第 5 章 実験結果
5.2 変形破壊挙動およびひずみ計測結果
5.2.1 各ケースの変形破壊挙動およびひずみ計測結果
写真 5.2.1 に崩壊直前の覆工模型を,写真 5.2.2 に崩壊後の覆工模型を示す.図 5.2.1 に示すように,Δ/H=0.9%でインバート中央部に盤ぶくれによる最初のひび割れが発生し た.その後,Δ/H=1.8%上半アーチ45度方向に発生したひび割れは,覆工模型がせん断変 形し生じた引張力によるものである.ひずみの計測値から,模型外側にも模型内側とほぼ 同じタイミングでひび割れが発生していたと考えられる.盤ぶくれが進行し,Δ/H=8.2%
でインバートがトンネル内空側に向かって押し込まれ,端部が割れ崩壊した.上半アーチ の変形は比較的小さく,盤ぶくれにより大きな変形が発生した.
写真 5.2.2 崩壊(Δ/H=8.2%)後の模型 写真 5.2.1 Δ/H=8.0%の模型
図 5.2.1 ひび割れ展開図
48
図 5.2.2にアルミ棒を積み上げた段階で,模型外側に生じたひずみの値を示す.アルミ 棒を積み上げることにより側壁部には引張,天端・インバートには圧縮ひずみが生じてい る.インバート中央部である180°と側壁部の270°にひずみが大きく生じている.
図 5.2.3に模型外側45°ピッチで計測したひずみの推移を示す.載荷開始時のひずみを 基準とし,載荷による増減を示している.Δ/H=2.0%付近で一つ目のピークがみられ,この 時点で上半アーチの模型外側にひび割れが発生したと考えられえる.Δ/H=4.2%で180°の 点のピークがあるが,この計測点はひび割れから非常に近い距離にあったため,軸力によ り大きな圧縮ひずみが生じたと考えられる.Δ/H=8.2%で各点とも大きな変化が見られ,
この段階でトンネルの形状は保っていたものの,崩壊に近い状態となっていたと考えられ る.
-900 -800 -700 -600 -500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0
ひずみ(μ),-:圧縮
地山のせん断ひずみ(%)
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
図 5.2.3 ひずみの推移 -200
-100 0 100 200 0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ゼロ基準線 載荷開始時
図 5.2.2 載荷開始時のひずみ ひずみ(μ)
49 ケース2 3.0R増厚
写真 5.2.3 に崩壊前の覆工模型を,写真 5.2.4に崩壊後の覆工模型を示す.図 5.2.4 に 示すように,Δ/H=2.7%でインバート中央部に,Δ/H=2.9%で右肩部に曲げ引張ひび割れ が発生した.右肩部のひび割れはΔ/H を大きくすると拡大していき,最大でひび割れ幅は 3mm ほどに達した.このひび割れは貫通し,模型は完全に分離した状態となったものの,
軸力が生じ変形していった.上半アーチの変形とともに,構造的により弱部であるインバ ートの盤ぶくれが進行し,Δ/H=13.3%でインバートがトンネル内空側に向かって押し込ま れ崩壊した.左隅角部は崩壊時には割れたが,載荷時にひび割れは確認できなかった.
図 5.2.4 ひび割れ展開図 写真 5.2.3 Δ/H=13.1%の模型
写真 5.2.4 崩壊(Δ/H=13.3%)後の模型
50
図 5.2.5 にアルミ棒を積み上げた段階で,模型外側に生じたひずみの値を示す.インバ ート中央部に圧縮ひずみが大きくなっている.天端が引っ張りで315°が圧縮となっている.
上半アーチの日ひずみは315°の点が圧縮ひずみとなっており,アルミ棒を積み上げた段階 で偏土圧のような荷重が作用していた可能性がある.
図 5.2.6 に模型外側に45°ピッチ貼り付け計測したひずみの推移を示す.Δ/H=2.0%付
近で315°が引張から圧縮に変わるなど一つ目のピークがみられ,この時点で模型にひび割
れが発生したと考えられえる.Δ/H=13.0%付近で各点とも大きな変化が見られ,崩壊には 至っていないものの圧縮ひずみが解放された状態となっていた.
図 5.2.6 ひずみの推移 -1600
-1400 -1200 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
ひずみ(μ),-:圧縮
地山のせん断ひずみ(%)
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
-250 -200 -150 -100 -50 0 50 100 0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ゼロ基準線 載荷開始時
図 5.2.5 載荷開始時のひずみ ひずみ(μ)
51
ケース3 2.0R
写真 5.2.5 に崩壊直前の覆工模型を,写真 5.2.8 に崩壊後の覆工模型を示す.図 5.2.7 に示すように,Δ/H=0.9%でインバート中央部内側に,Δ/H=1.3%で右肩部内側に曲げ引 張ひび割れが発生した.右肩部内側および左肩部外側のひび割れは,覆工模型がせん断変 形し引張力が生じたため発生し,インバート中央部のひび割れは盤ぶくれにより発生した.
右下隅角部のひび割れは盤ぶくれによりインバートがトンネル内空側に押し込まれ,その 変形により発生した.Δ/H=11.3%でインバートがトンネル内空側に向かって押し込まれ,
端部が割れ崩壊した.
写真 5.2.6 崩壊(Δ/H=11.3%)後の模型
図 5.2.7 ひび割れ展開図 写真 5.2.5 Δ/H=11.1%の模型
52
図 5.2.8 にアルミ棒を積み上げた段階で,模型外側に生じたひずみの値を示す.模型右 側と左側でひずみの分布が不均一となっているが,全体を通してひずみは小さいので模型 に対して大きな影響はないと考えられる.
図 5.2.9に模型外側に45°ピッチ貼り付け計測したひずみの推移を示す.他のケースと 比べて細かな変動が大きくなってしまっている.Δ/H=1.2%付近で各点の圧縮ひずみが小さ くなる変化が発生していることから,模型にひび割れが発生したと考えられえる.Δ /H=11.3%付近で各点とも大きな変化が見られる.
-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
ひずみ(μ),-:圧縮
地山のせん断ひずみ(%)
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
図 5.2.9 ひずみの推移 -100
-50 0 50 100 150 200 0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ゼロ基準線 載荷開始時
図 5.2.8 載荷開始時のひずみ ひずみ(μ)
53 ケース4 2.0R増厚
写真 5.2.7に崩壊直前の覆工模型を,写真 5.2.8に崩壊後の覆工模型を示す.図 5.2.10 に示すように,Δ/H=3.1%で右肩部内側に,Δ/H=4.0%で左隅角部にひび割れが発生した.
インバートに盤ぶくれによるひび割れは発生せず,45 度方向にのみひび割れが発生した.
写真 5.2.7に示すように左隅角部のひび割れは進展せず,右肩部のひび割れ幅のみ拡大し,
内空側に強く押し込まれ,Δ/H=12.2%で右肩部から崩壊した.増厚をしたインバートは変 形した様子が見られず,ひび割れ等の変状も発生しなかった.
図 5.2.10 ひび割れ展開図 写真 5.2.7 Δ/H=12.0%の模型
写真 5.2.8 崩壊(Δ/H=12.2%)後の模型
54
図 5.2.11にアルミ棒を積み上げた段階で,模型外側に生じたひずみの値を示す.増厚を したインバート部に比べて,上半アーチに発生した圧縮ひずみが大きくなっている.
図 5.2.11に模型外側に45°ピッチ貼り付け計測したひずみの推移を示す.模型内側にひ び割れが発生したΔ/H=3.0~4.0%でピークが見られる.45°付近に発生したひび割れから 模型が内空側に押し込まれたため,0°の点の引張のひずみが大きくなっている.その他の 点は最初のピーク以降,崩壊時までほぼ一定の値となっている.インバートにある135°,
180°,225°の点はΔ/H=4.0%以降の変動が特に小さく,インバートの曲率半径を小さく するとともに,増厚をしたことによりインバートの変形が抑制されたと考えられる.ケー ス1からケース3 では崩壊直前にひずみが大きく変化していたが,このケースでは見られ なかった.
図 5.2.12 ひずみの推移 -600
-400 -200 0 200 400 600 800
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
ひずみ(μ),-:圧縮
地山のせん断ひずみ(%)
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
図 5.2.11 載荷開始時のひずみ -400
-300 -200 -100 0 100 0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ゼロ基準線 載荷開始時 ひずみ(μ)
55
ケース5 1.5R
写真 5.2.9に崩壊直前の覆工模型を,写真 5.2.10に崩壊後の覆工模型を示す.図 5.2.13 に示すように,Δ/H=2.2%で右肩部内側に,Δ/H=2.4%で 225°付近内側に曲げ引張ひび 割れが発生した.盤ぶくれは発生せず,45度方向にのみひび割れが発生した.Δ/H=13.6%
で225°付近のひび割れから崩壊した.
写真 5.2.9 Δ/H=13.3%の模型
写真 5.2.10 崩壊(Δ/H=13.6%)後の模型 図 5.2.13 ひび割れ展開図
56
図 5.2.14にアルミ棒を積み上げた段階で,模型外側に生じたひずみの値を示す.インバ ート中央部にやや大きな圧縮ひずみが生じている.他の箇所に生じたひずみは小さい.
図 5.2.15に模型外側に45°ピッチ貼り付け計測したひずみの推移を示す.270°の値は Δ/H=11.6%で-1285となっていた.Δ/H=2.0%で一つ目のピークが見られることから,模 型にひび割れが発生したと考えられえる.
-400 -300 -200 -100 0 100 200
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
ひずみ(μ),-:圧縮
地山のせん断ひずみ(%)
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
図 5.2.15 ひずみの推移 -200
-150 -100 -50 0 50 100 150
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ゼロ基準線 載荷開始時
図 5.2.14 載荷開始時のひずみ ひずみ(μ)
57
ケース6 1.0R(真円)
Δ/H=2.2%で45°,225°の内側に引張によるひび割れが発生した.変位を与えていくと 写真 5.2.11・図 5.2.16に示すように,45度方向に曲げによる引張ひび割れが発生し模型 は楕円形に変形した.右肩部に発生したひび割れが貫通し,模型は完全に分離した交代に なっていたものの,軸力により形状を保っている状態となった.Δ/H=14.2%まで変位を与 えたところ,写真 5.2.12に示すように,右肩部が内空側に崩壊した.
右側から変位を与えた場合,地盤の変形に伴い覆工模型もせん断変形し,左下および右 上45度方向の外側には圧縮力が,内側には引張力が生じ,覆工模型は圧縮に比べ引張に弱 いため引張力を受ける左下及び右上 45 度方向の内側が先に破壊することを想定しており,
本実験はその想定通りの結果となった.
写真 5.2.12 崩壊(Δ/H=14.2%)後の模型 写真 5.2.11 Δ/H=14.0%の模型
図 5.2.16 ひび割れ展開図
58
図 5.2.17にアルミ棒を積み上げた段階で,模型外側に生じたひずみの値を示す.天端は 圧縮ひずみが生じていたが,他の箇所は引張ひずみが生じていた.
図 5.2.18に模型外側に45°ピッチ貼り付け計測したひずみの推移を示す.Δ/H=2.0%付 近で一つ目のピークがみられ,ここで模型にひび割れが発生したと考えられえる.
-800 -700 -600 -500 -400 -300 -200 -100 0 100 200
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
ひずみ(μ),-:圧縮
地山のせん断ひずみ(%)
0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
図 5.2.18 ひずみの推移 図 5.2.17 載荷開始時のひずみ
-150 -100 -50 0 50 100 150 0°
45°
90°
135°
180°
225°
270°
315°
ゼロ基準線 載荷開始時 ひずみ(μ)
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