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基本的考え方

ドキュメント内 Microsoft Word - ★070903 修正 報告案.doc (ページ 92-100)

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2 基本的考え方

2.1 実態を踏まえたニーズ、要求要件(伝送距離、伝送方式)

2.1.1 要求条件

ア HDTV 番組素材伝送に必要な画質(コーデック)とビットレート

HDTV番組素材伝送に必要な画質は、低遅延コーデックを使用した場合に140

~440Mbps程度のビットレートが必要となる。また、非圧縮方式ではHDTVの有 線インタフェース規格であるHD-SDIと同等の信号を伝送する期待があり、その 目標ビットレートは1.5Gbps程度となる(参考資料17)。

イ 運用形態ごとの許容遅延時間

番組中の掛け合いや映像切替え、送り返し映像を用いてのカメラマンの操作 を考慮すると、許容される映像の遅延時間は66ミリ秒(2映像フレームに相当)以 内である。

ウ 伝送距離と周波数有効利用

ワイヤレスカメラで利用する場合には、送信空中線は比較的広角な指向性を 用いる。特に、無指向性アンテナを用いる場合には、受信側に35dBiという高い 利得のアンテナを用いても伝送距離は高々数百mである(参考資料18表3)。

ほぼ静止した環境でより長距離をFPUで伝送する場合には、送受共に高利得 の空中線で運用するが、そのアンテナのシャープな指向性範囲外ではほとんど 干渉が生じない。また指向性の範囲内においても、自由空間損失に加え、大気

(酸素)吸収の影響(1dB/km @42GHz、5dB/km @55GHz)や降雨の影響(強度

20mm/hの降雨で5.3dB/km @42GHz (偏波V) 、7.0dB/km @55GHz(偏波V))も大 きく、送受合わせて利得60dBiのアンテナを用いてさらに伝送方式を選んでも 高々数kmでの利用が限界である。

このように、ミリ波は比較的狭い範囲で利用されるため、同一周波数を空間的 に使い分けることが容易であり、この特性を活かして広帯域な周波数帯を有効 に利用する必要がある。

エ その他の要求条件

その他、ミリ波FPU(以下ではより一般的にミリ波番組素材伝送システムと呼 称する)として必要な条件を表3-1に要求条件としてまとめた。

表 3-1 ミリ波番組素材伝送システム要求条件 利用装置

項目

ワイヤレス カメラ

レール

カメラ FPU

最大伝送距離 屋内 50m 屋外 250m

屋内 250m

屋外 250m 屋外 1km 遅延時間

映像フレーム以内 1 又は 2 1 1 又は 2 移動及び

マルチパス対策 要す 要す 要す

目標情報ビットレート

140Mbps~

1.5Gbps

(注 1)

1.5Gbps

140Mbps~

1.5Gbps

(注 1)

同時使用 チャネル数

1 以上 最大 8 程度

(注 2)

1

1 以上 最大 8 程度

(注 2) 送り返し回線数 1 以上 0 以上 0 以上

注 1:コーデックは、例えば MPEG-2(フレーム内符号化のみ)及び JPEG2000 等が想

定される。

注 2:例えば、映像 FPU を実際に使用している在京の放送事業者(日本放送協会、

広域民間放送事業者、県域放送事業者、衛星放送事業者)の数からすると、

8チャネル程度あれば同じ現場から同時に利用できると考えられる。

2.1.2 ミリ波番組素材伝送システムのニーズ及び利用イメージ

ミリ波帯を利用した番組素材伝送は、他の周波数帯と比較して伝送距離が短い反 面、周波数帯が広く、チャネルを最適化することにより、HDTVの高画質、低遅延の伝 送が可能になる。表3-2に示すミリ波伝送装置に期待される仕様が実現できれば、表 3-3に挙げるアプリケーションが可能となる。

表 3-2 ミリ波番組素材伝送装置に期待される仕様

項目 期待される仕様

高画質 スタジオカメラ相当の高画質伝送

低遅延 HD 非圧縮伝送、もしくは低遅延コーデックの導入による遅延時間 2フレーム以内の伝送

小型化 波長が短いことによるシステムの小型化

機動性

システムの小型化による機動性の確保

無指向性アンテナ及びマルチキャリア変調による追尾不要な安定 受信の実現

表 3-3 想定されるアプリケーション例 使用用途 運用ケース 期待される効果 ワイヤレス

カメラ

(スタジオ)

・ 音 楽 番 組 、 ト ーク 番 組 ( 特 に 演 者 に 近 い 場所での撮影)

ワイヤレス カメラ

(中継番組)

・ ゴ ル フ 、 野 球 、 陸 上 競技等におけるフィー ル ド 上 、 及 び 観 客 席 等

・報道中継現場

・遅延量の大幅減少による、リップシ ンクずれの解決、ライブスイッチング の実現。

・ケーブルレスによる、これまで不可 能であった撮影の実現。(特に演者 の周りを一周するような撮影等)

・報道現場における機動性のある撮 影及び中継の実現

移動式カメラ

・スピードスケート等の 併 走 用 レール走 行 式 カメラ

・陸 上 競 技 、サッカー 等で利用されるワイヤ ー移動式カメラ

・小型無線システムと、超小型カメラ を合せた移動式カメラの簡便利用及 びこれに伴う演出効果の増大

・低 遅延化によるカメラ制御の精度 向上、ライブスイッチングの実現

リモコン式 カメラ

・大相撲、格闘技にお ける、コーナーカメラ、

吊カメラ

・サッカ ーゴール裏 カ メラ

・有線システムから無線システムへ 移行することによる、人件費、機材費 の低減

・ケーブル設営困難な場所からの撮 影による演出効果の増大

・低 遅延化によるカメラ制御の精度 向上、ライブスイッチングの実現

緊急報道 中継

・場所が特定できない 緊 急 報 道 現 場 からの 中継

・複数社が集まる報道 現場からの中継

・人込み、道路渡し等ケーブル敷設 が困難な場所からの迅速な中継

・低遅延化による掛け合い中継のス ムーズ化

・システム小規模化による収録目的 から中継対応への簡便化

図 3-1 スタジオ(左)及び中継(右)でのワイヤレスカメラ運用例

ミリ波伝送 ワイヤー移動式カメラ

図 3-2 移動式(ワイヤー移動式)カメラにおけるミリ波伝送の運用例

2.1.3 ミリ波番組素材伝送の運用形態と利活用への期待

ミリ波システムは今後の需要増が予想されるHDTV番組素材伝送の新たな手段を 提供するものである。スタジオ・ホール等屋内で使用するワイヤレスカメラシステム、

ゴルフ中継等屋外イベントで使用するワイヤレスカメラシステム、また短距離番組素 材伝送システムとして活用する。

本システムを利用するスタジオ・ホール等は電磁シールド環境であることや、建物 の壁等による外部への電波の減衰が期待できることを考慮すると、隣接スタジオでも 同一周波数の繰り返し利用が期待できる。放送局では複数スタジオを運用する例が 多く、同時に複数のミリ波システムの利用が可能である。またホール等では局地的な 電波利用となる等から、同一地域であっても複数システムが利用可能となる。また、

番組制作においても低遅延かつ高画質で伝送できるカメラシステムは、有線カメラと の親和性が向上するため、新規に採用することも期待できる。

機器の小型化、低廉化のためには、ミリ波集積回路技術が必要である。また、広帯

ミリ波伝送

ミリ波伝送

域のデジタル信号を劣化なく増幅する広帯域高出力電力増幅器の開発が必要となる。

さらに、非常に高いビットレートを扱うための高速デジタル信号処理が必要となる。

これらのデバイスは既に一部、製品化されつつあり、今後各放送局のスタジオや中 継現場で採用され、活発に利用されていくことが期待できる(参考資料19)。

2.2 検討対象とするミリ波番組素材伝送システム

前項で検討した利用イメージに基づく運用形態ごとに適用するミリ波番組素材伝送 システムを表3-4に示す。ここでは、チャネル幅の異なる3つのシステムを各周波数帯 に想定し、そのチャネル幅を呼称に冠し125MHzシステム、500MHzシステム及び1GHz システムとする。

125MHzシステムは、周波数帯域内で8チャネルを確保し、移動しながらの撮影等、

主にワイヤレスカメラとして同時に複数台の使用が求められる環境で使用する。すな わち、スタジオ、スポーツ中継の現場(トラック競技、野球場、ゴルフのグリーン上等)、

あるいは各種取材で使用することが想定される。

500MHzシステムと1GHzシステムは、処理遅延及び画質の要求とチャネル数のバ ランスを考慮して使い分ける。より高画質のHDTV映像を低遅延で伝送するため、高 指向性、高利得アンテナと共に主にFPUとして利用される。移動に要する軌道が決ま っていれば、レールカメラやワイヤー吊りカメラ等のように移動しながらの撮影にも用 いる。

表 3-4 ミリ波番組素材伝送システムの分類 システム

呼称

チャネル

幅 運用形態 変調方

式の例

125MHz

システム 125MHz

・ 同一場所で複数のワイヤレスカメラ 等を使用する場合。特に報道現場等 で複数の放送事業者が同時利用で きることを想定。

・ 近距離での移動伝送等に利用する 場合。

16QAM -OFDM

500MHz

システム 500MHz

・ 低次の PSK により 125MHz システム よりも伝送距離が必要な場合。

・ 多段中継接続をしても高画質を維 持しての伝送が必要な場合。

・ アンテナの指向特性等で相互の混 信等を回避できる場合。

BPSK QPSK

1GHz

システム 1GHz

・ より高画質で HD-SDI 相当の非圧縮 伝送が必要な場合。

・ アンテナの指向特性等で相互の混 信等を回避できる場合。

QPSK 8PSK 等

このうち、125MHzシステムは、さらに、3つに分類する。チャネル幅全域を用いるフ ルモード、そのチャネル幅を半分ずつ2つに分けて用いるハーフモード、そして最新の MIMO(multiple-input multiple-output)伝送技術を適用し、伝送容量をアンテナ数倍

(ここでは、2倍)に増量して用いる場合である。表3-5にその分類を運用例とともに示 す。

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