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各地点、で被害確率を揃える手法による地震地域係数の考察

ドキュメント内 地震防災における意思決定に関する研究 (ページ 37-41)

第3章 各地点、で被害確率を揃える手法による地震地織係数の考察

� 3.1 はじめに

現行の建築基準法で定めてい る地震地域係数Z, は既往の地震危険度マップを加重平均し て求めて得られた相対的な地震動の強さ を行政区域ごとに振り分けたものである1)。 係数と しては1.0, 0.9, 0.8, 0.7の相対値しかなく, この値は地域による差があまり大きくならな いように設定されている。 一方で, 耐震設計に用いる地震動の強さは, 地震活動度だけに 基 づ、いて決めると, 日本でもかなり大きな地域 差を生じることがこれまでの多くの地震ハザー ド解析から明らかに されている。 1 993年に改訂され た建築物荷重指針 ・同解説ではこの 地 域差を反映して, 地震荷重の基本値として採用されている100年再現期間 に対応する基本最 大加速度のマップは, 建築基準法による地震地域係数Z, と比較しでかなり 大きな地域差 を 示すものとなっている2)。

地震地域係数の設定を考える場合, 地震動レベルの設定は非常に重要であるが, いくつ か の条件が与えられなければ決められない。 そ の一つは再現期間をどのように設定するか, と いう問題 である 。 建築物荷重指針では, 他の荷 重との整合性も 考慮して 基本値として 100 年再現期待値が採用され, 100 年再現期間の基本最大加速度の地域差と, 再現期間を変えた 場合の地域差にはかなり大きな違いがあるこ とを認めながらも, 異なる再現期間に対しては 全国一律の再現期間換算係数で地震動レベル を調整する形になっており, 異なる再現期間に 対して 100 年再現期待値の地域差をそのまま採用する内容となっている。 本章では, この建 築物荷重指針による地震荷重の地域差の表現は妥当なものであるかどうかを次の観点から検 証する。

まず, 地震荷重の地域差を表現するパラメー タは一つでよいかどうかという問題である 。

再現期間を変えた場合の地震荷重の地域差にはかなり大きな違いがあるのだから, 対象と す る再現期間に応じて異なる地域係数を用いるのが合理的であるようにも思われる。 一方で 地 域差を表現するパラメータがいくつもあっては非常にわかりにくいものになってしまう。 ま た, 当然のことながら, パラメータをーっと する場合, どのくらいの長さの再現期間に対し て地域差を設定するのがよいか, ということ がかなり重要な意味を持ってくる。 そこで, 地 域差を表現するパラメータを一つで済ませる ものとした場合, 建築物荷重指針が採用してい る100年の再現期間の長さは適当であるかどうか, という点を取り上げる。

現行の耐震規定が東京を基準とし , 他地域に関しては , 東京での値 を念頭に置いてこ れ に対する比較 で考え るという考え方で設定され ていることは間違いないであろう。 建築基

準法による地震地域係数と建築物荷重指針による100年再現期間に対応する基本最大加速 度のマップの地域差にはかなり大きな違いがある。 建築基準法による地震地域係数の設定 後, 多くの地震ハザード解析の研究が積み重ねられてきており, 建築物荷重指針にはこれ

らの成果が多く取り入れられている。 したがって, 考え方としては, 建築物荷重指針によ るもの の方が合理的である。 しかし, 実際にどちらが地震防災において有効かという視点 から見た場合, 答え はそう簡単ではない。 現在, 実際問題 として建築基準法には強制力 が あり, 建築物荷重指針には強制力 がない。 地震地域係数について東京を基準として1とし た場合, 阪神 ・淡路大震災の被災地の値は建築基準法による場合は同じく 1であ り, 建築 物荷重指針による場合 は0.6'""'0.7程度である。 もし実際に, 建築物荷重指針の値を適用し て地震荷重の低減を 行うことが認められていたとす れば, 被害が比較的少なかったと報告 されている新しい建物にもかなり被害が出たもの と思われる。 さらに, 建築物荷重指針で はあまりにも大きな地域差が つ かないよ うにという配慮がなされてはいるもの の , 地震 活動度の低い地域では0.3'""'0.4程度の値となっており, この値が実際に適用されることが 認められるべきかどうかはかなり議論を必要とするであろう。

第2章では地震動最大加速 度のみを確率変数として取り扱い, 地震動最大加速度 が設計 地震加速度を超えたら建物は損壊するというモデルによる検討であ った。 建物被害の確率 を考える場合, 通常は被害を受ける確率は被害を受けずにすむ確率よりもかなり小さい と ころで議論 が行われる。 したがって, 地震動の みが確率変数で建物の応答や耐力を確定値 として考える と 建物の応答や耐力のば らつきを考慮しないために , 通常この問題を取り 扱う範囲では 被害確率を過小評価してしまうことになる。 とのため, 建物被害の 考え方と して, 信頼性設計法で用いることができるような形で再検討を行っておく必要があると考 えた。

そこで, ここでは, まず, 対象として, 新潟, 東京, 名古屋, 大阪, 福岡の5地点を取 り上げ, 地震ハザード解析で求めた最大地動加速度の極値分布を用いて, 各地点の中低層 RC建物の被害程度に応じた被害確率が等しい, という条件で各地点の降伏耐震強度の平均 値を計算する ことにより, 地震荷重の地域差を どのよ うに表 現すべきか検討する。 また,

建築物荷重指針で荷重の基本値として採用されている100年という再現期間が,地震荷重を 表現するのに妥当な期間であるかどうかについても考察する。

3.2 中低層RC建物の被害程度別被害確率の計算法

各地点の建物の被害確率の算定は概略次のように考えて行う。

被害 判定基準は, 保有降伏ベースシャー係数Cy, 弾性応答ベースシャー係数Cq, 塑性化によ る応答低減率s, を用いてCy/s, とCq, との関係から判定するものとする。 ここでは以下の 二つの条件を仮定する。

1)エネルギー一定則が成立する。

2)塑性率の大小で被害程度は決まる。

この二つの条件を仮定することにより, 弾塑性を考慮した保有ベースシャー係数は, Cy/s,

の完全弾性型で置き換えることができるものとする。 これが弾性応答ベースシャー係数Cq,

以下になれば, 塑性率の値に対応した被害が発生すると考えることにすれば, 被害 程度別の 被害発生確率を計算できる。

被害確率の算定は, 地震カタログを用いて作 成した地動最大加速度の極値分布を用い, 中 低層RC建物の耐力分布については, おおむね志賀らJ)が用いた手法にしたがうものとする。

算定に用いた基本的な仮定, 方法は以下の通りである。

a)地動最大加速度Aの極値分布

地震カタログとして宇佐美の地震資料;))を, 地震動の距離減衰曲線として金井式G)をそれぞ れ用い, 地盤とし てE種地盤を想定して各地点の 地動最大加速度A, の極値分布を作成し て, それらに第二漸近分布と第三漸近分布の当て はめを行い, 分布を推定したヘ第二漸 近分布と第三漸近分布の確率分布関数はそれぞれ式(3.1)および式(3.2)で表される。

九(α)

= eXP

l

-

(ゴ ]

(3.1)

仰)

= eXP

l

-

(出 ]

(3.2)

各地点で推定した地動最大加速度の極値分布 のパラメータの値と, それを用いて求めた再 現期待値を, それぞれ, 表3.1 (a)および、表3.1 (b)に示す。 また, 再現期間ごとに各地点の再 現期待値と東京の値との比を求めた結果をそれぞれ図3.1(a)および図3.1(b)に示す。

0 30

表3.1 (a) 各地点の第二漸近分布のパラメータと再現期待値

分布のパラメータ 地動加速度の再現期待値(9al)

地点 名 k V 30年 50年 100年 300年 500年 1000年

新 潟 1.005 0.972 28 47 95 283 471 939

東 京 1.603 17.424 144 199 307 611 841 1296

名古屋 1.345 7.236 90 132 221 502 734 1230

大 阪 1.582 10.296 87 121 189 378 523 811

福 岡 1.757 4.572 31 42 63 117 157 233

表3.1 (b) 各地点、の第三漸近分布のパラメータと再現期待値

分布のパラメータ 地動加速度の再現期待値(gal)

地点名 k V ω 30年 50年 100年 300年 500年 1000年

新 潟 13.64 -343.44 1440 東 14.77 -142.92 1440 名古屋 12.28 -241.92 1440 大 阪 31.82 -52.92 1440 福 岡 61.11 -44.28 1440

50 100 300 500 1000

再現期間(年)

48 181 163 98 36

... 1.2

1民 1咲

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