第6章 前縁に曲率を有する角柱の周辺流れ特性
6.1.2 可視化実験結果および考察
a) R/B=0
b) R/B=0.1
c) R/B=0.2
d) R/B=0.3
図 6-5 曲率半径による流れの変化(V=10m/s,Re = 6.8×10 )
a) V=2.5m/s(Re = 1.7×104)
b) V=3.75m/s(Re = 2.6×104)
c) V=5.0m/s(Re = 3.4×104)
d) V=7.5m/s(Re = 5.1×104)
図 6-6 風速によるタフトの振れの変化(R/B=0)
a) V=2.5m/s(Re = 1.7×104)
b) V=3.75m/s(Re = 2.6×104)
c) V=5.0m/s(Re = 3.4×104)
d) V=7.5m/s(Re = 5.1×104)
図 6-7 風速によるタフトの振れの変化(R/B=0.2)
三次元流体解析結果から流れの三次元性を検討するために,角柱近傍の瞬間流速ベク
トルを図6-8,図6-9に示している.図6-8は側面の模型軸線上(X/B=0)の格子点(YZ
平面),図 6-9 は風洞実験のタフト設置高さ(Z/B=0.035)付近の格子点(XZ 平面)に お ける無 次元 時間 tV/B=400 の 瞬 間の流 速ベ クトル を示 したも ので ある.R/B=0,
R/B=0.2ともにスパン方向(Z方向)の流れが存在しているが,図6-8 のスパン方向の
流速変動の存在する高さが,R/B=0ではY/B≦0.3であるのに対して,R/B=0.2ではY/B
≦0.1となっている.また,その部分での流速変動もR/B=0の方が大きい.このスパン 方向の流速変動が存在する部分が,剥離せん断境界層に相当すると考えられるので,R/B が大きくなることにより,剥離せん断境界層が薄くなっているといえる.さらに図6-9a),
b)の比較から,R/B=0の角柱近傍の流速ベクトルの向きは,場所によって大きく変化し,
流れの三次元性が強いことが確認できる.
風洞実験では,数値解析とレイノルズ数が一致する風速V=1.88m/sにおいて,タフト の振れがほとんど見られなかったため,R/Bに対する流れの三次元性について検討する ことはできなかったが,三次元解析結果から,高風速におけるタフトの振れと同様に,
R/Bが大きいと角柱近傍の流れの三次元性が低いという傾向があることが確認できた.
流れの三次元性に関して,種子田 6-2) は,流れの可視化実験から,円柱および流れに 平行に置かれた平板の後流の三次元性を示しているが,後流の三次元性はカルマン渦自 身の三次元的な不安定性によるものであると推測している.また,大屋 6-3) らは,扁平 矩形柱側面上の剥離流についてスモークワイヤー法による可視化を行い,再付着点付近 から流れが乱れ始め,再付着点より後ろの側面上に縦渦が見られることを示している.
これらの実験では,剥離は二次元的であったとしても,後流あるいは再付着後の流れの 不安定性により,三次元性が現れることを示している.一方,横井・亀本 6-4) は円柱の 剥離直後の流脈線を観察し,その結果から推定した相関距離と,後流での流速変動の相 関距離が一致することから,三次元的な剥離と後流の三次元性との間に密接な関係があ ることを示している.
本節で示した角柱近傍の流れの三次元性は,剥離せん断層の三次元的な挙動によって 生じるものであると考えられるが,R/Bの増大によって剥離せん断境界層が狭められる ため流れの三次元性が低下すると考えられる.
a) R/B=0
b) R/B=0.2
図6-8 角柱側面近傍の流速ベクトル(ZY平面,X/B=0)
Y/B
Z/B
Z/B
Y/B
a) R/B=0
b) R/B=0.2
図6-9 角柱側面近傍の流速ベクトル(ZX平面,Y/B≒0.035)
Z/B
Z/B X/B
X/B
6.2 表面圧力に現れる流れの三次元性
前節のタフト法による可視化実験結果から,R/Bによって角柱近傍の流れの三次元性 が変化し,特にR/B=0.2を境にその変化が顕著に表れることを確認した.しかし,タフ ト法による可視化では,タフトの慣性力がその挙動に影響するため,特に低風速での観 測に不都合を生じるという問題点が生じている.そこで本節では,圧力測定孔をスパン 方向に配置して表面圧力測定を行い,静止角柱に対して,表面圧力のスパン方向の相関 とタフト法による可視化実験結果との対応について検討を行う.