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各教科第1節小学部第1款

盲学校、聾学校及び肢体不自由三又は病弱者を教育する養護学校;

各教科の目標、各学年の目標並びに指導計画の作成と各学年にわたる内容 の取扱については、小学校学習指導要領第2章に示すものに準ずるものと するが…  (以下略)

同上 第2款

精神薄弱者を教育する養護学校 第1 各教科の目標;

[生活]1 目標

 日常生活の基本的な習慣を身に付け、集団生活への参加に必要な態度 や技能を養うとともに、自分と身近な社会や自然とのかかわりについて 関心を深め、自立的な生活をするための基礎的能力を育てる。

[国語]1 目標

 日常生活に必要な国語を理解し、表現する能力を養う。

[算数]1 目標

 具体的な操作などの活動を通して、数量や図形の初歩的なことを理解 させ、それらを用いる能力と態度を育てる。

[音楽]1 目標

 音楽の表現や鑑賞によって、音楽についての興味や関心をもたせ、そ の美しさや楽しさを味わわせる。

[図画工作]1 目標

 初歩的な造形活動によって、造形表現についての興味や関心をもたせ

、表現の喜びを味わわせる。

[体育]1 目標

 適切な運動の経験を通して、健康の増進と体力の向上を図り、楽しく 明るい生活を営む態度を育てる。

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第3章 道徳の目標;

小学部の道徳の目標、内容及び指導計画の作成と各学年にわたる内容の取 扱いについては、小学校学習指導要領第3章、申学部の道徳の目標、内容 及び指導計画の作成と内容の取扱いについては中学校学習指導要領第3章 に示すものに準ずるほか、…  (以下略)

第4章  特別活動の目標;

小学部門は申学部の特別活動の目標、内容及び指導計画の作成と内容の取 扱いについては、それぞれ小学校学習指導要領第4二又は申学校学習指導 要領第4章に示すものに準ずるほか、…  (以下略)

 養護・訓練の理念的な側面で教科等との違い、特殊教育課程全体における位 置づけについて検討を加えるためには、それぞれの領域の目標の対比が必要と なる。ところが上に引用したように「道徳、特別活動、養護・訓練の三領域」

についてはそれぞれ「領域としての目標」が示されているのに対して、 「教科」

については各教科ごとに目標が書かれていて「教科領域全体の目標」は示され ていない。このことは、 「領域としての養護・訓練」と「領域としての教科」

を対比する場合に困難をもたらす一要因となっている。

 つまり「養護・訓練は…  心身の調和的発達の基盤を培う」ものであると いう領域としての目標が明確なのに対し「教科領域全体としては…  」なに をどうする領域であるのかが明確に示されていないのである。この点は解説に おいてもあまりふれられていない。わずかに「体育に関する指導は、健康で安 全な生活を営むために必要な態度や習慣を育て、心身の調和的発達をはかるこ とをねらいとするものである」 (平成元年度版精薄解説、下線部筆者)などの 記述があるがそれとて教科領域全体の目標の説明ではない。従ってこの点では 関連する事項などから類推する他無いのが現状といってよい。

 この点に関連して、養護・訓練の目標の文面に「心身の調和的発達」および

「基盤を培う」という2っの文言が使用されている点は重要である。

①教科の目標と「心身の調和的発達」

ここで特殊教育諸学三下学部・申学部の教育目標を想起してみると1・2は

小学校・申学校の教育目標と同一であった。特殊教育諸学校の教育目標のうち 1の小学校教育目標の条文である学校教育法第18条の七には「健康、安全で幸 福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ること。」 (下線 部筆者)の:文面がある。また教育基本法第1条(教育の目的)には「教育は、

人格の完成を目指し、 (申略)自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育 成を期して行われなければならない」 (下線部筆者)との文面も存在している。

このように養護・訓練の領域がない健常児の教育も含めて「心身の調和的発達」

などは教育一般に価値ある概念として法律的にも明文化されているものである。

 従って「心身の調和的発達」は特殊教育のみで使用される理念ではなく健常 児教育も含む教育一一meの理念である。そして小・申学校の健常児の教育課程で

は障害に基づく特別の指導内容が不必要であるから教科・道徳・特別活動の3 領域全体で「心身の調和的発達」が実現されると解されるのである。

 また視点を特殊教育に移して考えた場合でも「心身の調和的発達」は、特殊 教育課程の4領域の中で養護・訓練のみについて用いられている理念ではない。

平成元年平版精薄解説の体育に関する記述(p46)には「体育に関する指導は、

健康で安全な生活を営むために必要な態度や習慣を育て、心身の調和的発達を はかることをねらいとするものである。」 (下線部筆者)の表記があることを 見てもそれは明らかである。

 次に養護・訓練の特殊教育過程全体における役割の検討の必要上「心身の調 和的発達」に関連して教科等の役割について少しふれることにする。

 まず教科には、認識に関わる教科とされる国語・算数(数学)・理科・社会 など(理科・社会は小学部精薄教科にはない)、身体的発達を含む体育、技能 的教科といわれる体育・図工(美術)・音楽、家庭(職業・家庭、または技術

・家庭)情操的発達を含む図工(美術)・音楽などがあり、精薄教育の教科と して「生活」 (小学校低学年では理科・社会に変わって同名の教科が取り入れ られた、1992)などがある。教科がこのように理解してよいものなら教科領域 は、 「心身の調和的発達」の申の知的・身体的・技能的・情操的発達を促進す る内容と役割を持っているということができる。

 また道徳的発達をめざす領域としての道徳(精薄以外の特殊教育諸学校高等 部にはない)、自治的・経験的発達をねらう領域としての特別活動が領域とし

ておかれている。

 このように教科・道徳・特別活動の3領域はそれぞれが「心身の調和的発達」

にとって固有の役割を持ちつつ全体として「心身の調和的発達」を実現してい くと解されるのである。健常児の場合教科等3領域で「心身の調和的発達」が 成し遂げられ、障害児の場合養護・訓練を加えた4領域で「心身の調和的発達」

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が成し遂げられる。

 従って特殊教育課程においても教科等の領域がr心身の調和的発達」を実現 する役割を持つ点はなんら変わりがなく、教科が健常児教育に準ずる場合はも ちろん、精薄教科が用いられる場合にも教科等が「心身の調和的発達」そのも のを担う役割を持つ点は同じであるという解釈が成り立つのである。またこの 解釈は、次の②で見るように養護・訓練が「心身の調和的発達の基盤を培う」

ものであるという限定的な解釈と的確な整合性を持つ。

②養護・訓練の目標と「心身の調和的発達の基盤」

 養護・訓練の目標を見れば、養護・訓練の指導が「心身の調和的発達」をめ ざして行われ、かっその成果・結果が心身の調和的発達に貢献するものである ことは議論の余地が無い。しかし「基盤」あるいは「基盤を培う」という文面 をどう解釈するのかという問題は吟味する必要がある。広辞苑によれば「基盤」

とは「物事を支えるよりどころ。物事の土台。基礎。基本。」とされている。

ここでは「基盤」という文言に着目して養護・訓練の目標を見ていくことにす

る。

 養護・訓練の「目標」に「心身の調和的発達」の文言があることや、養護・

訓練は障害に基づく遅滞にも偏りにも対応するとされているなどを理由として、

養護・訓練のみで「心身の調和的発達」が達成されるかのように捉えるならば

「基盤」という文言を踏まえていないことになる。この捉え方の問題点は教科 等と養護・訓練の理念的区別が不明確になり、内容上も混乱を起こしかねない 捉え方であるという点である。

 この「基盤を培う」という文言をその言葉通りに受けとめた場合、養護・訓 練は「心身の調和的発達そのものの内容」を扱うものではなく「心身の調和的 発達の基盤を培う内容」を扱うものだということになる。このことは養護・訓 練の教科等との区別・教育課程における位置づけと養護・訓練の自己規定のた めに極めて重要な点であり、 「基盤」は特別に重要な意味あいを持つ文言とし て重視されなければならない。

 「心身の調和的発達の基盤を培う」ことを「心身の調和的発達そのものを直 接の目標とする」ことと同一視するのは国語の解釈としても明白な誤りである。

もし養護・訓練の目標がいわゆる「基盤づくりJではなく心身の調和的発達そ のものを直接の目標とするものであるならば、目標の文面は「心身の調和的発 達の基盤を培う」の文言を削除して「心身の調和的発達 をはかる・の達成を

目指す・を目標とする」などの表記に変更されなければならないはずである。

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