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激論ラパヘル:その誕生,消滅,再生,隆盛,そして将来

6月3日(土) 10:45 ~ 11:45 第1会場(天空 センター)

座長:東北労災病院 外科  徳村 弘実

SP8-1 ラパヘルは標準術式になり得るか?

―ラパヘルの栄枯盛衰、そして未来に向けて―

早川 哲史

刈谷豊田総合病院 腹腔鏡ヘルニアセンター

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-ラパヘルは標準術式になり得るか?

―ラパヘルの栄枯盛衰、そして未来に向けて―

早川 哲史1、辻  恵理2、上原 崇平2、北山 陽介2、犬飼 公一2、野々山敬介2、原田真之資2、 藤幡 士郎2、宮井 博隆2、高嶋 伸宏2、山本  稔2、小林 健司2、清水 保延2、田中 守嗣2

1刈谷豊田総合病院 腹腔鏡ヘルニアセンター、2刈谷豊田総合病院消化器・一般外科

本邦での腹腔鏡下ヘルニア修復術(ラパヘル)は1991年に松本が開始し、1995年まで増加した が、同時期にメッシュプラグが台頭したことで突然10年間ほどの黎明期に入った。ラパヘルの 利点である術後早期社会復帰に対して、簡便で安価であるとの報告が相次ぎ、内視鏡外科手術 推進派の外科医もラパヘルから去っていった。2005年頃より再度増加に転じた。今まで見過 ごされてきた鼠径部の立体構造の再確認、高精細画像による鼠径部筋膜解剖の認識、再発ヘル ニアの病態確認、外科医の内視鏡外科技術習得などが要因と思われるが、2004年より開始さ れたJSES技術認定にラパヘルが入ったこと、保険点数の増加なども大きな要因の一つと考えら れる。一方、教育の進んだ現在でもラパヘル再発率は3 ~ 5%と驚くべき数値がJSESアンケー トで報告されている。ラパヘル導入当初の施設での再発が多いと思われるが、良性疾患である 鼠径ヘルニアに対してラパヘルを標準術式の一つと唱えるには些か問題がある。前立腺癌手術 後、下腹部手術既往症例やガイドラインで推奨されている再発ヘルニア、両側ヘルニアのラパ ヘルの手術適応には特に慎重な検討が必要である。確実な知識・理論・技術教育がなされた当 院では3984例のうち9例(0.2%)の再発率であり、最近3年間では898例中1例(0.1%)である。

ラパヘルの将来は今後の教育とたゆまない外科医の努力と情熱にかかっている。

激論ラパヘル:その誕生,消滅,再生,隆盛,そして将来

6月3日(土) 10:45 ~ 11:45 第1会場(天空 センター)

座長:東北労災病院 外科  徳村 弘実

SP8-2 ラパヘルは儲かるが

易しく安全な手術を難しく危険にする手術である

大木 隆生

東京慈恵会医科大学

[学歴]1987年  東京慈恵会医科大学医学部卒業

1994年  東京慈恵会医科大学大学院卒業、医学博士取得 [医師免許]

日本と米国にて医師免許取得 [専門医]

日本外科学会指導医

日本心臓血管外科学会専門医

[職歴]1987-1989年 東京慈恵会医科大学附属病院 臨床研修 1989年   東京慈恵会医科大学第一外科入局、外科医員

1995年   米国アルバートアインシュタイン医科大学病院血管外科研究員 1998年   米国アルバートアインシュタイン医科大学病院血管内治療科部長 2002年-2006年 米国アルバートアインシュタイン医科大学病院血管外科部長 2005年-現在   米国アルバートアインシュタイン医科大学外科学教授 2006年―現在   東京慈恵会医科大学血管外科学教授 

2007年-現在   東京慈恵会医科大学外科学講座 統括責任者 [医学雑誌編集・出版]

編集委員長  Endovascular Today

編集委員、査読委員 Journal of Vascular Surgery, Annals of Vascular Surgery, Journal of Endovascular Therapy, Vascular and Endovascular Surgery, International Journal of Angiology, 脈管学

[所属学会]

米国血管外科学会、国際血管内治療学会、国際脈管学会、日本外科学会、日本心臓血管外科学会会員、日本血管 内治療学会、日本血管外科学会 等

[執筆、講演活動]

図書 Text book of Carotid Artery Stenting

   『胸部大動脈瘤 ステントグラフト内挿術の実際』(医学書院)    『腹部大動脈瘤 ステントグラフト内挿術の実際』(医学書院)    『医療再生 日本とアメリカの現場から』(集英社新書)

医学論文 約140編、医学図書分担執筆36冊 招待講演620回、招待手術延べ13カ国 [その他]

日本外科学会 理事

Japan Endovascular Symposium 代表世話人

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-ラパヘルは儲かるが易しく安全な手術を難しく危険にする手術である

大木 隆生 東京慈恵会医科大学

1995年に演者が日本臨床外科学会雑誌に掲載した「術後QOLと安全性からみた各種成人鼠径ヘ

ルニア手術の検討」と題する研究では慈恵医大関連病院で施行した各種鼠径ヘルニア手術97例

の術後QOLと安全性について前向きに検証した。その結果、McVay、Bassini、AITRなどテ

ンションのかかる術式は安全であったがQOLが悪かった。腹腔鏡手術(LH)ではQOLは良好で

あったが陰部大腿神経損傷、腸管閉塞・開腹再手術など鼠径部法では起こりえない合併症が見

られ妥当性は見いだせなかった。一方、間接ヘルニアに対するMarcy法と直接ヘルニアに対す

るLichtenstein法は安全かつQOLが高く最も合理的な術式と結論づけ、その甲斐もあって腹腔

鏡手術は全国的に衰退した。その後欧米で施行された鼠径部法とLH法を比較した数々のRCT

により20年前の演者らの結論が正しい事が証明されたにもかかわらず、近年本邦ではLH法が

激増している。これは診療報酬上LH法に有利な改定がなされた(病院収入:腹腔鏡50万円、鼠

径部24万円、短期滞在基本料3とDPC下)2014年以降の現象である。さらに、日本ヘルニア

学会調査ではLH法の増加にともない重大合併症とヘルニア再発が増えている。LH法は、安全

で確実な手術を、難しく、危険で術者を選ぶ手術にしている。コモンディジーズである鼠径ヘ

ルニアの治療においては例外を除き鼠径部テンションフリー法がQOL、安全性、ラーニング

カーブ、医療経済の観点からベストであることは20年前と何ら変っておらず、LH法推奨者の

根拠と真意を問いたい。

シンポジウム

シンポジウム

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-今津 浩喜 医療法人 いまず外科

当院は今年5月で開業以来14年目になります。結果的に今まで 比較的順調に来たように見えますが、その時の時代の流れや運 もある気もします。僭越ですが日帰り手術専門クリニックを始 めた、これから始めたい方へのアドバイスとして開業の理想と 現実そして将来展望を考えたいと思います。誰でも理想は、何 もしなくても(口コミだけで)患者は絶えず来院し、好きな手術 のみをしてトラブル無く毎日が過ぎ、利益も上がるクリニック が良いのですが、現実は何もしないと誰も来ず、何とか集患す るために、ホームページを立ち上げ、セミナー、講演会を行い、

新聞、ミニコミ誌などに広告記事を載せ、医師会で紹介をお願 いする等が必要となります。手術は鼠径ヘルニア手術だけでは 成り立たないので下肢静脈瘤、痔核、外傷、火傷など外科処置 は全て行い、余りやりたくないかもしれませんが風邪やインフ ルエンザ、花粉症から高血圧、糖尿病といった慢性疾患、訪問 診療看護などの地域貢献を行い光熱費、人件費、材料費、広告 代等の出費をできるだけ抑えて何とかする事となります。しか し、鼠径ヘルニア日帰り手術専門クリニックは現状少ないので 通常しっかり症例をこなしていくと少しずつ患者は増える事が 多いと思います。ただし現状保険診療による治療であるため2年 に1回の報酬改定での収益変動は予想しにくいところが有り、こ の点は日本ヘルニア学会でも外保連通じて努力する必要がある と思います。

小田  斉

おだクリニック日帰り手術外科

開業前7年間、佐田病院でヘルニア、手掌多汗症、痔疾患、胆 石症の日帰り手術と麻酔法を学んだ。この経験が開業の基盤と なった。各分野専門学会に所属し、経験豊富な諸先輩方に教え を請い、同年代の学会員と新しい治療法など情報交換を行って きた。開業前に普及してきた下肢静脈瘤レーザー手術を数施設 で見学し、下肢静脈瘤の手術と検査法を修得した。2007年10 月に福岡市に日帰り手術に特化した6床の有床クリニックを開 業した。開業当初は痔手術が多かったが、2011年に下肢静脈瘤 レーザー手術が保険収載されてからは下肢静脈瘤手術が急増し、

2017年2月 ま で に16481例( 下 肢 静 脈 瘤5566例、 痔4169例、

多汗症3763例、ヘルニア2640例、胆石症247例、その他96 例)の日帰り手術を施行した。当日朝入院し午前中6例手術を行 い、夕方までに退院した。遠方患者は術当日に近接ホテルに宿 泊し、翌日診察後に帰宅した。合併症などで日帰りできなかっ た症例は30例(0.2%)で関連病院に転院した。この大部分は開 業前期症例で日帰り手術適応にも問題があった。医師1名で手術 と麻酔を行っていたが、2016年1月から麻酔標榜医の資格を持 つ外科医師が加わり2名体制となった。術中出血や麻酔中の血圧 低下、呼吸抑制などのトラブルに敏速に対処でき、医療安全面 では2倍以上のマンパワー効果を実感している。手術診療報酬を 当院平均手術時間で除した場合、ヘルニア手術(切開法)は他手 術に比べて数分の1と低く、ヘルニア手術(切開法)の診療報酬点 数は現況の2倍が妥当と思われる。当院の将来展望として、有床 クリニックの利点を生かし、患者のニーズに応じて1泊入院の受 け入れも考慮している。

SY1-3

ヘルニアクリニックを開業して 宮崎 恭介

みやざき外科・ヘルニアクリニック

【はじめに】mesh-plug法と腹腔鏡下ヘルニア手術の導入当初

(1994年)、ちょうど、日本で組織縫合法からメッシュによる tension-free修復術への移行期に、卒後4年目の外科医が鼠径 ヘルニア手術に興味を持ち、ヘルニア手術・新時代の荒波に飲 み込まれていった。今回、この外科医が日本初のヘルニアクリ ニックを開業し、現在に至るまでを報告する。

【 準 備 】1999年( 卒 後8年 目 )、mesh-plug法 で 有 名 なThe Hernia Center(NJ)を2日間見学し、鼠径ヘルニア手術のみを行 うヘルニアクリニックの存在を知る。同時に、ワンショット硬 膜外麻酔による日帰り麻酔に衝撃を受ける。この時、自ら麻酔 と手術を行うことが出来れば、日本でもヘルニアクリニックが 可能なのではないかと初めて考え、同年、麻酔科標榜医を取得 する。2000年、局所麻酔下にKugel法を行うMidState Medical Center(Connecticut)を見学する。そして2002年、PHS法の開 発者Dr. Gilbertのクリニック、Hernia Institute of Floridaを3 日間見学し、ヘルニアクリニック開業を決断する。

【現状】2003年(卒後13年目)、みやざき外科・ヘルニアクリ ニックを開業する。2016年までの14年間に、5,718例の鼠径 ヘルニア・日帰り手術(成人5,442例、小児276例)を行う。

【将来展望】手術を続けることが出来れば安定経営であるが、ク リニックの規模は大きくしない。安全な鼠径部切開法によるヘ ルニア手術を、いつまでも提供したい。

SY1-4

クリニック継承における鼠径ヘルニア短期滞在治療の立ち上 げと今後の展望

広津  順

ひろつおなかクリニック

当院は、16床の有床クリニックである。平成21年4月に父の他 界により医院を継承した。当時、医師7年目、大学医局の関連病 院に出向中であり、術者の症例も増えつつあり、外科医として の遣り甲斐を感じていた矢先の出来事であった。昭和33年に祖 父が外科医院を開業し、町の「かかりつけ医」として地域医療に 貢献してきた。平成元年に父が継承し、乳腺、胃、大腸、虫垂 炎、ヘルニアの手術などをしていたが時代の流れとともに手術 を断念していた。継承当時の診療内容は、内科疾患、整形疾患 がほとんど。外科的なものは、外傷や粉瘤、陥入爪程度であっ た。外科医院と言えども、こんなものなのだろうと手術に関し ては諦め、今後のモチベーションをどのように保っていけばい いのか迷っていた頃、ある学会誌にて鼠径ヘルニアの日帰り手 術をしているクリニックの存在を知り、衝撃が走った。「これ なら何とか自分にも出来るかもしれない!」それから数か所の 日帰り手術クリニックを見学。その後、平成24年9月より、鼠 径部切開法による鼠径ヘルニアの短期滞在治療を開始した。ま た、治療法の選択肢拡大目的に平成26年10月より腹腔鏡手術

(TAPP法)を開始した。無影灯の電球も切れ、物置と化した手 術室。スタッフは大半が父の時代からの者のみで、うち手術室 経験者は1名。新規開業とは違う継承クリニックにおける鼠径ヘ ルニア治療立ち上げまでの準備、現状、将来の展望について報 告する。

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