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各論

地方へのひとの流れ

町の工業団地に立地する企業のニーズを踏まえ、障がい者を対象とした事業構想を立案

芽室町では、障がいがあっても育ち、働き、暮らしていけるよう、乳幼児期から就労期まで一貫性・継続性のある先 進的な発達支援システムを構築してきたが、働く場の確保が課題となっていた。そのような中、町の基幹産業である 農業を活用した「就労継続支援A型事業所」の誘致を進めてきた。一方で、町の工業団地に立地する企業にお いて、法定雇用率達成に向けて障がい者雇用を進めたいというニーズがあることが分かり、障がい者と企業の間を マッチングできれば、両者にとってWin-Winになると考え、障がい者を対象とした「生涯活躍のまち」に係る事業を構 想した。

農福連携を活用した障がい者の生涯活躍のまちづくり推進事業 北海道芽室町

多様な団体の参画する協議会での議論を踏まえ、「地域の人材確保」を目的と位置づける CCRC事業を構想

市のまちづくり最上位計画である「総合計画」にある課題解消とまちづくりの方向性を踏まえながら、多様な団体が 参画する「南魚沼版CCRC推進協議会」を定期的に開催する中で、理想のまちづくりを進めるための人材及び限 界集落化の進むコミュニティ維持のための人材の確保と育成の重要性が浮かび上がってきた。そこで、「地域の人材 確保」という地域課題を解決することを事業の目的として位置づけ、構想を具体化した。

「生涯活躍のまち」構想推進事業 新潟県南魚沼市

反省点 事業の必要性等の初期段階から、手順を踏んだ住民との意見交換や理解醸成が必要 某地域では、当初から、事業実施主体として、地域内外の産官金言(産業、行政、金融、報道の各機関・団 体)によりまちづくり会社を設立することを意図しており、構想を検討する過程で、住民説明会や関係団体への個 別説明を行ったが、まちづくり会社を新たに設立することに関して、庁内外の理解を得るのに苦労した。「会社あり き」の説明ではなく、①なぜ「生涯活躍のまち」事業に取り組むのか、②なぜ事業主体が必要か、③なぜ株式会社 か、という手順を踏んで説明すべきだった。

住民代表の参加する推進協議会の議論や、従前より連携・交流を進めてきた

東京圏の地方公共団体でのニーズ調査を経て、移住・交流のための拠点整備を計画

南伊豆町における町内随一の景勝地である弓ヶ浜を有する湊地区では、病院と健康学園の廃止に伴い、人口が 大きく減少し、小売店が倒産するなど地域の衰退が問題となっていた。一方、計画策定に際し設置した、地区の代 表が参加する推進協議会等における議論においては、当該地区は、事業に必要な用地が確保できるだけではなく、

移住者の受入れに対して寛容であることが明らかであった。また、かつてより互いの行政課題の解決を図るために連 携・交流のあった杉並区において実施したアンケートでは、40代以上の区民の4割が地方での暮らしに興味を持っ ており、南伊豆町お試し移住事業説明会を区で開催したところ200名を超える区民が来場し、現地見学会も募 集開始2日目で定員に達するなど、地方への暮らしに興味をもつ層が一定数いることが明らかになった。そこで、当 該地区を対象とし、病院・健康学園跡地に交流施設とサービス付高齢者住宅を整備する計画を着想した。

事例集P65

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3.事業のPDCAの段階ごとの工夫・留意点

1|事業アイデア・事業手法の検討<Plan>

定量的・客観的な分析

RESASや統計データを活用し、人材獲得の可能性が高い地域のコネクターハブ企業を抽出のうえ、

優先的に課題・ニーズを把握する対象を選定

広島県のプロフェッショナル人材戦略拠点(地域金融機関や地元経済団体、民間人材紹介会社などと連携し、

県内の中小企業等の人材確保を支援する拠点)は、比較的小規模でありスタッフ数も少ないため、企業の個別 訪問による課題把握、ニーズ分析等を効率的に行うことが課題であった。そこで、RESASや統計データを活用し、

地域における「コネクターハブ企業」の中から人材獲得の可能性が高い企業を抽出して、優先的に訪問する先とし て選定した。

【プロ人材】【RESAS活用】地方創生人材確保・支援事業 広島県

RESASを用いた分析をベースに、市産業の多くを占める中堅・中小企業の伴走的支援や、

結婚・子育てをきっかけに離職する潜在労働力の活用に着目した事業計画を立案

藤枝市では、RESASを活用し、市の産業構造・創業比率や世代別の人口動態を客観的に分析し、この結果を ベースに、庁内関係課、産業支援センター、まち・ひと・しごと創生市民会議構成員、市内金融機関及び市内業 者が参加する「まちづくり部会」「金融部会」「教育部会」の場を設け、市が抱える課題について議論した。分析から 明らかになった、市内に基幹産業が無く、99%が中堅・中小企業であるという市の産業構造に着目し、ICTを活用 して中堅・中小企業の成長を伴走型で支援し、しごと・雇用を創出する事業計画とした。また、子育て世代を中心 に人口が増加している点にも着目し、結婚や出産をきっかけとして仕事を離れている「潜在労働力」をICTにより活 用することにも着想した。

事例集P71

総論

P26

各論

地方へのひとの流れ

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3.事業のPDCAの段階ごとの工夫・留意点

1|事業アイデア・事業手法の検討<Plan>

各論

地方へのひとの流れ

■事業手法の検討

地域資源の活用

地域に根付いた3大学の立地、移住者に寛容な風土を活かして、

他地域と差別化できる「大学連携型CCRC」事業を立案

都留市は、東京圏に近いという移住者受入れに係る地理的な特色に加えて、都留文科大学、健康科学大学、

県立産業技術短期大学校の3校が立地しており、従前より市民と大学(学生)との共同事業が開催され、大 学自体が地域の中央公民館的役割を果たすなど、市民生活に「学び」があることが日常的であるという特色を有し ていた。そのため、東京圏の中高年齢者層を受け入れ、生きがいを提供するために「大学連携型CCRC」を目指す こととした。都留文科大学はもともと市立の大学であり地域貢献に積極的であること、また、大学のまちであり外から 人が入ってくることに抵抗感がない地域の風土も、本事業を進める上で強みとなった。

事例集P63

総論

P26

昭和初期に建設された建物をリノベーションし、

地域資源を活かしたサテライトオフィス入居施設として活用

南伊豆町の健康創造型生涯活躍のまち推進事業における拠点エリアの対象地(共立湊病院跡地)内には、か つての海軍病院の病棟施設(昭和初期に建設された木造の病棟)が残っていた。これを地域の魅力を高める資 源として有効活用するため、取り壊すのではなく、リノベーションしてサテライトオフィスとして活用することとし、地域資 源を活かした特色のある拠点とすることができた。

事例集P65

地域に立地する精密加工工場・大学技術拠点・大型医療施設を活かすことのできる 航空宇宙や医療・ヘルスケア等の成長産業分野への挑戦を構想

岡谷市などの諏訪地域には、大手電子機器メーカーの工場の発注先となっていた中小零細の精密加工工場が立 地していた。また、信州大学は平成18年より諏訪圏域において大学院修士・博士課程専門職コースのカリキュラ ム開発と実証講義を行っており、諏訪サテライトオフィス(テクノプラザおかや)に技術拠点を有していた。

精密加工技術の集積に加え、地域内の大学、大型医療施設の立地を活かすことのできる成長産業分野として、

ロケット分野、医療・ヘルスケア分野の振興に着目し、取り組むこととした。

事例集P67

外部の人材・知見の活用

町と県外大学との共同研究により事業のアイデア出しを実施するとともに、

全国展開する域外事業者の参画を得て都市部の高齢者を受け入れる事業を構想

雫石町と早稲田大学都市・地域研究所との共同研究の中で、学生、地元の事業者、町職員が参加して「総合 計画推進モデルプロジェクト検討委員会」を組織し、総合計画の目指す将来像を実現するためのモデルプロジェクト のアイデア出しを行った。地域内外の人材の知見を集めた検討の中で、町有地14haを対象とした、「高齢者が安 心して暮らせる高齢者住宅」「多世代・多機能型の拠点としての図書館とレストランを擁するコミュニティカフェ」等の 事業アイデアが生まれた。また、検討委員会に参加していた学識者の紹介で、シニアコミュニティ事業を全国展開し ている域外事業者が検討に参加するようになり、都会の高齢者を受け入れるCCRC事業を実現する構想に至った。

事例集P61

総論

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