比 喩

メ タ フ ァ ー は 類 似 性 に 基 づ く と さ れ て い る が 、 そ の 類 似 性 と は 、 イ メ ー ジ 的 同 一 性 、述 語 的 同 一 性 と 言 い 換 え て も い い か と 思 わ れ る 。（「 男 は 狼 で あ る 」 で は 、 狼 の 凶 暴 な イ メ ー ジ と 男 の 凶 暴 な イ メ ー ジ が 同 一 視 さ れ て い る の で あ る 。） す で に 第 1 章 で 、 述 べ た よ う に 、 メ タ フ ァ ー は 述 語 論 理 に 基 づ い て い る の で あ る 。

Lakoff&Johnson(1980)で は 、「 存 在 の メ タ フ ァ ー 」（ontological metaphor）

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を あ げ 、 出 来 事 や 活 動 、 感 情 や 考 え を 、 存 在 物 や 内 容 物 と し て と ら え る 見 方 だ と 定 義 し て い る 。た と え ば 、「 イ ン フ レ が 我 々 の 生 活 水 準 を 低 下 さ せ て い る 」 と い う 文 は 、「 イ ン フ レ は 存 在 物 で あ る 」 と い う メ タ フ ァ ー に 基 づ い て い る 。 こ れ は 、「 モ ノ の メ タ フ ァ ー 」と い っ て い い と 思 う 。一 方 で 、存 在 の メ タ フ ァ ー の 中 で 、「 容 器 の メ タ フ ァ ー 」を あ げ て い る 。容 器 は 空 間 だ け で は な く 、容 器 の 内 容 物 も 容 器 と し て み な す こ と が で き る か ら 、 活 動 、 状 態 を も 表 わ す 。

カ ン ザ ス 州 に は 、 た く さ ん の 土 地 が あ る 。（ 場 所 ） 船 が だ ん だ ん 視 界 の 中 に 入 っ て き た 。（ 視 界 ）

窓 洗 い の 最 中 に 、 私 は 水 を 撒 き 散 ら し て し ま っ た 。（ 活 動 ） 彼 は 恋 愛 中 だ 。（ 状 態 ）

本 書 の 枠 組 み で は 、 存 在 と は 「 あ る 場 所 に 、 モ ノ が あ る 」 こ と を 表 す の で 、 場 所 と モ ノ の ど ち ら に 焦 点 を 置 く か に よ っ て 、「 モ ノ の メ タ フ ァ ー 」と「 場 所 の メ タ フ ァ ー 」に 二 分 で き る と 考 え る 。こ こ で 、容 器 の メ タ フ ァ ー で は な く 、 あ え て 、 場 所 の メ タ フ ァ ー と す る の は 、 容 器 は 単 な る モ ノ が 入 れ ら れ る 空 間 で あ る が 、 場 所 は 人 間 が 関 わ る よ り 根 源 的 な 概 念 で あ る と い う 点 で 、 空 間 や 容 器 よ り 上 位 に 置 き た い と い う 意 図 か ら で あ る^７。「 存 在 の メ タ フ ァ ー 」が メ タ フ ァ ー 全 体 の 中 で 、 ど の 位 置 に 占 め る の か 、 ま た 「 場 所 の メ タ フ ァ ー 」 の さ ら に 下 位 分 類 と し て ど う い う も の が あ る の か は 、 今 後 の 課 題 と し て お く 。 次 に 、 メ ト ニ ミ ー と シ ネ ク ド キ ー に つ い て 述 べ る 。 メ タ フ ァ ー は 類 似 関 係 に 基 づ き 、 メ ト ニ ミ ー は 、 隣 接 関 係 に 基 づ き 、 シ ネ ク ド キ ー は 包 含 関 係 に 基 づ く と さ れ て い る 。

「 月 見 う ど ん 」は 、「 月 」が「 卵 の 黄 身 」と 類 似 関 係 に あ る こ と に 基 づ い た メ タ フ ァ ー で あ る 。 こ こ で は 、 両 者 が 「 丸 く て 黄 色 い 」 と い う 性 質 を 共 有 し て い る 、 つ ま り 、 述 語 的 な 同 一 性 に 基 づ い て い る こ と か ら 成 り 立 つ も の で あ り 、 メ タ フ ァ ー は 述 語 論 理 に 基 づ い て い る と 言 え る 。

「 き つ ね う ど ん 」 は 、「 き つ ね 」 と 「 あ ぶ ら あ げ 」 の 隣 接 関 係 （「 き つ ね は

油 あ げ が 好 き だ 」）に 基 づ く メ ト ニ ミ ー で あ る 。ま た 、「 研 究 室 を ノ ッ ク す る 」 は 、 実 際 に は 「 研 究 室 の ド ア を ノ ッ ク す る 」 わ け で 、「 研 究 室 」 と 「 ド ア 」 は 全 体 と 部 分 に 基 づ く メ ト ニ ミ ー に な る 。

「 親 子 丼 」は 、「 親 子 」と「 鶏 と 卵 」が 上 位 概 念 と 下 位 概 念 に あ る こ と に 基 づ い た シ ネ ク ド キ ー で あ る 。

メ ト ニ ミ ー １ （ 隣 接 関 係 ） メ ト ニ ミ ー ２ （ 全 体 部 分 ）

シ ネ ク ド キ ー

図 5 メ ト ニ ミ ー と シ ネ ク ド キ ー

菅 井 （2003:148） に よ れ ば 、 イ メ ー ジ ・ ス キ ー マ の 観 点 か ら い う と 、 メ タ フ ァ ー は カ テ ゴ リ ー 化 に 準 拠 し 、 メ ト ニ ミ ー は 、 ＜ 連 結 の ス キ ー マ ＞ や ＜ 全 体 と 部 分 の ス キ ー マ ＞ に 支 援 さ れ る が 、 よ り 理 論 的 に は 「 参 照 点 能 力 」 に 還 元 さ れ る 。「 参 照 点 能 力 」 に つ い て は 次 節 で 述 べ る 。 ま た 、 シ ネ ク ド キ ー は 、

＜ 上 下 の ス キ ー マ ＞ に よ っ て 、 上 位 概 念 と 下 位 概 念 の 間 の 相 互 作 用 を 反 映 し た も の と 捉 え ら れ る 。

場 所 論 の 観 点 か ら 、 メ ト ニ ミ ー と シ ネ ク ド キ ー は ど の よ う に 位 置 づ け ら れ る だ ろ う か 。 メ ト ニ ミ ー2 と シ ネ ク ド キ ー は 包 含 関 係 で あ る こ と か ら 、 場 所 か ら モ ノ へ の ア ク セ ス と 捉 え ら れ る だ ろ う 。 一 方 、 メ ト ニ ミ ー １ は ど の よ う に 位 置 づ け ら れ る だ ろ う か 。 こ の こ と を 考 え る 上 で 、 参 照 点 構 造 に つ い て 、 考 え る こ と が 必 要 に な る 。 次 節 で 参 照 点 能 力 と 場 所 論 の 関 係 に つ い て 取 り 上

き つ ね

油 揚 げ

研 究 室

親 子 鶏 と 卵

ド ア

げ よ う 。