浦安の楽しみ方のイメージ
第4章では観光振興の取り組み体系を4つの柱(テーマ)に沿って示しまし た。ここではそれらの取り組み内容を再整理し、各地域別の取り組みイメージ として提示します。その前提となる地域区分については、「浦安市総合計画」に 準じた5つの地域区分に加え、浦安を特徴づける3つの水辺の軸線(図表−
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) を設定するものとします。図表−24 5つの地域と3つの水辺の軸線
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5−1 浦安を輝かせる3つの「水辺の軸線」の計画
(1)水辺の軸線① 境川
・地理的にも歴史的にも浦安市の中心軸の1つである境川は、沿岸部の整備等 も行われ、市民の憩いの場として活用されています。しかしかつてに比べる と、市民生活との結びつきは低下していると考えられます。
・境川が元町、中町、新町の各地域を結びつける重要な軸線であることと、都 市に潤いをもたらす貴重な空間でもあることから、当計画では境川に関連す る各種取り組みを重点的に推進することとして、都市の顔としての境川の復 活と、境川を舞台とした観光まちづくり運動の積極的な推進を図ります。
・特に水辺へのアプローチを含む魅力的な空間づくり、水辺の特性を活かした 体験プログラムの創出、それらを組み込んだ市民主体のイベント実施等に取 り組みます。
※ 関連する短期重点プロジェクト… 境川の活用、生活文化の継承、まち歩きの仕組みづ くり、交流型イベントの創出 など
(2)水辺の軸線② 旧江戸川
・旧江戸川は、境川とは河川の規模が異なり、水辺へ手軽に近づくことができ る場所も限定されています。一方、旧江戸川沿いの堤防は自動車等に煩わさ れることなく歩くことのできる空間として機能していると同時に、大河川の 河口部ならではの景観を楽しむことができます。
・このような空間特性を活かし、歩いて楽しめる空間としての魅力を更に高め るための取り組みを進めます。
※ 関連する短期重点プロジェクト… 東京湾と旧江戸川の魅力づくり、浦安の名産品創出、
まち歩きの仕組みづくり など
(3)水辺の軸線③ 東京湾・三番瀬
・水辺の軸線の3つ目は、東京湾・三番瀬の沿岸部です。東京湾の再奥部に残 された貴重な干潟として注目度の高いエリアであり、三番瀬そのものの扱い に関しては慎重さが求められます。
・一方、沿岸部(特に陸域)については、旧江戸川と同様に水辺の楽しみを提 供する空間として、さらなる取り組みの余地も残されています。このことか ら、利用の拠点づくりなど中長期的なハード整備も視野に入れた取り組みを 進めていきます。
※ 関連する短期重点プロジェクト… 東京湾と旧江戸川の魅力づくり、浦安の名産品創出、
新しい都市観光の魅力創出、まち歩きの仕組みづくり など
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5−2 市民が生活する3つの「まちなか」の計画
(1)まちなか① 元町地域
・元町地域は、浦安が歩んできた歴史が色濃く刻まれた地区で、今後の観光振 興の中核的エリアとして位置づけます。必ずしも元町の歴史的資産が中町、
新町を含めた市民に共有されているとは言えないことから、これらの掘り起 こしを市民自身の手で行うことが有効活用を図るための第一歩となります。
・また、基本的には歩いてまわるエリアであることから、そのための情報提供 ツールの開発や、まち歩きを容易にする環境づくりにも取り組みます。
・まち歩きの魅力を高めるためには歴史的景観の保存や創出も考えられますが、
その際には、生活者の住環境の向上にも配慮することが前提となります。
※ 関連する短期重点プロジェクト… 生活文化の継承、浦安の名産品創出、まち歩きの仕 組みづくり、市民によるおもてなしの充実、旬の浦安の情報発信 など
(2)まちなか② 中町地域
・中町地域は、都市計画に基づいて住宅開発が進められた地域です。景観整備 など、生活環境の充実につながる取り組みが中心となります。
・また、境川及び境川沿いの空間については元町地域、新町地域と一体的に取 り扱い、浦安市の顔となる空間としての魅力向上策を実施します。
・浦安に関する情報発信や来訪者へのガイド、あるいは環境整備活動など、観 光まちづくりに関する住民の活躍を支援します。
※ 関連する短期重点プロジェクト… 新しい都市観光の魅力創出、まち歩きの仕組みづく り、交流型イベントの創出、市民によるおもてなしの充実、旬の浦安の情報発信など
(3)まちなか③ 新町地域
・新町地域は、東京から至近の海に面した住宅地として注目を集め、ドラマの ロケ地等として各種メディアに登場する機会も増えています。新しい浦安の イメージを情報発信する役割を担っており、今後もそのような機能強化を推 進します。
・市外から移り住んだ若い家族が多いことも踏まえ、元町・中町地域との交流 を意識したイベント創出に取り組みます。また、中町地域と同様、景観への 配慮など生活環境の魅力向上に関する取り組み、境川周辺の魅力づくり、住 民の観光まちづくりに関する取り組みへの支援を行います。
※ 関連する短期重点プロジェクト… 旬の浦安の情報発信、交流型イベントの創出、新し い都市観光の魅力創出、まち歩きの仕組みづくり、市民によるおもてなしの充実など
5−3 工業ゾーンとアーバンリゾートゾーンの計画
(1)工業ゾーン
・この地域は3つのまちなかともアーバンリゾートゾーンとも性格の異なる空 間です。これまではその土地利用の性格上、住民も来訪者も足を向けること の少ない地域だったと言えます。
・産業観光への注目が高まっている社会的背景も踏まえ、まずは体験観光の素 材探しなど、新しい観光の魅力を発掘することに取り組みます。また、それ らを修学旅行向けのプログラム等として商品化します。
※ 関連 する短 期重 点プロ ジェ クト… 新し い都市 観光 の魅力 創出 、旬の 浦安 の情報 発 信 など
(2)アーバンリゾートゾーン
・
TDR
を中心とするアーバンリゾートゾーンについては、来訪者が明確な目的 意識を持っています。そのため、1回の来訪でTDR
と浦安のまちなかの双方 を楽しむというスタイルは短期的には実現しにくいと考えられます。・別の機会に浦安のまちなかを訪れてもらう可能性や、将来的に宿泊旅行の泊 数が増えるような状況下で
TDR
とまちなかの双方を楽しんでもらう可能性を 想定し、まちなかについての情報提供等に取り組んでいきます。※ 関連する短期重点プロジェクト… 新しい都市観光の魅力創出、交流型イベントの創出、
旬の浦安の情報発信 など
※ 各地域別の取り組み以外にも、浦安市全エリアで共通して取り組む事柄とし て、景観形成、人材育成、情報発信など、観光につながる魅力的なまちの実 現に向けた共通基盤づくりに関するものを想定します。
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図表−25 地域別の取り組みイメージ
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5−4 浦安で観光を楽しむ方々の活動イメージ
当計画を推進することで実現すると考えられる今後の観光活動については、
以下の①〜⑤に示すとおり、様々なタイプが想定されます。しかしここまで繰 り返し述べてきたとおり、当計画では、まずは浦安市民が自分たちの地域の魅 力をあらためて発見し、楽しむことを狙いとしています。
従って、これら様々な観光活動タイプの中でも、まず第1に、市民が相互に 往き来して、「地元・浦安」の魅力を楽しむことを念頭におきます。
<まず、第1番目に意識する観光活動>
① 市民が相互に往き来して、「地元・浦安」の魅力を楽しむ 東 京 湾 の 埋 め 立 て に よ り 市 域 を 拡 大 し て き た 浦
安市では、市民の方々も含めて市内各地区間での相 互の往き来が比較的少ない状況にあります。中町や 新 町 の 住 民 が 元 町 を 訪 れ て 自 分 た ち の 暮 ら す 地 域 の歴史に触れる、逆に元町の住民が新町を訪れて交 流を楽しむなど、まずは市民が自分たちの住む浦安 という地域の魅力に気づくことが、当計画において 1番に意識する観光活動のイメージです。
<市民が楽しむことと並行して意識する観光活動>
② 外部からの少人数グループが「知らないまち・浦安」でまち歩きを楽しむ 市民がいきいきと生活している地域は、外部の
人間が訪れても楽しいものです。近年、ちょっと 気になる景色やまち並み、お店を巡って「まち歩 き」を楽しむ方々がますます増えてきましたが、
これは、そこで暮らしている人たちの生活に触れ る楽しみだと言い換えることができるでしょう。
ま ず は 市 民 の 方 々 が 自 分 た ち の ま ち を 楽 し む ことが第一ですが、少しずつ外部からの来訪に対 してもアピールしていくことも考えます。これら の客層に関しては、公共交通を利用して、あるい は徒歩によって少人数グループで気軽に楽しむと いう活動イメージです。