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地質・鉱床概要

チリの基盤岩を構成するのは,原生界および下部古生界の結晶質変成岩類である。それ らは,主として緑色片岩,片麻岩,角閃岩などからなる。北部チリにおいては,Antofagasta 北のMejillones半島とHuasco 付近の海岸部に局部的に露出する。南部チリにおいては,

結晶質変成岩類がほぼ全域にわたり海岸部から内陸の一部に露出する。また,46°S~50°

S付近のアルゼンチンとの国境沿いにも広く露出する。

中・上部古生界は,海成堆積岩類および火山岩類よりなる。北部チリにおいては,堆積 岩類の分布は,Antofagasta周辺,Quillagua 付近,Chan’aralの南北,Valparaiso周辺 の海岸部に認められる。内陸部においてもプレコルディレラから西部山脈部にかけて南北 方向に細長く産出する。南部チリにおいては,石炭系~ペルム系が48°S~54°Sの海岸 部に産出する。

中生界は,下位より上位に三畳系~ジュラ系の主として海成堆積岩類,同火山岩類,下 部白亜系の火山岩・堆積岩類,上部白亜系の火山岩・堆積岩類から構成される。北部チリ においては,海岸部から海岸山脈,中間盆地,プレコルディレラ,西部山脈部に向かって,

三畳系~ジュラ系,下部白亜系,上部白亜系と規則的に次第に新しい地層が露出する。三 畳系~ジュラ系は,33°Sまでの海岸部および西部山脈部の Chuquicamata 周辺,同 El Salvador周辺に分布する。白亜系の火山岩・堆積岩類はAntofagastaの海岸山脈から内陸

部周辺とCopiapo付近などに広く分布する。南部チリにおいて,中生界の火山岩・堆積岩

類は点々と小規模に分布しているが,極南部の50°S~56°Sにはジュラ系ないし白亜系 が広く分布している。

新生界は,火山岩類を主体とし,一部陸成堆積岩類から構成される。北部チリにおいて は火山岩類がプレコルディレラ,西部山脈部からアルゼンチン寄りプーナに掛けてのアン デス山中に広く分布する。陸成堆積岩類はサンチャゴの東側に広く分布している。 南部 チリにおいて,第三系堆積岩類は細長い国土の中央部に南北方向に 44°S まで分布する。

また,52°S以南の極南部に広く産出する。第三系火山岩類は,44°Sまでのアルゼンチ ンとの国境沿い山脈部および45°S~47°SのCoihayque周辺に産出する。

チリにおける主要な火成岩類としては,古生代の花崗岩類,三畳紀~ジュラ紀の花崗岩 類,および白亜紀の花崗岩類が産出する。北部チリにおいては,古生代花崗岩類がSalar de Atakamaの南北,Chuquicamataの北,Copiapo 周辺,Valparaiso付近の海岸部,そし

て28°S~31°Sのアンデス山脈のアルゼンチン国境寄りなどに露出する。三畳紀~ジュ

ラ紀の花崗岩類は,南北方向に海岸部に沿って分布する。白亜紀の花崗岩類はCopiapo周 辺に産出する。南部チリにおいては,古生代~中生代の花崗岩類が36°S~38°Sの海岸 山脈部に,また,中生代~第三紀の花崗岩類が39°S以南の地域に広範囲に産出する。

チリは,南北に細長い国である。その地質・地質構造は,基本的に南北方向に延びる細 長い線状の地体構造区に分割される。一般に,チリの国土は,西から東に海岸からアンデ

ス山脈の方向に向かって,(1) Cordillera de la Costa(海岸山脈区),(2) Precordillera(プ レコルディレラ),(3) Cordillera Occidental(西部山脈区),(4) Puna/Altiplano とよ ばれる4つの地体構造区に分けられる。(1)と(2)の間にはDepresio’n Intermediaという山 間盆地が,(2)と(3)の間にはDepresio’n Preandinaと呼ばれる山間盆地が位置する。また,

(3)と(4)をあわせてCordillera Principal de Los Andesと呼称する。

北部チリの地質構造に関して重要なのは,N-S系断層帯の存在である。N-S系断層帯は,

海岸山脈部に1帯,それより東のアンデス山脈部に1帯それぞれ分布している。海岸山脈 部の断層帯をアタカマ断層帯(Falla Atacama),アンデス山脈中の断層帯を西部断層帯(West Fissure zone,Falla OesteあるいはSistema de Falla de Domeyko)と呼ぶ。

北部チリは世界有数のポーフィリー銅鉱床地帯をなし Chuquicamata などの巨大鉱床が 分布する。この鉱床地帯は,幅30~50 kmでチリ国内に於いては35°Sから19°Sまで,

そしてさらに18°Sのペルー南部までを含む総延長千数百kmにわたって伸びる。この鉱 床帯を規制しているのが西部断層帯である。西部断層帯は,造山帯に平行する南北系の走 向移動断層で,Depresio'n Intermedia(Central Valley)の西側境界をなす。

西部断層帯の生成史を見ると,始新世後期にまでさかのぼる走向移動断層ないし正断層 活動の歴史を有し,その起源を古生代後期および中生代のリフト断層に求めることができ るものである。始新世後期~暁新世前期の時期には,この断層帯はアンデスのマグマ弧の 東端に相当し,全域に亘ってカルクアルカリ質火山・深成活動が起きた。このマグマ活動 サイクルの後期には,西部断層帯に沿って岩株が貫入し,それがポーフィリーカッパー鉱 床をもたらした。

南部チリは,中南部と極南部の2地域に分けられる。中南部は,主として先カンブリア 界雲母片岩,角閃片岩,珪岩からなる。38°S付近にはバソリス状迸入岩類がある。極南 部の地質は,47°S以北がジュラ紀の火山岩類,白亜紀の火山岩類,堆積岩類,第三紀の 堆積岩類とそれらに迸入する中生代・新生代の花崗岩類からなり,47°S以南が先カンブ リア界~下部古生界片岩類,大理石とそこに迸入した中生代~前期第三紀花崗岩類からな る。

チリの地質図については,第2部地質解析の該当箇所に示してある。

7-2.鉱 床

チリは,世界一の産銅量を誇る。2003 年の銅生産量 491 万 t は世界の総生産量 1,363

万tの約36 %に相当する。チリにおける銅は,第1にポーフィリーカッパー鉱床から生産

される。現在,世界的な規模の鉱山が多数操業中である。例えば,Chuquicamata,La Escondida,El Salvador,Collahuasiなどがその代表的鉱床である。また最近では,従来 マント型鉱床と形態的に一括されていた鉱床の内のIOCG型銅・金鉱床が注目を浴びるよ うになってきている。このタイプの鉱床の代表的なものに,Candelaria,Atacama Kozan などがある。銅を含有する鉱床はこれらの他に,接触交代鉱床,スカルン鉱床,鉱脈,層 準規制型鉱床(チリ・マント型)などがあるが,それらは現在銅の供給源として重要度が 下がっている。

チリの金生産量38 tは世界第15位で,ポーフィリーカッパー鉱床およびIOCG型鉱床 の副産物と浅熱水鉱床から産出される。チリで最も有名な金鉱床はEl Indioであるが近年 休山した。それに代わりEl Pen’on,La Coipaなどの大型金鉱山が稼行している。金は,

その他に砂金から少量生産されている。

銀は,スペイン人による入植時代から 19 世紀まではチリ鉱業の重要な部分を占めてい たが,現在は主役が銅・金に移り付随的位置に落ちてしまっている。銀は現在,主として ポーフィリーカッパー鉱床の銅・金に伴って生産され,チリの生産量は世界第5位である。

また,その他,浅熱水鉱床,層準規制型鉱床,スカルン鉱床などから生産されている。

モリブデンは銅生産の副産物としてポーフィリーカッパー鉱床から回収されている。チ リの年生産量3万t(2003年)は世界合計の26 %を占め,米国に次いで世界第2位であ る。

チリは鉛・亜鉛鉱床が比較的少ない。鉛・亜鉛鉱床として重要なのは,マント型鉱床,

スカルン鉱床,および鉱脈である。現在稼行中の主要鉱山はチリ南部の El Toqui(第 XI 州,マント型鉱床)のみである。

チリの鉱床分布図については,第2部地質解析の該当箇所に示してある。

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