CINAHL
開始時 12 名、解析対象者 10 名の平均値±標準偏差で示す
63 表 6-2. ゼリーの形態と栄養成分組成
2) 長期試験:朝食および夕食の食前に、それぞれゼリーを 1 個(50g、食物繊維 として 7 g)ずつ、12 週間反復して摂取させた(1 日の食物繊維量として 14g)。試験 期間中、対象者には、毎日の食事を欠かさず摂ること、乳製品の利用、普段と変わら ない生活を維持すること、暴飲暴食や過度の運動を行わないことを指導した。また、
現在使用中のインスリン製剤の種類や単位量が変更となった場合ならびに下剤服用 量を調整した対象者は分析の対象外となることを説明した。
6.2.5 アウトカム(長期試験)
主要アウトカムは、HbA1c および透析開始前の食後 2 時間後に相当する随時血糖値 とした。以下の項目を副次的アウトカムとした。血液検査項目は、尿素窒素(BUN)、
クレアチニン(Cr)、総蛋白(TP)、アルブミン(Alb)、総コレステロール(T-chol)、
LDLchol(LDL)、HDLchol(HDL)、中性脂肪(TG)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマ
名称 14%リンゴ果汁入り飲料(ゼリー飲料)
原材料 ポリデキストロース、エリスリトール 加糖ブドウ糖液糖、リンゴ、寒天 酸味料、ゲル化剤、香料
甘味料(スクラロース、アセスルファムK)
50gあたりの 熱量19kcal たんぱく質0.01g 脂質0g 糖質6.8g
栄養成分 食物繊維7g Na25mg K8mg Ca8mg P0mg
64
トクリット(Ht)とした。採血は、ゼリーの摂取開始直前、摂取 4 週、8 週、12 週、
摂取終了後 4 週の HD 直前に実施した。随時血糖値は透析前に測定し、摂取前 8 週間、
摂取期間 12 週間、摂取終了 8 週間のそれぞれの平均値で比較した。食事をせずに透 析に来院した日や、時間変更したときの臨時透析を実施した日は解析から除外した。
また、排便状況の自覚症状の変化を聞き取り調査し、有害事象(ゼリーを摂取した際 に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと)の有無を検討した。さらに、体重
(ドライウェイト)、BMI(体重[㎏]/身長[m]2)の変化および心胸比(深吸気時に正面 撮影した胸部 X 線写真上で胸郭横径に対する心横径を計測)を評価した。
排便状況調査は、排便回数、排便前後の不快感、性状、下剤の服用状況について透 析毎に聞き取り、1日あたりで集計した。調査表は、機能性便秘のローマⅢ診断基準
57)およびブリストル便形状尺度58)を著者らが改変して利用した(表 6-4)。
摂取期間終了時にゼリーに対する嗜好調査を実施した。対象者に、量、味、食感、
形態、継続性、総合評価について 5 段階のリッカートスケールで記入させた(1 点;
悪い、2 点;やや悪い、3 点;普通、4 点;良い、5 点;とても良い)。また、食事摂 取回数に占めるゼリー摂取回数の比率(%)で、ゼリーの摂取遵守を評価した。対象 者、評価・調査者、介入者の盲検化は行わなかった。
6.2.6 倫理面への配慮
医療法人社団日高会平成日高クリニック倫理委員会の審査承認後、試験責任医師の 監督下で実施した。担当の管理栄養士と看護師が HD 患者に対して同意説明書を示し
65
て本試験の説明をしたのち、自主的に試験参加を希望した成人男女を試験対象者とし た。
表 6-3.試験食の栄養成分組成
表 6-4.排便チェックシート
エネルギー (kcal) 257
水分 (g) 180
タンパク質 (g) 15
脂質 (g) 10.4
糖質 (g) 22.2
食物繊維 (g) 3.8 K (mg) 561 P (mg) 201
塩分相当量 (g) 1.8
機能性便秘のローマⅢ診断基準およびブリストル便形状尺度を著者らが改変したもの
開始 1週後
お通じ
の回数 ①3回以上/日 ②1~2回/日 ③1回/2~3日 ④1回/4~6日 ⑤1回未満/7日 便の性
状 ①ウサギ糞 ②短いソーセージ ③普通便 ④泥や粥 ⑤水溶便
腹痛・不
快感
①ほとんどな い
②たまにある 1回/週
③時々ある
1回/3~4回 ④よくある 下剤服
用回数 ①便秘の時 ②1~2回/日 ③1回/2~3日 ④1回/4~6日 ⑤1回未満/7日
排便後 の様子
①たいてい すっきりする
②たまにすっ きりしない 1回/5~6回
③時々すっき りしない 1回/3~4回
④すっきりし ないことが多 い
主食(ご飯)を除く成分値
66 6.2.7 統計・分析
単期試験の血糖値は平均値±標準偏差で表記した。血糖値の比較は、ゼリー摂取前 と摂取 4 週後における、食前値と食後 2 時間値との間で対応のあるt検定を行った。
長期試験における血液検査結果、随時血糖値、排便性状の変化、心胸比、体重、BMI は平均値±標準偏差で表記した。統計解析は、反復測定一元配置分散分析を実施後、
群間比較は対応のある t 検定を行った。統計解析は、Dr. SPSSⅡ(SPSSⅡ.11.0J に準 ずる) for Windows を用い、有意水準は両側検定で 5%未満を有意な差とした。
6.3 結果
対象者 12 名のうち、入院したため中止した 1 名、試験期間中にインスリン製剤が 変更された 1 名の計 2 名を除外した 10 名につき解析を行った。年齢 62.1± 6.8 歳、
透析歴 4.4 ± 4.7 年、DM 罹患歴 24.8 ± 9.3 年、HbA1c7.3 ± 1.2%であった(表 6-1)。
6.3.1 食物繊維ゼリーの食後血糖上昇の抑制効果
短期試験ゼリー摂取期間前および摂取期間終了後における、昼食を挟んだ被験者の 血糖値の変化を図 1 に示す。食前平均血糖値は摂取前 184 ± 117 mg/dL、摂取 4 週後 171 ± 47 mg/dL と有意差は認められなかったが、昼食 2 時間後平均血糖値では、摂 取前 193 ± 75 mg/dL に対し、摂取 4 週後 156 ± 38 mg/dL と有意な低下が認められ た(p<0.05)。
67
6.3.2 食物繊維ゼリー長期間摂取による栄養指標への影響
試験期間を通じて、下痢や腹部不快感および膨満感、放屁などの胃腸症状を訴える 有害事象は認められなかった。また、介入期間中のゼリー摂取ゼリー摂取の継続及び 試験計画の遵守(コンプライアンス)は 97%と良好であった。
随時血糖値の平均値の推移を図 2 に示す。ゼリー摂取期間中の血糖値は、摂取期間 前に比して有意に低値であったが(P<0.05)、摂取期間終了後の血糖値は上昇し、有 意な差は消失した。血液検査値の推移を表 6-5 に示す。ゼリー摂取前と比較して、糖 代謝関連項目では HbA1c がゼリー摂取前の 7.3 ± 1.2%に対し、ゼリー摂取開始 12 週後では 6.7 ± 1.2%と有意に低下した(p<0.05)。その他、Cr、UA、Na、Cl、P、Alb に有意な変動が認められたが、すべて基準値内の変動であり、かつ変動幅も小さかっ た。
ゼリー摂取前、摂取中、摂取終了後を通じて、体重、心胸比、BMI、赤血球造血刺 激因子製剤(ESA)使用量の有意な変動は見られなかった(表 6-6)。ゼリーによる排 便回数の変化を図 3 に示す。排便回数は、ゼリー摂取期間前;0.6 ± 0.4 回/日、摂 取期間中;1.2 ± 0.9 回/日、摂取終了 4 週後;0.7 ± 0.6 回/日であり、摂取期間 中に有意に上昇後(p<0.05)、摂取終了 4 週後では摂取期間中に比して有意に低下し た(p<0.05)。便の硬さと状態をまとめて 1-5 点に分類した性状の推移は、ゼリー摂 取期間前;2.3 ± 0.8 点、摂取期間中;2.3 ± 0.7 点、摂取終了 4 週後;1.8 ± 0.6 点と有意な変化は認められなかった。
ゼリー摂取後に実施した嗜好調査結果を表 6-7 に示す。量、味、食感、形態、継続
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性、総合評価のいずれの項目においても、平均点は 3 点以上の高い評価であった。
図 6-1. 試験食摂取前と摂取 2 時間後における血糖値の変化(短期試験)