第 2 章 舗装の温度低減に関する既往の研究
4.2 既往の研究
4.2.2 地中放熱を模擬した室内照射試験
試験方法は、図-
4.6
のように、平板はスリット側を下面にして設 置し、平板と光源の位置関係は光源 を平板中央に対して光軸方向に斜 め
45°
、高さ200mm
となるよう設置 した。また、温度の測定にはT
熱電 対を使用し、平板の温度は表面から 深さ10mm
の位置で測定し、敷砂内 部の温度は平板裏面から深さ30
、100
、200mm
の3
点で測定した。測 定間隔は5
分とし、ランプを4
時間 照射後、20
時間放熱した。敷砂には、絶乾炉にて絶乾にした後、恒温恒湿 室で保管した
6
号珪砂を約0.14m 3
使用した。敷砂をプラスチック製容 器に入れた上に、平板を深さ30mm
まで埋設するとともに、敷砂上部お よび平板の側面をスチレンフォー ム材で断熱した。また、放熱時には、平板側面に加えて平板上面に もスチレンフォーム材を設置 して断熱した。
(
2
)昇温時の温度およびエ ネルギー変化平板の表面積と昇温温度の 関係を図-
4.7
に、昇温時に蓄 積されたエネルギーと表面積 の関係を図-4.8
に示す。図-4.7
からは、スリット幅の変化に伴う昇温温度の違いは顕著となっていない。一方、図-
4.8
では、スリット幅 が大きい平板の方が、スリット幅が小さい平板よりも蓄積されたエネルギーが 少なくなっている。これは、平板1
枚当たりの比熱の違いによるものと考えら れる。スリット本数で比較をすると、スリット本数が多い平板の方が、スリッ ト本数が少ない平板よりも昇温温度が小さいことが図-4.7
からわかる。また、図-
4.8
から、スリット本数が増え、表面積が増加するにしたがって、蓄積エネ30m m
断熱材
珪砂
ブロック
10mm
断熱材100m m 200m m
:温度測定点
30m m
45 ° 200m m 300mm
300m m
上面図
側面図
図-
4.6
光源と平板の位置関係および温度測定点
27 28 29 30 31 32 33
120000 140000 160000 180000 200000
昇温温度
(
℃表面積
(mm
2)
60mm 80mm 90mm 120mm 3-5 0-0 1
本2
本3
本4
本図-
4.7
表面積と平板の昇温温度77
ルギーが減少していること がわかる。これらは、表面積 が増加することで地中への 移動熱量が増加するため、舗 装版のエネルギーが増加し にくくなるためと考えられ る。これは、平板の表面積と 敷砂の深さ
30mm
における温 度変化を示した図-4.9
にお いて、表面積が大きくなると 敷砂の昇温温度が高くなっ ていることからも推察され る。(
3
)降温時の温度および 放出エネルギー平板の表面積と降温初期
2
時間での温度変化量を図-4.10
に示す。スリット幅60
、90
、120mm
において、スリッ ト本数が増加した場合には、降温温度が小さくなってい ることがわかる。これは、ス リット本数が多いものは昇 温時の蓄積エネルギーが小 さいため、降温時の放出エネ ルギーが減少し、降温温度も 小さくなったと考えられる。
また、スリット本数が
2
本か ら3
本へと増加する際に、降 温温度が大きくなっている ことがわかる。これは、スリットと温度測定点の位置関係によるものだと考えられる。図-
4.11
に示すよう に、スリット本数が奇数のものは、温度測定点の直下にスリットが配置されて いる。そのため、温度測定点と敷砂の距離も近くなり、測定点周辺の温度が低 下しやすい状態となったと考えられる。平板の表面積と降温初期2
時間の放出200 220 240 260 280 300 320 340 360 380 400
120000 140000 160000 180000 200000
蓄積エネルギー
(kJ )
表面積
(mm
2)
60mm 80mm 90mm 120mm 3-5 0-0 1
本2
本3
本4
本図-
4.8
表面積と蓄積エネルギー8.5 8 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13
120000 140000 160000 180000 200000
昇温温度
(
℃)
表面積
(mm
2)
60mm 80mm 90mm 120mm 3-5 0-0 1
本2
本3
本4
本図-
4.9
深さ30mm
における敷砂の昇温温度12.0 13.0 14.0 15.0 16.0 17.0 18.0
120000 140000 160000 180000 200000
降温温度
(
℃)
表面積
(mm
2)
60mm 80mm 90mm 120mm 0-0 3-5 1
本2
本3
本4
本図-
4.10
表面積と降温温度78
エネルギーの関係を図-
4.12
に示す。スリット幅60
、90
、120mm
において、表 面積が大きくなるにつれて放出エネルギーは少なくなることがわかる。これは、図-
4.8
に示したように、表面積が大きいほど蓄積エネルギーが小さいことから、降温時に放出するエネルギーも小さくなっていると考えられる。
(
4
)スリット内の敷砂の実積率試験平板から地中へ効果的に熱を伝えるためには、スリット内に敷砂が密に充填 されている必要があると考えられる。しかし、スリット幅が異なる場合にはス リット内の敷砂の充填度合いも異なると考えられる。そこで、充填度合いを比 較するために、
JIS A 1104
に準拠して、骨材の単位容積質量および実積率試験を 行った。本試験で使用した容器寸法は表-
4.4
に示すとおり、平板に設けたスリット幅 と同一の内径とした。内径3mm
の容器はアクリル製で、内径60
、80
、90
、120mm
の容器はステンレス製である。試料には、地中放熱を模擬した室内照射試験に おいて敷砂として用いた6
号珪砂を使用した。また、容器寸法が小さいため、ジッキングにより試料を詰めた。
容器内径と実積率の関係を図-
4.13
に示す。容器内径が大きいほど実積率が 高くなっていることがわかるが、内径3mm
と120mm
における実積率の差は1.6%
に留まっている。これは、今回の検討では、珪砂の粒径に対して容器の内径が 十分に大きかったため、容器の寸法が実積率へと与える影響が小さくなり、大 きな差が出なかったと考えられる。これらから、地中放熱を模擬した室内照射 試験において、スリット幅が大きいほど、蓄積エネルギーが少なかった理由の 一つには、充填状態は同程度であるが、スリット内に熱を伝える媒体である敷 砂が多かったため、効果的に地中へと熱を伝えたことが考えられる。また、実
図-
4.11
スリットの配置と温度測定点
80 100 120 140 160 180 200
120000 140000 160000 180000 200000
放出エネルギー
(kJ /
枚)
表面積
(mm
2)
60mm 80mm 90mm 120mm 0-0 3-5 1
本2
本3
本4
本図-
4.12
表面積と放出エネルギー79
積率試験において、容器に試料を詰 める作業が容易であったのに対し て、照射試験においてスリット幅
3mm
の平板は設置が困難であった ことから、スリット内は十分に敷砂 で充填できていなかった可能性が 考えられる。実験の確実性を考慮す ると、平板裏面のスリットに敷砂を 充填する際には、ある程度のスリット幅が必要である と考えられる。すなわち、
スリット幅が小さい平板と 比べて、スリット幅が大き い平板は蓄積エネルギーが 少なかった事を考慮すると、
実積率は移動熱量に影響を 与えると考えられる。
(mm) φ
h(mm) L
(mm 3 )
3 500 3533
60 80 226080
80 100 502400 90 110 699435 120 150 1695600
表-4.4
実積率試験の容器寸法60.9
61.8
61.9 62.1
62.5
60.5 61.0 61.5 62.0 62.5 63.0
0 50 100
実積率
(%)
容器内径