えておくことができる事前知識には限りがあると考え、ロボットが自律的に 操作対象物の情報を獲得するといったアプローチをとっているところに新規性がある。
本研究で形状モデリングを実現した物体はまだ少数であるが 、日常に存在する多くの物体 や環境でこの機能を適用できるようになれば 、物体の把持やナビゲーション 、経路計画など の従来の研究成果と組み合わせることで、現状で日常生活に存在するロボットの機能をはる かに上回るような「人間の役に立つ」自律ロボットが実現できると信ずる。
謝辞
本研究は、工学博士 坪内孝司 筑波大学機能工学系助教授のもとでおこなわれたものです。
同助教授には 、研究を進めるに際し 、適切かつ熱心なご 指導とご 助言をいただきました。本 論文をまとめるに当たっても、適切なご 助言をいただきました。
友納正裕 科学技術振興機構 さきがけ には 、研究の方針や理論に関する相談にたびた び乗っていただきました。同氏から学んだことは、本研究の範疇を越え、これからの研究活 動や日常生活にも役立つことばかりでした。
工学博士 油田信一 筑波大学機能工学系教授、工学博士 大矢晃久 筑波大学機能工学 系助教授、工学博士 中村裕一 筑波大学機能工学系助教授には 、本研究にとって有益な助 言をいただきました。また、筑波大学機能工学系知能ロボット研究室の諸氏には 、多くの協 力、支援、アドバイスをいただきました。特に、大野和則氏、入江清氏とは、情報処理推進機 構・未踏ソフトウェア創造事業ユース枠の採択プロジェクトにおいて 、ソフトウェア開発の ための多くの議論とプログラムの実装を昼夜を問わず共におこない、忙し くも充実した、楽 しい時を過ごさせていただきました。以上のみなさまに深く感謝いたします。
最後に、わがままばかりで帰省することも少ない息子を、暖かく支援してくださる両親と、
いつも後ろを振り向いて私を気にかけてくださる姉に、この場をお借りして深く感謝の意を 表し ます。
付 録 A コンピュータビジョン手法
本章では 、論文中で用いている既存のコンピュータビジョンの手法について 、モーションス テレオ、因子分解法、非線形最小化、エピポーラ幾何の概要と、本編で書き切れなかった数 式的な表現について述べる。また一般には 、これらの手法を用いる際の基準座標系は 、画像 を最初に取得したカメラのカメラ座標系とされることが多いが 、本研究では基準座標系がロ ボットが走行する床面上に存在している。そこで、これらコンピュータビジョンの手法につ いて述べると共に 、復元された情報を本研究での座標系やカメラパラメータへ変換する方法 についても、算出の詳細を述べる。