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仏 教 宗 派 の 救 援 活 動

東日 本大 震災

平成 二 三 年

(二

〇 一 一

)三 月 一 一日

、 宮 城 県 牡鹿 半 島 の 東南 東 一 三

〇キ ロ メー ト ル

、仙 台 市 の東 方 七

〇キ ロ メ ート ル の 太平 洋 の 海 底を 震 源 とす る 東 北地 方 太 平洋

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沖 地震 が 発 生し た

。 震災 発 生 直後 の ピ ーク 時 に おい て は

、 避難 者 は 四〇 万 人 以上

、 停 電世 帯 八百 万 戸 以上

、断 水世 帯 は 一 八〇 万 戸 以上 等 の 数値 が 報 告さ れ て いる

。復 興 庁に よ る と、 平 成二 五 年

(二

〇 一 三) 四 月 四日 時 点 の避 難 者 等の 数 は 三

〇万 九

〇 五七 人 と なっ て いる

。 各仏 教 宗 派の 救援 活動

東 日 本 大 震災 発 生 直後 か ら

、各 宗派 は 速 やか に 活 動を 開 始 した

。 各 寺院 と 檀 家の 被 害 状況 の 視 察を は じ めと し て

、支 援 物 資 を送 る

、 炊き 出 し

、全 国 寺 院を 利 用し て の 募金 の 呼 びか け な どを 行 っ てい る

。 それ ら の 多 くは 報 道 され る こ とな く

、 一般 に 知ら れ る こと は な かっ た

。 しか し

、 各宗 派 の ホー ム ペ ー ジ、 仏 教 系新 聞 に は多 く の 活動 が 報告 さ れ てい る

。本 節 に お いて は

、宗 教専 門 紙 のう ち

、「 中 外日 報

」・

「 仏教 タ イ ム ス」

・「 文 化 時報

」か ら震 災 関 連記 事 を 集め た( 12

)。 集 めた 期 間 は、 震災 直 後 から 約 一箇 月 と した

。 表1 中外日報

3月15日27548号~4月 12日27559号

133記事 仏教タイムス

3月17日2436号~4月14 日2439号

32記事 文化時報

3月16日11842号~4月 13日11850号

12記事 合計 177記事 表1

に あ るよ う に

、震 災 に 関 する 記 事 は、 す べ てで 一 七 七件 で あ った

。 次 に、 表 2 にあ る よう に

、 宗派 別 に まと め た もの で あ る。 最 も 多い の は

、 東日 本 大 震災 以 前 から 各 地 の災 害 救援 に 取 り組 ん で いた 大 谷 派・ 本 願 寺派 で あ り、 次 い で 真言 系 の 二五 件 で ある が

、 あま り 仏教 の 社 会的 な 活 動と し て 教団 名 の 挙が る こ とが 少 な い

、禅 宗 系 が多 く み られ る の は、 東 北地 方 に 禅宗 系 の 寺院 が 多 いこ と に 関係 す る と考 え ら れ る。 表2

宗派区分 記事数

浄土真宗 計 36

真宗大谷派 18 真宗本願寺派 18

日蓮宗 17

浄土宗 15

臨済宗 計 15

妙心寺派 13 建仁寺派 2

天台宗 計 13

天台宗 11 寺門派 2

曹洞宗 10

真言宗 計 25

高野山真言宗 9 豊山派 7 智山派 6 醍醐派 3

通仏教 5

全日本仏教会 4

シャンティ国際ボランティア会 3

全国青少年教化協議会 2

その他 28

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表3 また

、 記 事の 内 容 別に 円 グ ラ フに 表 す と、 最 も 多い の が 救援 金

・ 募金 活 動 七七 件

、 次い で 慰霊

・ 祈 願三 五 件

、災 害 対 策本 部 の 立ち 上 げ 三二 件

、 支 援物 資 を 送る 一 八 件で あ っ た。 最 も多 い の が、 救 援 金・ 募 金 活動 で あ るが

、 震 災直 後

、 混 乱を 防 止 する た め に被 災 地 立ち 入 りを 自 粛 する 動 き もあ っ た ので

、 被 災地 へ 直 接向 か わ な くて も 行 える 救 援 活動 だ か らで あ ろう

。 ま た、 各 本 山を 中 心 とし て

、 慰霊

・ 祈 願が 各 寺 で 行わ れ た が、 震 災 直後 一 箇 月以 内 の記 事 で は、 被 災 地で の 慰 霊・ 祈 願 は報 告 さ れて い な い

。最 後 に

、各 教 団 の災 害 対 策本 部 立ち 上 げ 報告 三 二 件、 支 援 物 資を 送 る 一八 件 だ が、 以 上 で 全体 の 三 分の 二 を 占め て いる

。 各教 団 の 活動 が

、 一、 救 援 金

・募 金 活 動、 二

、 慰霊

・ 復 興祈 願

、 三、 災 害 対策 本 部 の立 ち 上げ

、 四

、支 援 物 資を 送 る

、と い う 四点 に 集 約さ れ る こ とが 分 か った が

、 以下 に 少 し詳 し く内 容 に つい て 述 べる

。 救援 金

・募 金活 動( 托鉢)

本 願寺 派 で は、

「た す け あい 募 金

」と し て

、総 額889,474,295 円( 二

〇 一 二年 二 月 二〇 日 現 在) を 東 日 本大 震 災 義援 金 と して 集 め てい る

。 さら に は

、被 災 地 や被 災 者 の生 活 再 編の た め の東 日 本 大震 災 義 援金 の ほ か に、 ボ ラ ンテ ィ ア や復 興 支 援活 動 等の 経 費 充当 の た めの

「 支 援金

」 も 募集 し て いる

。 ま た

、大 谷 派 では 特 に 原子 力 問 題に 関 する 要 望 書を 提 出 し、 す べ ての 原 発 の運 転 停 止と 廃 炉 を 訴え て い る。 そ の ため

、 届 けら れ た救 援 金 を福 島 第 一原 子 力 発電 所 の 事故 に よ り被 災 し た 人を 中 心 に、 宗 派 とし て 計 画的 な 復興 支 援 を行 う 資 金と し て 使用 す る こと が で きる よ う

、 平成 二 四 年( 二

〇 一二

) 二 月の 宗 会( 臨時 会

)の 議 決 を経 て

、「 東 日 本大 震 災 復興 支 援 金」 を 設け て い る。 東 北地 方 は

、禅 宗( 臨 済 宗・ 曹 洞 宗) 系 が多 い

。托 鉢 と い うか た ちを と っ て、 各 寺 で募 金 活 動が 行 わ れた

救援金・募 金活動, 77

慰霊・祈 願, 35 災害対策本

部, 32 支援物資,

18

被災地視 察・情報収

集, 15 被災者 受け入 れ, 10

葬送支援, 6

その他, 32

83

仏教 教 団 の救 援 金 とし て 課 題 とな る の が、 救 援 金の 行 先 では な い だろ う か

。ま ず 各 寺院 の 復興 を 優 先す べ き か、 一 般 の被 災 者 支援 を 行 うか で あ る

。し か し

、お 寺 や 神社 が ボ ラン テ ィア の 活 動拠 点 と して の 機 能や 地 域 のコ ミ ュ ニテ ィ の 場 とし て の 役割 も 指 摘さ れ る こと か ら、 復 興 後に お 寺 や神 社 が なく な っ たと い う こと が な い よう に

、 各教 団 か らの 今 後 の支 援 が必 要 と され る

。 慰霊

・復 興祈 願 本 願 寺派 で は

、 東 日本 大 震 災 追悼 法 要 を 京 都・ 本 願 寺 の阿 弥 陀 堂 で、 平 成二 三 年

(二

〇 一 三) 一 一 月八 日 に 厳修 し た

。浄 土 宗 で は、 東 日 本大 震 災 物故 者 一 周忌 法 要を 行 っ てい る

。 その 他

、 聖観 音 宗 では

、 東 日本 大 震 災 発生 か ら 四九 日 に 当た る 四 月二 八 日午 後 二 時に

、「 祈 り と希 望 の 鐘」 の法 要 が 執り 行 わ れた

。ま た

、福 島県 相 馬 市で は

、真 言 宗智 山 派 僧侶 が 全 国か ら 集 まり

、 合 同慰 霊 法 要を 行 っ て いる

。 し かし

、 現 地で の 慰 霊法 要 が必 要 と され る 一 方で

、 外 から 僧 侶 が出 向 き 法要 を 行 う こと は 受 け入 れ て もら え な いと の 報告 も 多 い。 また

、 心 のケ ア 活 動と し て

、 天台 宗 の 無償 提 供 のカ フ ェ

、平 成 一 九年

( 二

〇〇 七

) の能 登 半島 沖 地 震か ら 始 めら れ た 高野 山 足 湯隊

、 禅 宗寺 院 な ど で、 修 行 僧達 が 定 めら れ た 坐位 に 列し て 茶 を飲 む 儀 式で あ る 行茶 活 動 を土 台 と した 曹 洞 宗 の「 喫 茶 去」 傾 聴 ボラ ン テ ィア な どが 仏 教 的な 現 代 的解 釈 に より 行 わ れて い る が、 こ れ ら の活 動 は 直接 的 な 仏教 用 語 では 説 明さ れ な い。 しか し

、「 喫 茶去

」傾 聴 ボラ ン テ ィ アな ど は、 見方 を 変 えれ ば 東 北地 方 に 古く か ら あ るお 茶 のお も て なし で あ り、 そ の ため に

、 被災 者 側 にも 受 け 入 れや す く

、引 き こ もり が ち とな る お年 寄 り を中 心 と して 悩 み 相談 な ど の場 所 を 提供 す る 物 品援 助 と とも に 重 要な 援 助 の一 つ であ る と いえ る

。 災害 対策 本部 の 立ち 上げ

すで に 早 い と ころ で は

、 震災 当 日 か ら 本山 職 員 を 中 心と し て 自 派の 寺 院 被害 を 中 心に 現 状 視察 が 行 われ て い る。 本 願 寺 派で は

、 三月 一 四 日に

「 東 北地 方 太平 洋 沖 地震 浄 土 真宗 本 願 寺派 東 北 教区 災 害 ボラ ン テ ィ アセ ン タ ー」 を 開 設、 組 織 的な 支 援が 行 わ れて い る

。大 谷 派 でも

、 本 山・ 災 害 救援 本 部 と 現地

( 仙 台) 災 害 救援 本 部 を設 置 する な ど

、多 く の 宗派 で 組 織的 な 災 害対 策 本 部を 立 ち 上 げて い る

。 支援 物資

各 宗 派 とも 支 援 物 資を 本 山 に一 度 集 め

、何 度 か に 分 けて 被 災 地に 送 る な どの 活 動を 行 っ てい る

。 特に

、 浄 土宗 が 行 った 支 援 米の 活 動 は 注目 す る 必要 が あ る。 そ れ は、 福 島県 い わ き市 内 に ある 高 久 第一 応 急 仮設 の 入 居者 に

、 浄 土宗 滋 賀 教区 内 寺 院か ら 寄 せら れ た「 支 援 米」 が 届 けら れ た

。こ れ は

、滋 賀 教 区浄 土 宗 青 年会 が

、 教区 内 寺 院の 本 尊 に供 え られ る 仏 供米 を 集 め、 阿弥 陀 仏 の 慈悲 の み 光、 檀 信徒 の 供 養の 真 心 を、 被 災者 を は じめ

、 長 期的 な 食 糧支 援 を 必要 と す る人 に 伝 え分 か ち 合お う と い う理 念 の もと 実 施 され て い るも の で、 単 な る宅 配 食 では な い

「仏 供 米

」と い う とこ ろ に 意 味が あ る と考 え る

。米 を 受 けと っ た被 災 者 から も

「 仏様 の お 米だ か ら あり が た い」 と い う 声も 聞 か れた と い う。 まと め る と、 各 宗 派は ほ ぼ な にか し ら の救 援 活 動を 行 い

、早 い と ころ で は 震災 当 日 から 活 動を 始 め てい る

。 内容 を み ると

、 多 くは 救 援 金な ど の 募 金活 動 で ある

。 慰 霊や 復 興 祈願 は

、被 災 地 から 離 れ た本 山 や 大寺 院 を 中心 に 行 われ て お り

、被 災 地 での 仏 教 的な 活 動 は震

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災 後一 箇 月 の時 点 で は報 告 さ れて い な い。 ほ と んど 他 の ボ ラン テ ィ ア団 体 と 同様 に

、 募金 活 動や 支 援 物資 を 送 るな ど の 救援 活 動 を行 っ て いる

。 ま ず は安 全 と 衣食 住 の 確保 の た めの 活 動が な さ れて い る こと が 分 かる

。 し かし

、 各 宗派 と も 災 害対 策 本 部を 立 ち 上げ て お り、 仏 教各 宗 派 が組 織 的 に救 援 活 動を 行 っ てい る こ とも 指 摘 で きる

。 仏教 者の 社 会的 実践 の 独自 性 現 在

、 社 会問 題 が 起 こる た び に

、 社会 の 側 か ら 仏 教教 団 か らの レ ス ポン ス が 繰り 返 し 期待 さ れ てい る

。 震災 後 に は 人と 人 と の「 絆

」 が強 調 さ れた が

、震 災 以 前に は

「 無縁 社 会

」と し て 高齢 者 の 孤独 死 が 問 題と さ れ

、仏 教 学 や宗 教 学 の分 野 で多 く の シン ポ ジ ウム が 開 かれ た の を思 い 出 して ほ し い

。今 回 の 震災 に お いて も

、 以上 に 述べ た よ うに

、 多 くの 救 援 活動 が み られ た

。 それ と 同 時 に、 東 日 本大 震 災 にお い て

、被 災 地で 宗 教 的行 為 を 行う こ と に関 す る 拒否 感 が 存在 す る の も事 実 で ある

。 し かし

、 雪 が降 る がれ き の 被災 地 を 背景 に 読 経す る 僧 侶の 写 真 が新 聞 に 掲 載さ れ た とき

、 そ の姿 は 印 象的 で ある と 話 題と な っ た。 こ の 写真 は

、 今回 の 大 震災 で 僧 侶 は何 を す べき な の かと い う もう 一 つの 側 面 を写 し て いる

。 ま た、 平 成 七年

( 一 九九 五

) に 阪神 淡 路 大震 災 は 発生 し た

。そ れ を受 け て

「阪 神 淡 路大 震 災 が宗 教 者 に投 げ か けた も の

」 とい う シ ンポ ジ ウ ムが 開 催 され て いる

。そ こで

、山 折哲 雄 は

、「 宗 教 者は 活 動 の独 自 性 を持 て な かっ た

」、 宗教 者 の 活動 は

「 ボラ ン テ ィア 活 動 の後 に 真 価が 問 わ れる

」、 と い うコ メ ン トし て い る。 この こ と は、 宗教 者 の役 割 が ボラ ン テ ィア 以 上 のも の で ある こ と

、し か し ボ ラン テ ィ ア以 上 の 独自 性 を 持て な かっ た こ と、 さ ら にい え ば 宗教 の 真 価は

、 被 災者 の 長 期 的で か つ 普遍 的 な 苦し み に 対応 す るこ と を 示唆 し て いる

第 三 節 問 わ れ る 現 代 仏 教 の 社 会 的 実 践

事例

①の 検討

事例

① で 検 討す べ き な のは

、 仏 教の 教 え と 現代 の 社 会 倫 理と の 緊 張 関係 に つい て で ある

。 大 谷派 で は

、過 去 の 教え は 間 違い で あ っ たと い う かた ち で この 緊 張 関係 を 解消 し た

。こ の よ うな 例 は

、他 に も ある

。 臓 器移 植

、 脳 死、 出 産 前診 断

、 女性 差 別 など で ある

。 そ れら の 社 会倫 理 を 仏教 に 是 非を 問 わ れて も

、 本 来は

、 仏 教教 団 は 非社 会 的 な存 在 とさ れ

、 その よ う なこ と は 問題 と し なか っ た

。し か し

、 明治 維 新 以来

、 仏 教は 社 会 的な ニ ーズ に 答 える 形 で 福祉 実 践 を展 開 し てき た

。 ハン セ ン 病 療養 所 で の法 話 も

、政 府 か らの 要 請、 が、 あ っ たこ と を 思い 出 し てほ し い

。そ の な かで

、 仏 教 の教 え と 現代 の 社 会倫 理 と の緊 張 関係 は 生 じる

。 事例

②の 検討

事例

② で 検 討す べ き な のは

、 仏 教者 の 社 会 的実 践 に お け る独 自 性 に つい て であ る

。 東日 本 大 震災 の 被 災地 に お いて

、 直 接的 に 宗 教 行為

、 例 えば 葬 送 儀礼 や 慰 霊な ど を行 っ た 例は 少 な い。 被 災 地支 援 と は、 被 災 地の ニ ー ズ

、 に、 よ っ て 行わ れ る もの で あ るの だ から

、 今 回の 仏 教 者の 救 援 活動 が

、 支援 物 資 や募 金 活 動 に限 定 さ れた こ と はそ う い うニ ー ズで あ っ たと 考 え るこ と も でき る だ ろう

。 東 京で ホ ー ム レス 支 援 にか か わ り、 実 際 に被 災 地支 援 に 携わ っ た 吉水 岳 彦 は、 こ う 指 摘す る

。「 被 災 地の 人 々 は、 地 域 の 僧侶 以 外 に葬 送 を 願う こ と はな か っ た。 それ ど こ ろ か、 その 姿 を 見て 嫌 悪 感を 抱 か れる 人 も あっ た

」( 13

)。

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