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3 ミリ波帯デジタル方式FPUの技術的条件
以下、ミリ波番組素材伝送システムの技術的条件の各項目について、その検討結 果をそれぞれの考え方とともに記述する。
3.1 周波数帯
各放送事業者が緊急報道時等に自由に周波数(チャネル)を使えるようにするため には、例えば在京の放送事業者の需要を考慮すると、8チャネル以上を同時に利用 できることが望ましい。
一方、ミリ波の特徴の一つである広帯域性を利用した、高画質、低遅延の伝送の ためには、映像情報の圧縮符号化を利用したとしても、少なくとも100MHz程度の占有 周波数帯幅が必要である(参考資料18)。
42GHz帯においては、チャネル間隔及び占有周波数帯幅を考慮して8チャネル確 保するには、現行の500MHz幅(41.5~42.0GHz)の周波数帯では不足するため、少な くとも1GHz幅の周波数帯が必要となる。
ミリ波はその伝搬特性から伝搬範囲は限られる。さらに、複数の放送事業者で同 一周波数帯を共用することが前提であって、運用調整(事前の運用調整及び緊急報
道等の事前調整ができない場合であっても現場で電波を発射する前に受信機等によ り状況を把握)してから運用することとなるため、仮に他のシステムと周波数を共用す ることとなっても運用実態から干渉は回避できる。
また、すでに1GHz幅の周波数帯を利用できる55GHz帯と、変復調器等の仕様の共 通化が図れ、機器の低廉化及び運用上の利便性向上が見込め、ミリ波の需要拡大 につながる。
よって、周波数帯は、表3-6に示すものとすることが適当である。
表 3-6 周波数帯
周波数帯の呼称 125MHz システム、500MHz システム、1GHz システム 42GHz 帯 41.0~42.0GHz
55GHz 帯 54.27~55.27GHz
3.2 通信方式
FPU、ワイヤレスカメラの本線としての使い方は「単向通信方式」、ワイヤレスカメラ のリターン信号(カメラへの送り返し信号)の伝送及びカメラ個々の制御/ステータス 情報の伝送も「単向通信方式」である。なお、ワイヤレスカメラのリターン信号の伝送 及びステータス情報の伝送は「同報通信方式」で複数のカメラで共通に利用されるこ ともある。
地上デジタル放送を直接現場で受信して制作時のモニターとして使うことは、放送 画像の遅延が大きいことから難しい。従って、デジタル放送時代には、低遅延の送り 返し伝送のニーズが高まり、FPUにも双方向の伝送が要求される。
よって、通信方式は表3-7に示すものとすることが適当である。
表 3-7 通信方式
125MHz システム、500MHz システム、1GHz システム 単向通信方式、又は同報通信方式
3.3 周波数配置
表3-4の分類にしたがい、125MHzシステム、500MHzシステム、1GHzシステムの3
種類を想定し、1GHzの周波数帯幅をそのチャネル幅を基準にシステムごとに分割し て利用できるようにすることが適当である。
125MHzシステムは、高画質、低遅延の移動伝送が可能なFPUやワイヤレスカメラ を複数台同時に利用することを主に想定している。42GHz帯又は55GHz帯の1GHz幅 の周波数帯を8分割するものをフルモードとすることにより、報道現場等で各放送事 業者が集まった場合でも同時に使用可能となる。
なお、2.2項及び表3-5で示したように、125MHzシステムにハーフモードを導入する ことは、導入の初期段階での機器の実現性や運用の柔軟性を考慮すると、ミリ波の 早期の実用化や利用拡大に寄与する。このため、125MHzシステムへのハーフモード 導入は適当である。
ここで、周波数配置は42GHz帯と55GHz帯の間で共通である。
以上のことから、周波数配置は表3-8及び図3-3に示すものとすることが適当であ る。
表 3-8 周波数配置(チャネル数)
125MHz システム
(注) 500MHz システム 1GHz システム 125MHz ×8ch 500MHz ×2ch 1GHz ×1ch
注: 125MHzシステムは、チャネル幅125MHzを2分割した62.5MHzのチャネル幅 で使用することができることとする。これをハーフモードと呼称する。これに 対し元の125MHzのチャネル幅で用いるものをフルモードと呼称する。
(単位:
MHz)
1000
500 250
1GHz システム 500MHz システム 1000
125
62.5 125MHz システム
フルモード
62.5 31.25
ハーフモード フルモードを
2分割して利用
(単位:
MHz)
1000
500 250
1GHz システム
500MHz システム
(単位:MHz)
1000
500 250
1GHz システム 500MHz システム 1GHz システム 500MHz システム 1000
125
62.5 125MHz システム
1000
125 62.5
1000
125
62.5 125MHz システム 125MHz システム
フルモード62.5 31.25
ハーフモード フルモードを
2分割して利用 62.5 31.25
62.5 31.25
ハーフモード フルモードを
2分割して利用
図 3-3 42GHz 帯/55GHz 帯チャネル配置
3.4 変調方式
これまでに行われた実証試験では、16QAM-MIMO-OFDMとHDTVコーデックを用 いてHDTV信号を圧縮符号化して42GHz帯又は55GHz帯で伝送する125MHzシステム の有効性を実証しており、変調方式として直交振幅変調による直交周波数分割多重 変調を技術的条件に取り入れることが求められる。
マルチパスの少ない環境下ではシングルキャリア方式の8PSK等位相変調での実 用化の可能性がある。ミリ波の利用拡大のためには、今後の新しいアプリケーション にも対応可能なように、各種の変調方式が使えることが望ましいことから、変調方式 は、表3-9に示すものとすることが適当である。
表 3-9 変調方式
125MHz システム、500MHz システム、1GHz システム 位相変調もしくは直交振幅変調
又は直交周波数分割多重変調であること
3.5 復調方式
電波伝搬等を考慮した回線設計等の観点から、一般に復調方式には同期検波が 用いられる。
ただし、ミリ波の利用拡大の観点から、3.4項で規定する各種の変調方式ごとに最 適な復調方式が利用できることが適当である。
3.6 伝送容量
ミリ波の利用拡大のためには、今後の新しいアプリケーションにも対応可能なよう に、表3-10のとおり伝送帯域幅と各種の変調方式から決まる伝送容量を許容するこ とが適当である。
表 3-10 伝送容量
125MHz システム、500MHz システム、1GHz システム 伝送帯域幅と変調方式から決まる値
具体的な値については、参考資料17に示した情報ビットレートに基づいて、参考資 料20から例示することができる。これによる、最大伝送容量の例を表3-11に示す。
表 3-11 システムごとの最大伝送容量の例 システム名 変調方式 最大伝送容量 125MHz システム
フルモード
16QAM
OFDM 446Mbps 125MHz システム
フルモード 16QAM-SC 350Mbps 125MHz システム
ハーフモード
16QAM
OFDM 239Mbps 125MHz システム
ハーフモード 16QAM-SC 167Mbps 125MHz システム
ハーフモード MIMO
16QAM MIMO-OFDM
(MIMO2 多重)
446Mbps
500MHz システム BPSK-SC 350Mbps 500MHz システム QPSK-SC 749Mbps 1GHz システム 8PSK-SC 2210Mbps 注: SCはシングルキャリア方式
3.7 シングルキャリア方式のクロック周波数
ミリ波の利用拡大のためには、今後の新しいアプリケーションにも対応可能なよう に、各種の変調方式を許容する。よって、シングルキャリア方式のクロック周波数は、
要求される情報ビットレートの伝送を実現する変調方式と誤り訂正符号の組合せのう ち、クロック周波数が最大となる組合せを選び、その周波数を最大クロック周波数と する。
ただし、変調方式において各種の変調方式を規定する意味合いから、シングルキ ャリア方式のみのクロック周波数を規定する根拠が薄いため、本項目は規定しない。
参考として、表3-12に参考資料20から求めたシステム毎に最大となるクロック周波 数を示す。
表3-12 システム別最大クロック周波数 システム 情報ビットレート
(Mbps) 変調方式 最大クロック周波数 (MHz) 125MHzシステム 210 8PSK(5/6) 94
210 BPSK(2/3) 350 500MHzシステム
450 QPSK(2/3) 375 1GHzシステム 1495 8PSK(3/4) 737
3.8 偏波
ミリ波の有効利用のためには、各種のアプリケーションに合わせた最適な偏波を利 用できることが望ましいことから、電波の偏波は特に規定しないことが適当である。
3.9 占有周波数帯幅の許容値
ミリ波の利用拡大のためには、今後の新しいアプリケーションにも対応可能なよう に、各種の変調方式を許容する。よって、指定の占有周波数帯幅を満足する範囲に おいて、クロック周波数及びロールオフ率は自由に選べることが、ミリ波の利用拡大 からも望ましい。
しかしながら、規定される各システムのチャネル幅から送信周波数の許容偏差を 差し引いた周波数帯幅に、100%エネルギー帯幅が収まる占有周波数帯幅とすること が適当である。
なお、シングルキャリア方式の占有周波数帯幅の算出には、参考資料18で検討し たクロック周波数を基に、次式の関係(電気通信技術審議会一部答申 諮問110号
「番組中継用デジタル回線の技術的条件」のうち「マイクロ波帯のデジタル方式のFP U/TSLの技術的条件」(H17.3.27)別紙7より引用)を用いた。
B B F B
F
B ] 0 . 99
2 ) 1 ( sin[ 2
) 2 (
2 ) 1
( − + Δ + Δ − − =
α π α α
π π
α α
ここで、ΔFが占有周波数帯幅、Bがクロック周波数、αがロールオフ率である。3.7 項のクロック周波数の基準値をBとして、この関係からΔFを解くと、占有周波数帯幅 が算出される。ロールオフ率αの値は、自由に選べるとするが、占有周波数帯幅ΔF の算出のため、装置の実現性を考慮して0.3~0.5として計算を行う。