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分類項目の設定にあたって大分類 B に適用されている分類基準は、機関・組織の種類と 役職である。その結果、中分類レベルには議会議員、会社・団体の役員、会社・団体の管理 職の各項目が設定されている(図表 7)。管理職を議会議員、会社・団体の役員、管理職員 に 3 分割する考え方は国際標準職業分類でも採用されている。日本標準職業分類と国際標準 職業分類との一番大きな違いは、管理職員の細分化の方法である。前者は分類基準に組織の 種類を適用して会社、特殊法人、その他の管理職員の項目を設けている。これに対して後者 は、管理業務の対象分野を分類基準に掲げて事務管理部門、生産部門、ホテル・レストラン

・小売店舗部門の管理職員の項目を設定している。日本標準職業分類の大分類 B は、管理 職の就業者数を統計的に集計するときには全体像を容易に把握できる体系になっているが、

管理業務の対象分野で項目を分けていないため職業紹介等の実務では使いにくい面がある。

大分類 B のもうひとつの特徴は、専ら経営管理を行う者だけが該当することである。経 営管理とともに、それ以外の実務にも従事する者は、管理職の項目ではなく実務者の項目に 位置づけられる。たとえば、自ら営業活動を行う営業課長・営業所長等は、役職は管理職で あっても職業分類上は会社管理職員には該当せず、大分類 D の販売の職業(外交員)に位 置づけられる。大分類 D「販売の職業」に「321 小売店主・支配人」、「322 卸売店主・支配 人」、「323 飲食店主・支配人」、「334 質屋店主・店員」の各項目が設定されているのはこの 理由による。

(2) 主な問題点

職業紹介業務の視点に立つと大分類 B の一番大きな問題は、管理職員の細分類項目が本 社・支店・工場の組織別に設定されていて、管理業務の対象分野別に設定されていないこと である。求職者の求人探索行動をみると、一般的にはそれまでの仕事経験を生かすことので きる求人を探そうとする意識が強く働いている。このため管理職の仕事を希望する求職者に とっても管理職の項目が組織別に分かれているよりも管理業務の対象分野別に分かれていた ほうが求人検索が容易になると思われる。

(3) 改訂素案

大分類 B の見直し結果を総括すると図表 8 のようになる。小分類項目別に見直し作業の 結果をまとめたものが図表 9、その中から項目だけを抜き出して新旧対照表の形にしたもの が図表 10 である。

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図表7 大分類 B 「管理的職業」の構成(中・小分類項目)

議会議員(国会議員、地方公共団体議会議員)

公務員 国家公務員(中央省庁、地方支分部局)

地方公務員(地方公共団体、地方公共団体出先機関)

会社役員(社長・会長、重役)

役員 特殊法人役員(公団・事業団等、特殊会社)

その他(公益法人、経営者団体、労働組合)

管理職 会社・団体

会社管理職員(本社部課長、支店・工場等部課長)

管理職員 特殊法人管理職員(公団・事業団等、特殊会社)

その他

その他 (個人経営事業所の経営者など)

(注)括弧内は細分類項目

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図表 8 大分類 B「管理的職業」の細分類項目改訂素案の総括表

改訂案 該当項目 主な改訂理由

(現行分類番号)

小分類項目 項目名の変 222 特殊法人の役員 → 独立行政法人・特殊法

更 人の役員

232 特殊法人の管理職員 → 独立行政法人・特 殊法人の管理職員 細分類項目 新設 239 デイサービスセンター等の福祉施設の施設長 に対応した項目として「福祉施設管理者」を 設定した。

体系の見直 231 役職別の項目に代わり管理する部門別の項目

し に変更した。

222-10、-20 両者を統合して「独立行政法人・特殊法人の 役員」を設定した。

232-10、-20 両者を統合して「独立行政法人・特殊法人の 管理職員」を設定した。

項目名の変 241

-

10 個人経営者・管理者 → 個人経営事業所の

更 経営者・管理者

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図表 9  大分類  B  「管理的職業」の細分類項目に関する改訂素案

       

現行(平成 11 年改訂)  新規求人数

合計 

集約・特掲

コード合計 改訂素案  主な改訂理由 

B  管理的職業  20,390             

21  管理的公務員  185             

211  議会議員  21      211  議会議員     

211-10  国会議員  20  20   211-01  議会議員  ○議会議員の求人申込みは例外的だと考えられる(現実には 21 件あ 

211-20  地方公共団体議会議員  0  0       る)。求人件数にかかわらず本項目は設定しなければならない項 

      (分類番号の対応)    目である。しかし、職業紹介業務用の職業分類に国会議員と地方 

      211-01:211-10、-20    議会議員に分けて項目を設定する必要性は乏しいと考えられる。 

212  管理的国家公務員  46      212  管理的国家公務員     

212-10  中央省庁幹部  32    212-01  管理的国家公務員  ○本項目は国家公務員の管理職である。公務員、それも管理職の求 

212-11  事務次官  0        人がハローワークに申し込まれることは例外的だと考えられる 

212-12  中央省庁の局部長  0  (分類番号の対応)    (現実には 46 件ある)。求人件数にかかわらず本項目は設定しな 

212-13  中央省庁の課長  0 

32

  212-01:212-10、-11〜13、-20、-21〜22、-30    ければならない項目である。しかし、職業紹介業務用の職業分類 

212-20  地方支分部局幹部  9        に国家公務員の管理職を機関別(中央府省庁、地方局、行政委員 

212-21  地方支分部局の長  5        会)に設定する必要性は乏しいと考えられる。 

212-22  地方支分部局の課長  0 

14

         

212-30  国家行政委員会委員  0  0        

213  管理的地方公務員  118      213  管理的地方公務員     

213-10  地方公共団体の三役  54    213-01  管理的地方公務員  ○本項目は地方公務員の管理職である。管理職の求人がハローワー 

213-11  知事・市町村長  0        クに申し込まれることは例外的だと考えられる(現実には 118 件 

213-12  副知事・助役  0  (分類番号の対応)    ある)。求人件数にかかわらず本項目は設定しなければならな 

213-13  出納長・収入役  4 

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  213-01:213-10、-11〜13、-20、-21〜22    い項目である。しかし、職業紹介業務用の職業分類に地方公務員  213-20  地方公共団体の幹部  15      -30、-31〜32、-40    の管理職をその機関別に設定する必要性は乏しいと考えられる。 

213-21  地方公共団体の局部長  1       

213-22  地方公共団体の課長  2 

18

         

213-30  地方公共団体出先機関の幹部  1         

213-31  地方公共団体出先機関の長  30         

213-32  地方公共団体出先機関の課長  0 

31

       

213-40  地方行政委員会委員  2  2        

22  会社・団体の役員  1,297       

221  会社役員  1,262      221  会社役員     

221-10  会社社長・会長  9  9   221-01  会社役員  ○会社役員 

221-20  会社重役  1,246  1,246       会社法にいう役員は、取締役・会計参与・監査役を指している(329 

      (分類番号の対応)    条)。会社法施行規則では、執行役・理事・監事なども役員に含めて 

      221-01:221-10、-20    いる。一般的には執行役員までを含む意味で使用されることが多い。 

      ○重役 

      一般に株式会社の取締役と監査役を指すが、執行役員を含めることもある。 

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      ○「会社役員」と「重役」との重複 

      現行の項目は、社長・会長と重役は重複しないことを前提にしてい 

      る。しかし、法律的にみて、また一般的な認識から言ってこのような 

      区分には無理がある。役員と重役はほぼ重複する。取締役の中から社 

      長と会長を除くのであれば、現行の-20「重役」は「重役(社長、会長 

      を除く)」にしなければならない。しかし、「社長・会長」の求人は 

      9 件にすぎない。項目として設定する必要のあるものは、重役(=役 

      員)である。 

222  特殊法人の役員  4             

222-10  公団・事業団等の役員  4  4 小分類項目名の変更  ○独立行政法人 

222-20  特殊会社の役員  0  0 222  独立行政法人・特殊法人の役員    特殊法人の大半が独立行政法人に移行していることから、小分類 

      222-01  独立行政法人・特殊法人の役員    項目名を「独立行政法人・特殊法人の役員」に変更する。 

      ○求人 

      (分類番号の対応)    複数職業の併記された小分類項目名は、細分類レベルでそれぞれ 

      222-01:222-10、-20    別々の項目を設定するのが一般的であるが、求人件数から判断 

      する限り項目を細分化する必要は乏しいと考えられる。 

229  その他の法人・団体の役員  31      229  その他の法人・団体の役員     

229-10  公益法人役員  19  19   229-01  公益法人役員  ○現行の 3 つの集約項目で全求人の 75%をしめている。その中で特に 

229-20  経営者団体役員  2  2   229-99  他に分類されない法人・団体の役員    求人の多いものは公益法人役員である。経営者団体と労働組合の 

229-30  労働組合役員  1  1 (分類番号の対応)    求人は合わせても 3 件にすぎない。したがって公益法人役員のみ 

229-99  他に分類されない法人・団体の  7  7   229-01:229-10    項目を設定する。 

    役員      229-99:229-20、-30、-99     

23  会社・団体の管理職員  16,239             

231  会社の管理職員  14,516      231  会社の管理職員     

231-10  会社の管理職員  6,934    231-01  事務部門管理職員  ○管理職の区分法 

231-11  本社部課長  1,465    231-02  営業部門管理職員    現在の項目は事業所における役職を分類基準にしているが、管理職を 

231-12  支店・工場等の長  3,406    231-04  生産関連管理職員    求める求人企業の関心事は応募者の管理職としての経験とその分野で 

231-13  支店・工場等の部課長  1,715 

13,520

  231-99  他に分類されない会社の管理職員    ある。他方、応募者は通常、管理職として経験のある分野での求人を 

      求める。したがって、管理職の項目の細分化にあたっては、担当分野 

      (分類番号の対応)    を分類基準にすることが適当であると考えられる。 

      231-01:231-(10、-11、-13)の一部  ○求人 

      231-02:231-(10、-11、-13)の一部    全体で 14500 件あまり、各特掲項目には 1000 件以上の求人がある。求人 

      231-04:231-(10、-11、-13)の一部    件数の分布から判断すると項目の細分化を検討すべきであると考えら 

      231-99:231-(10、-11、-13)の一部、-12    れる。しかし、細分化する際には、大分類 B の特殊性を考慮しなければ 

      ならない。大分類 B に位置づけられる求人は、専ら経営管理の仕事に 

      従事する者である。経営管理とともに当該分野の実務に従事する者 

      は、管理職の項目ではなく、実務者の項目に位置づけられなければな 

      らない。 

      ○管理職に位置づけられる求人 

      大分類 B の職業定義を求人に適用すると、たとえば営業活動を行う 

      営業課長(部長)は、231 ではなく営業職の 327 になる。また、従来 

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