第 5 章 実験結果
5.2 変形破壊挙動およびひずみ計測結果
5.2.2 変形破壊挙動およびひずみ計測結果のまとめ
59
60
し,インバートの剛性のみが局所的に上がった場合,上半アーチや隅角部など他の箇所が 相対的に弱部となり,トンネルの耐力の向上につながらない可能性がある.そのため,イ ンバートの剛性を上げる場合,トンネル構造全体の剛性を上げることを検討する必要があ ることが本実験結果から考えられる.
図 5.2.20に,ひび割れ発生箇所をまとめたものを示す.上半アーチはいずれのケースも 45度方向にひび割れが発生した.下半部のひび割れは,ケース1~3とケース4~6で異な る傾向が見られた.ケース1~3は盤ぶくれが発生したため,インバート中央部にひび割れ が発生したが,ケース4~6は地山の変形に追従して変形し,45度方向にのみひび割れが発 生した.このことから,アルミ棒積層体で模擬した未固結粒状体地山においてせん断変形 を受けるトンネルの場合,インバート比を小さくし真円に近づけることや,インバートの 増厚を行うことによって盤ぶくれが発生する変形モードから,せん断変形し45度方向にひ び割れが発生する変形モードへと変わることが考えられる.
図 5.2.20 ひび割れ箇所
61
載荷開始時のひずみをまとめたものを図 5.2.21に示す.全体を通して見ると,ケース6 の真円が最もひずみが小さくなっている.真円およびケース 3 以外のケースはインバート 中央である180°は圧縮となっている.図 5.2.22に地山のせん断ひずみ1.1%の各ケース のひずみをまとめたものを示す.この値は載荷開始時からの増減分である.
ケース6は45°・225°が圧縮,135°・315°が引張のひずみとなっており,模型の挙
動から想定されるひずみと一致しており,ひずみゲージによるひずみ計測は可能であると 考えられる.しかし, ケース 3 のように値が不安定であったりする場合もあることから,
より安定したひずみ計測を行うために,計測方法の改善が必要である.
-400 -300 -200 -100 0 100 200
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ケース1 3.0R ケース2 3.0R増厚 ケース3 2.0R ケース4 2.0R増厚 ケース5 1.5R ケース6 1.0R
図 5.2.21 載荷開始時のひずみ
-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ケース1 3.0R ケース2 3.0R増厚 ケース3 2.0R ケース4 2.0R増厚 ケース5 1.5R ケース6 1.0R
図 5.2.20 地山のせん断ひずみ 1.1%時のひずみ
62
ひずみゲージによる計測結果には,模型の挙動から考えられるひずみと異なる点や多少 のばらつきが生じている.これらの原因として次のようなことが考えられる.
アルミ棒の積み方
アルミ棒はできるだけ隙間なく,均等に積み上げているものの,アルミ棒の配列に よって隙間が無い箇所と多い箇所ができてしまう.隙間がない箇所が模型上方に多く 存在してしまうと,偏土圧のように鉛直方向以外からの荷重として模型に作用してし まう可能性がある.
ひずみゲージの貼り付け方法
本来,ひずみゲージはショートを避けるために貼り付け後に表面をテープなどで保 護し,模擬地山であるアルミ棒と直接接触しないようにする.しかし,模型材料が非 常に低強度で,テープを貼ってしまうと模型自体が補強されてしまう可能性があった ため,ひずみゲージをむき出した状態のまま実験を行った.これにより,ひずみにば らつきが生じた可能性が考えられる.
ひずみゲージとアルミ棒の接触状況
アルミ棒の配列によっては,模型とアルミ棒の間に隙間が大きくできてしまうこと がある.また,実験中に模型周辺のアルミ棒が動き,ひずみゲージに接触したため急 激にひずみが大きくなった可能性が考えられる.
63