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各論

地方へのひとの流れ

小規模かつ試行的に事業の一部を行いながら、常に課題・方向性を共有しつつ 事業の規模・体制等を柔軟に見極め

まちなかプラチナベース(旭川版CCRC)は、旭川市としてはじめての取組であり、他都市のプランや具体的取組など を調査するとともに、事業に関わるステークホルダーと常に課題や方向性を共有しながら進めた。

また、小規模かつ試行的に事業の一部を行い、結果が芳しくない場合は一部事業の撤退も選択肢に含めるテスト マーケティング・スモールスタートの形で実証を行いながら、旭川らしい仕組みや実施体制を見極めている。

大都市圏からの人材の誘致と活躍による旭川再生プロジェクト 北海道旭川市

毎月のようにプロジェクトチーム会議を開催し、

短いスパンで評価を行い改善点を計画に反映

都留市では、政策・組織横断的なプロジェクトチームを設置して取組を進めることとしたが、これまで取り組んだことの ない事業の形態であり、実際に事業を進めながら微調整を加えていく必要があった。そこで、庁内の推進組織であ るプロジェクトチームの会議を毎月のように開催し、こまめに見直し、改善点を洗い出した。短いスパンで改善点を見 出すことで、大きなズレが生じる前に、軌道修正を図ることができた。

事例集P63

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3.事業のPDCAの段階ごとの工夫・留意点

3|事業の実施・継続<Do>

安定した人材の確保

反省点 まちづくり会社の運営負担が特定の人に集中して調整に時間がとられ、肝心の構想・計 画の立案に時間がとれない状況

某地域において、まちづくり会社の役員は、本業を持ちつつ時間をやりくりして、まちの活性化に資する各種事業のプ ロデュースに取り組んでいたが、関係者の調整や管理に多くの時間がとられ、必要な構想・計画の立案に充てられる 時間を十分に確保できなかった。まちづくり会社には、企画立案を担う立場に専任の人材を配置すべきであった。

■事業の継続

総論

P31

各論

地方へのひとの流れ

専門学校の維持と介護人材不足という地域課題を解決するため、日本初の公立日本語学校を設立

東川町には福祉系の専門学校が立地しているが、生徒数の減少が問題となっていた。また、介護福祉士の不足も 問題になっていた。そこで、経済連携協定(EPA)締結により外国人が日本で働きやすくなっていることに着目し、

外国の若者に東川町に来てもらい、日本語を⾝につけた上で、専門学校で介護福祉士の資格を取得し、町で働 いてもらうことを念頭に置き、専門学校に日本語学科を設置するとともに、日本初となる公立の日本語学校を開設 することにした。なお、日本語学校の学生募集コーディネーターは地元の高校の元校長先生、講師は退職した教員、

課外授業の講師は町民で資格を持った人が務めており、アクティブシニアの活躍の場にもなっている。

事例集P59

地域おこし企業人や地域おこし協力隊などの制度を活用し、

ノウハウを持つ人材をまちづくり会社の担い手として確保

雫石町では、全国でシニアコミュニティ事業を展開しているサービス付き高齢者向け住宅事業者の社員が、 「地域 おこし企業人制度」を活用して地域プロデューサーとしてまちづくり会社に駐在出向し、事業推進の強力なサポート 役となった。また、まちづくり会社では地域おこし協力隊制度を活用して人材を確保した。採用にあたっては、書類選 考に加え、1日かけて地域点検、ワークショップ、プレゼンを行い、プロデューススキルを重視して人材を決定した。

事例集P61

移住してまちづくりに参画する人材を獲得するため、土地にゆかりのある地元大学卒業生に ターゲットを絞り込み

都留市の都留文科大学は教員養成目的の大学であり、卒業生が全国の学校で教員として働いている。元 教員は退職後も自分のキャリア・スキルを活かして地域に貢献したいという思いが強く、退職後に都留に移住し、

まちづくりに関わる意向を持つ人材が多いと考えた。そこで、移住事業を具体化するにあたり、移住者候補とし て大学の元教員をターゲットとし、都留文科大学OB・OGを中心に、プロモーションを実施した。その他にも、都 内の移住イベントへの参加、お試し居住、移住ツアーの開催などを通じて、移住候補者として約600人を超え る連絡先リストを得ることができた。

事例集P63

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3.事業のPDCAの段階ごとの工夫・留意点

3|事業の実施・継続<Do>

地域の理解醸成を促す情報提供

広報誌、タウンミーティング、市民懇話会など、様々な対話の場を利用して事業の効果を市民に発信 都留市では、「生涯活躍のまち」の実現は、地域機能の維持、市財政の改善など、市民にとってもメリットになるも のであることを理解してもらうために、広報誌、市長のタウンミーティング、地域おこし協力隊による市民懇話会等で 積極的に情報発信を行った。情報発信の頻度を高め、地域住民と接触の機会を増やすことで、 市民側から本事 業の説明を求められるようになるなど、事業への関心を高めることができた。

事例集P63

専門家による講演会をきっかけとして、「地域の人のため」になる事業と認知されるとともに 事業への機運と関心を醸成

雫石町では、住民説明会、議会での説明を重ねても、事業の必要性について地域から十分な理解を得られないと いう問題があった。そこで、CCRCやエコビレッジの専門家を招き、住民・議員・町職員を対象に講演会を実施したと ころ、 「移住者のため」だけではなく「地域の人のため」になる事業であることが伝わり、理解促進・機運醸成が進ん だ。外部の目線から事業の意義を説明することが効果的であった。

事例集P61

ほぼ全ての会議を公開し、地域住民が参加しやすい環境を整えることで合意形成を促進

「南魚沼版CCRC推進協議会」には、市民も委員として参画したほか、ほとんどすべての会議をメディアを含め傍聴 可能とした。また、ホームページでも逐次情報公開するなど、情報公開を徹底した。こうした取組によって、地域の多 数の有識者が会議に参加するようになり、情報共有が図られるとともに、賛否両論の意見の中から少しづつ合意形 成が図られていった。

「生涯活躍のまち」構想推進事業 新潟県南魚沼市

総論

P31

各論

地方へのひとの流れ

反省点 技術を有する担い手不足が深刻なため、海外への販路開拓事業は取りやめて 人材育成に集中することに方向性を変更

某地域では、伝統産業を継承する人材の育成と海外への販路開拓を期待した事業を進めたが、伝統産業の技 術を有する人材のほとんどが高齢者で、事業を負担に感じてしまうケースが多かった。

事業推進のために定期的に実施していた事業者との意見交換会を通じて、技術を有する人が少ない状況で販路 開拓をしても、既存の事業者に負担をかけてしまうだけであることが分かったため、次年度以降は、海外への販路開 拓事業は取りやめて人材育成に集中することとした。計画段階から実際に伝統産業に従事する事業者との意見交 換を行うべきであった。

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3.事業のPDCAの段階ごとの工夫・留意点

3|事業の実施・継続<Do>

各論

地方へのひとの流れ

地域主体の更なる参加促進

子供でも覚えられるキャッチフレーズを設けることで市民の理解と参加意識を醸成

岡谷市などの諏訪圏6市町村では、成長産業を地域に定着させるまでには5~10年程度を要すると考えた。ま た、市民にとっては取組の全体像が見えづらいという問題意識を有していた。そこで、ロケット分野では「諏訪地域発 のロケットを飛ばそう」というイメージしやすい目標を掲げることで、プロジェクト参加者の意識を統一することができた。

また、市民向けには「みんなのロケット」という親しみやすいコンセプトを掲げ、講習会やイベントを通じて地域の誰もが 事業に参加しやすい体制を整えた。加えて、地域の産業に興味を持ち、将来、地元企業に就職してもらいたいとい う想いから、中学生を対象とした講習会を行った。この講習会を通じて、プロジェクトに参加する事業者にも自⾝の 活動に意義を感じ、モチベーションが上がる効果があった。

事例集P67

総論

P31

町外の来訪者との交流により、住民の町への愛着・誇りが強まり、

まちづくりへの参加意識が向上

東川町の住民は、従前から実施している「写真甲子園」において、国内外から来町する高校生に食事を提供した り、ホームステイを受け入れたりしてきており、外からの来訪者を受け入れ、もてなす素地がある。加えて、東川町で は、事業を通じて実施した写真関連のイベントや、日本語学校、デザインスクール、映画制作等のために外から来 た人との交流を通じて、町民が東川の魅力を再発見したり、メディアに多く取り上げられたりすることで、町民が町に 誇りや愛着、自信を感じることができるようになり、町外からの訪問者を受け入れる機運が高まった。長期的には、

「町のために何かやろう」という意識の醸成につながると考えている。

事例集P59

地域住民の意見収集や移住者との交流によって、まちぐるみのおもてなし体制構築に努力

雫石町では、地域交流拠点のあり方を検討するにあたり、人づてに地域のキーパーソンを訪ねたり、周辺地域住民 とのワークショップ、小学校PTAに対する説明会及びアンケートを実施したりすることで、施設の活用に関するさまざま な意見を発掘した。地域住民から意見を収集することで、事業に対する興味を持ってもらうことをも意図した。

また、移住希望者向けのイベントに町民の参加を促すことで、まちぐるみのおもてなし体制を構築し、移住希望者に とっても町民と接することで移住に際しての不安を取り除くという効果があった。

事例集P61