・楽器編成
・練習記録表
・毎日のウォーム・アップ
・練習曲を使った様々な要素の練習
・音階練習
・運指表
・参考文献
次に、このバンド教本の内容とその中に含まれる技術的要素を項目別に分類し、表にて内 容に添えて示す。
〈第1巻〉
バンド教本の内容 技術的要素(リズム=R、
@メロディー一M、ハーモニー=H)
・練習の前に ・楽器の知識
楽器の組み立て方 楽器の持ち方
・いい音を出すために ・演奏の知識
楽器の位置を決めること
アンブッシュアの形を決めること すわり方とその姿勢
空気のスピード 予備練習
・楽器の手入れ ・楽器の知識
・各楽器のページ 〈全体を通しての要素〉
・全員のページ 音程(H)、調性(H)、
練習曲1〜149
ユニゾン(H)、サウンド(H)、(新しくならう音・新しいアイデア・ アインザツツ(M)、
楽典のゲームに提示される要素を アーティキュレーション(M)、
段階的に難易度順に用いた練習曲) ダイナミックス(M)、
特別練習曲(各楽器ごとの内容) インターバル(M)、音価(R)、
・あなたのページ 拍子(R)、テンポ(R)、
(独奏の練習曲) 楽器の知識、音楽の知識、楽典
・運指表 ・楽器の知識
・音楽用語 ・演奏の知識
65
〈第2巻〉
バンド教本の内容 技術的要素(リズム=R、
@ メロディー=M、ハーモニー=H)
・毎日練習するウォーム・アップ 〈全体を通しての要素〉
(各楽器ごとの内容) 音程(H)、サウンド(H)、
スケール(M)、インターバル(M)、
アーティキュレーション(M)、
ダイナミックス(M)、音価(R)、
拍子(R)、テンポ(R)
・全員のページ 〈全体を通しての要素〉
練習曲!〜120
和音(H)、調性(H)、音程(H)、(新しくならう音・新しいアイデア・ バランス(H)、サウンド(H)、
楽典のゲームに提示される要素を ブレンド(H)、アルペッジョ (H)、
段階的に難易度順に用いた練習曲) ユニゾン(H)、ダイナミックス(M)、
特別練習曲(各楽器ごとの内容) アインザッツ(M)、インターバル(M)
音階の練習 アーティキュレーション(M)、
フレージング(M)、音価(R)、
拍子(R)、テンポ(R)、
楽器の知識、楽典
・運指表 ・楽器の知識
・音楽用語 ・演奏の知識
〈指導者用のみの内容〉
バンド教本の内容(第1巻)
呼吸法補習 呼吸法の楽しさ 数え方の復習
呼吸法と数:え方の楽しさ 調子記号の要点
調子記号のクイズ
楽しみながら数えましょう タンギングの時間です 半音と全音の意味 基本奏法の復習
音階に含まれている全音と半音 呼吸法の練習
67
バンド教本の内容(第2巻)
テンポについて 強弱について 聴音の練習 音階の意味
三段:階による音楽的フレーズのつけ方 短部皆
クラリネットを吹くためのテクニック 高音域を吹くための三原則
アクセント 基礎を復習しよう 音階の意味 異名同音について
リズムのゲーム 聴音の練習 数え方の復習
マーチの演奏スタイルについて リズムの正確さ
音階の意味 呼吸法の練習 数え方の楽しさ
リズムの独立性 付点音符のリズム 音階での全音と半音
リズムの復習
バンド教本の内容(第1巻と第2巻の共通内容)
呼吸法 数え方の方式 タンギング
金管楽器奏法における母音の使用 マウスピース
アンブツシュア リードの選び方と管理 部員の補充
両親の協力を得ること 参考文献
69
6.「新しい吹奏楽教本」の内容分析
「新しい吹奏楽教本」は、1979年に日本で出版された。川崎優により編集されたもの である。このメソードは、「個人用の教則本として作られていると同時に他の管打楽器と一 緒に合奏をすることもできる」注9ように作成されている。楽器奏法の基礎を学ぶためのもの であり、初心者の楽器への導入から上級者の奏法の確かめまで広く用いることができる。そ の内容から、「日本版ファースト・ディヴィジョン」注10とも言われる。この教本の概要は次 のようになっている。
・楽器編成
・楽器の名称、運指表
・楽器を上手に演奏するための勉強について
・楽器の音の進度一覧表
・レッスン1〜25(核技術的要素を用いた練習、練習曲)
次に、このバンド教本の内容とその中に含まれる技術的要素を項目別に分類し、表にて内 容に添えて示す。
バンド教本の内容
・楽器の名称、運指表
・管楽器/打楽器の演奏に関する解説
・各楽器の奏法の説明、導入
・レッスン!.3.4.6.8.16.17 (音符、休符)
・レッスン2.5 (タンギングと音域)
・レッスン7.9
(合奏のできる練習曲)
・レッスン11.!2.14.15.21.
23.24.25
(独奏・重奏・合奏の練習曲、技術の発展)
・レッスン10(リズムの練習)
・レッスン13.18.22
(スラーの練習、音階と和音)
・レッスン19.20(拍子)
技術的要素(リズムーR、
メロディー=M、ハーモニー=H)
・楽器の知識
・演奏の知識
・楽器の知識
・調性(H)、アインザッッ(M)、
国章(R)、拍子(R)、テンポ(R)、
楽器の知識
・アーティキュレーション(M)、
アインザッッ(M)、無価(R)、
拍子(R)、楽器の知識
・アインザッッ(M)、音価(R)、
拍子(R)、テンポ(R)
・調性(H)、和音(H)、ユニゾン(H)、
バランス(H)、ブレンド(H)、
アインザッツ(M)、フレージング(M)、
アーテイキュレーション(M)、
インターバ(M)、音価(R)、
拍子(R)、テンポ(R)、楽器の知識
・アインザッッ(M)、音価(R)、
拍子(R)、テンポ(R)
・調性(H)、アルペッジョ(H)、
スケール(H)、アインザッッ(M)、
アーティキュレーション(M)、
インターバル(M)、音価(R)、
拍子(R)、楽典
・調性(H)、アインザッツ(M)、
アーティキュレーション(M)、
音価(R)、拍子(R)、テンポ(R)
71
3.バンド教本に構成される技術的要素
日本のバンド指導において、よく使われるバンド教本のうち、6種類のバンド教本の内容 分析を行った。それぞれのバンド教本は、様々な技術的要素を用いて指導内容を構成してい る。この中でも、イズム、メロディー、ハーモニーの3項目に分類したそれぞれの要素の記 載内容数を比べると、次の表のようであった。
【リズム】
バンド教本名 音価 拍子 テンポ 計
①3Dバンド・ブック(9区分) 6 7 1
14
②テイップス・フォー・バンド(7区分) 4 4 0 8
③トレジャリー・オブ・スケール(1区分) 1 1 0 2
④ネム バンドメソード(7区分) 4 3 2 9
⑤ベスト イン クラス(3区分) 3 3 3 9
⑥新しい吹奏楽教本(7区分) 7 7 5
19
【メロディー】
スケール ダイナミックス アーテイキュ
@レーション
フレージング アインザツツ インターバル 計
① 2 1 5 2 2 4
16
② 2 0 3 1 2 0 8
③ ! 0 1 1 0 O 3
④ 1 2 5 1 5 2
16
⑤ 1 3 3 1 2 2
13
⑥ 1 0 4 1 7 2
15
【ハーモニー】
音程 調性 和音 アルペツジョ ユニゾン バランス サウンド ブレンド 計
① 4 4 6 1 4 1 2 0
22
② 3 2 2 2 2 1 0 1
13
③ 0 1 0 0 1 1 0 1 4
④ 3 1 3 1 3 3 2 4
20
⑤ 3 2 1 0 2 1 3 1
13
⑥ 0 4 1 1 1 1 0 1
10
総合的なものと目的を絞ったバものの分類に限らず、それぞれのバンド教本に含まれる技術 的要素には特徴がある。上記の表から、その特徴をあげると次のようになる。
〈3Dバンド・ブック〉
リズム、メロディー、ハーモニー全てにおいて各項目ごとに幅広く扱われている。その 中でも特に和音とアーティキュレーションの要素が多い。
<テイップス・フォー・バンド>
3項目の中でもハーモニーに含まれる要素が多い。その中でも音程の要素と、メロディ ーのに含まれるアーティキュレーションが特に多い。
〈トレジャリー・オブ・スケール〉
メロディーとハーモニーを重視したもので、スケールを中心として、調性・和音を重視 したものである。
〈ネム バンドメソード〉
全てにおいて幅広く扱われている。総合的なバンド教本のため各要素を段階ごとに扱っ ている。その中でも、アーティキュレーションとアインザッツの要素が多い。
〈ベスト イン クラス〉
73
総合的なバンド教本ではあるが、ハーモニー性の要素があまり扱われていない。楽曲を 中心に構成されているため、メロディーの要素が多い,
〈新しい吹奏楽教本〉
この教本も総合的なものであるが、3項目の中でもリズムの要素が多い。メロディーと ハーモニーの要素には偏りがあり、扱われていない要素もある。全体をとしてアインザッ
ツの要素が多い。
先にまとめた実態調査の結果を合わせると、使用頻度の高いバンド教本とその教本の内容 に含まれる要素には、関連がみられる。
・使用頻度の高いバンド教本はリズム・メロディー・ハーモニーに含まれる各要素が偏り なく扱われている。逆に使用頻度の低いバンド教本には要素の扱われ方に偏りがある。
・総合的なバンド教本には、幅広い要素の扱われ方だけでなく、系統的に構成されている かどうかが使用頻度と関わっている。
目的を絞ったバンド教本では、含まれる技術的要素の豊富さだけでなく、系統的な扱わ れ方も使用頻度と関わっている。
このような関連から、総合的なバンド教本からは「ネム バンドメソード」が、目的を絞っ たバンド教本からは「3Dバンド・ブック」が多くの指導者によって用いられているのであ
ろう。
多くの指導者が同じバンド教本を用いているにも関わらず、実際にはバンドの活動形態や 活動時間、指導者の指導方法の違いなどの諸条件が重なることで、同じ手順によって使用す ることは難しいだけでなく、同じバンド教本を用いて同じ手順で行っても、同じような成果 を上げることができるとは限らない。
久保田浩文はバンド教本の使用について「バンド教本はただ漠然と使用するのではなく、
そこに盛り込まれている内容、言い換えるならば技術的要素、を指導者が理解してはじめて 効果を上げることができる。」注11と言っている。また、出版されているバンド教本の内容に ついても、「ある技術的要素について難易度を段階的に取り扱っているものは殆ど見られな い。」注12と言っている。久保田はバンド教本の内容分析し、技術的要素別難易度設定を行っ