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大阪市立大学 理学研究科 分析室

ドキュメント内 NMRvol7_hp.indd (ページ 104-107)

日本核磁気共鳴学会 

N M

R

2 0 1

6

7巻

NMR

研究室便り

N M R研究室便り

たいと考えました。最終的に全工事完成後、この

1

台だけが他の

NMR

室エリアから離れて位置するこ とにはなりますが。

3.

測定効率向上のための試み

(1)システム関係

分析室の

NMR

はかつてサイバー攻撃を経験し たことから、それまでの学内

LAN

経由でのデータ 吸い上げが可能な方式をやめ、スタンドアロン方 式に切り替え、データは本体

PC

システムから各自

USB

で持ち帰る形をとってきました。その後、ウイ ルスに感染している学生の

USB

で本体

PC

が感染 し、駆除に大変苦労した経験もあり、各研究室には

NMR

専用

USB

を用いてもらい、責任をもってウイ ルス対策を行ってもらってきました。

加えて分析室

NMR

では、毎年化学系ユーザー を中心に

150

名近くの登録があります。それぞれが 比較的マナーの良い共同利用を実践してもらってお り、ユーザーの本人測定の稼働率は汎用機

3

台にお いて、

2011

年度

8,884 hr

2012

年度

8,274 hr

2013

年度

8,380 hr

程度ありました。しかもその研究分野 は有機化学・無機化学に加えて、物理化学分野と 広範囲であり、以上の背景から、今後

1

年間

1

台で やっていくため相当の工夫が必要でした。

例えば自動測定モードの固定画面での測定の形 をとればかなり効率的な運営が可能ですが、マニュ

アル測定を望む無機化学系のニーズもあり、図

2

a

のように研究室の数のアカウントを作成し、ロ グインを研究室ごととしました。

データ取得に関しては、工事半ばでネットワーク 関係の整備も部分的な環境下、

2

nd

PC

を設置し本体

PC

とイントラネットで結び、本体

PC

は測定のみに 利用し、データ吸い上げはすべて

2

nd

PC

デスクトッ プから行うこととしました(図

2

b

)。

自動測定にあるアーカイブ機能を有効活用するこ とで、測定データを

2

台の

PC

に同時に落とすこと が可能であったため、持ち時間ぎりぎりまで測定を 行い、次のユーザーと交代することが可能になりま した。

また最近の装置の技術は目覚ましく、回転なしで も遜色ない線形のプロトン測定が可能でしたので、

重クロ、アセトン等の溶媒においては

no spin

設定 として、回転不良でロックに進まない等のエラー軽 減と時間短縮を目指しました。

(2)オートサンプラー関係

設置していたオートサンプラーは、本来標準試料 管仕様であり、「ヤング管等の特殊試料管は対象外 である」とメーカーの取説にもありましたが、有機 化学、無機化学のユーザーが同様に

1

台の装置を使 わざるを得ない今回の状況では、それでも何とか測 定可能な環境にせざるをえませんでした。当初はサ

2 測定効率を上げるための工夫

(a)本体PCログイン画面(左上図)、(b) 2nd PC デスクトップのショートカット(左下図)、(c)オートサンプラー最 適化(右図)

(c)

(a)

(b)

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7巻 ンプル出し入れのエアー量調整が大変で、通常の

試料管に合わせると重い試料管測定で排出エラー を起こすことがあり対策に追われました。

エンジニアさんに苦労をおかけしながら、エアー 量を最適な状態に調整し、バッファータンク設置に よる

mild

なエアーでの制御法を取り入れたことで、

2

c

のような状況でも問題なく測定が可能とな りました。

以上のような

1

つひとつの試みにより、

1

こま

30

分で

9

本近くのプロトン測定が可能となり、夜中

2

3

時にも測定予約が入っているような状況ではあ りましたが、怒涛のような

1

年間を何とか切り抜け ることができました。

(3)他施設からの援助をうけて

一方でもっぱら依頼測定を行ってきた

600 MHz

も例年

6,000

時間を越えるマシンタイムが必要であ り、学内他部署の装置で室温測定は可能でしたが、

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Se

等の多核測定や物性研究のための高温や低温 等の温度可変測定はお手上げ状態となりました。

しかし、大阪大学科学機器リノベーションのシス テムを利用して、理学研究科技術部に依頼測定が 可能となりました。モノレールに乗って柴原駅を目 指していたのが懐かしく思い出されます。

ついでながら、質量分析装置においてもまったく 同様な状況であったため、こちらについても、大学 連携研究設備ネットワークを通じて、大阪大学産業 科学研究所に通い、セクター型質量分析装置を使 わせてもらい持参したサンプルの測定をするという

1

年でした。

4.

嵐が去って今

2015

年の初めから、ようやく封印されていた分 析室エリアに立ち入りが可能となりはじめ、春には 各装置が立ち上がりました。

もともと導入後経年による老朽化に加え、

1

年放 置後、各装置が立ち上がるかが懸念される状況で あったことから、

1

年間の工事期間中に協議が重ね られました。その結果、運営委員会や財務担当部 署、大阪市、各メーカーの担当者等、多くの方々の 尽力により、各装置の分光計部の刷新が可能とな り、図

3

のように、現在順調に稼働しています。

分析室では、ユーザーの研究分野が多岐に及ぶ ため、多くを学べる環境に感謝しています。また耐 震工事を前後して、質量分析も担当しており、こち らについても嘱託職員とともにユーザーからの要望 に何とか応えようと奮闘しています。

この間、研究のサポートのためあらゆる努力をさ れた本学運営委員会の先生方、ユーザー研究室の 先生方と学生さん、日々ずっとサポートいただいた メーカーの皆様、さらに測定でお世話になった大阪 大学の技術職員の方々、現在の

NMR

室環境整備の ために尽力下さったすべての皆様に心から感謝い たします。

(a)600 MHz NMR室

3 工事完成後再開した各NMR室

(b)400 MHz NMR室(2台 1室)

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