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収束指数と円錐型極限集合の Hausdorff 次元の関係

Hausdorff測度Hδと一致する.

と変形できるので, 定理4.1と簡単な計算(Nicholls [10, Lemma 4.6.1])により,γk,ξによら ず上に有界であることが分かる. 左辺の下界性も同様に言える. 以上より,定理の主張を得る. 定理 5.4.

凸ココンパクトKlein 群Γに対し, x}x∈Bs次元Γ-不変共形測度とする. このとき定数 b >0が, 任意のBorel集合E Λ(Γ)に対してb·σ0(E)≤ Hs(E)をみたすように取れる. 但し, Hsは理想境界S上のs次元Hausdorff測度である.

証明. Borel集合E Λ(Γ)と0< ε < r0なるεを取る. Hausdorff測度の定義より,ε0 >0に対 して

Hsε(E) X

i=1

(r0i)s−ε0

をみたすEε-被覆{Bd0(xi, r0i)}が取れる. これに対してEの開被覆{Bd0i, ri)}を,ri:= 2ri0, ξiΛ(Γ)∩Bd0(xi, r0i)と取る. このとき,定理5.3よりある定数A >0が存在して

S Λc(Γ)

Bd0i, ri)

Bd0(xi, r0i)

22 Eの開被覆{Bd0i, ri)}の作り方. 点は各極限点ξiを表す.

σ0(E) X

i=1

σ0[Bd0i, ri)]≤A X

i=1

rsi = 2sA X

i=1

(r0i)s 2sAHsε(E) + 2s0 となる. 従って,b:= 2−sA−1とおき,ε, ε0&0としてb·σ0(E)≤ Hs(E)を得る.

凸ココンパクトKlein群Γに対しµをPatterson–Sullivan測度とすると,µ[Λc(Γ)]>0が成り 立つことから次が従う.

系 5.5.

凸ココンパクトKlein 群Γに対し, δ(Γ) dimHΛc(Γ)が成り立つ. 従って, α(Γ) = δ(Γ) = dimHΛc(Γ)が成り立つ.

6 幾何的有限な Klein 群

この章では,測地流という強力な道具を用意したのち幾何的有限Klein群の性質を見ていく. そ して凸ココンパクトのときと同様に, 収束指数δ(Γ)と臨界次元α(Γ)の間にδ(Γ)≤dimHΛc(Γ) なる関係が成り立つことを,測地流を用いて証明する. 以後,Klein群Γは非初等的且つBに自由 に作用すると仮定する.

6.1 Borel 測度空間上の流れに対するエルゴード理論

この節では,距離空間(X, d)上のBorel測度νν-不変なX上の流れに関するエルゴード理論 (Nicholls [10, Chapter 7])を紹介する. 以後, (X, d)を完備可分局所コンパクト距離空間とし, νσ-有限な(X, d)上のBorel測度とする. 更に,X上のコンパクト集合はν で有限であると仮定 する. まずは,流れを定義する.

定義 6.1 (流れ).

RからXへの写像ϕが1径数変換群であるとき,即ち,各t∈Rに対してϕt :=ϕ(·, t)と おくと次の3条件, (F1), (F2), (F3)をみたすときϕX上の流れという. ϕtのことを流れと呼 ぶこともある.

(F1) ϕ0= IdX.

(F2) ϕt◦ϕs =ϕs+tが任意のs,t∈Rに対して成り立つ. (F3) ϕは連続写像である.

また,任意のt∈RとBorel集合E ⊂X に対してϕtν(E) =ν(E)が成り立つとき,X上の流れ ϕν-不変であるという.

以後, tは時間変数として扱う. 以後, 流れの持つエルゴード性に着目する. そのために,流れの エルゴード性を以下で定める.

定義 6.2 (流れのエルゴード性).

Borel測度空間(X,B(X), ν)に対してX 上の流れϕが,任意のt∈Rに対してϕtν に関し てエルゴード的に作用する,即ち,ϕt不変なBorel集合E ⊂Xに対してν(E) = 0, ν(X\E) = 0 のいずれかが成り立つとき,ϕνに関してエルゴード的に作用する,またはϕνに関してエル ゴード性を持つという.

エルゴード理論においてよく知られているものに,次のエルゴード定理と呼ばれるものである. 定理 6.3 (エルゴード定理).

(X,B(X), ν)をBorel測度空間とし,ν-不変なX上の流れϕνに関してエルゴード的に作用 すると仮定する. また,f,gX上の実数値関数でνについてL1-可測なものとし,gについては

更にg >0且つ Z

0

g(ϕt(x))dt= +∞

νに関してほとんど至るところx∈Xで成り立つと仮定する. このとき,

T→+∞lim RT

0 ft(x))dt RT

0 g(ϕt(x))dt = R

Xf(x)dν(x) R

Xg(x)dν(x)

ほとんど至るところx∈Xで成り立つ. 特に,νが有限測度のとき,g= 1とすると

T→+∞lim 1 T

Z T

0

f(ϕt(x))dt= 1 ν(X)

Z

X

f(x)dν(x) ほとんど至るところx∈Xで成り立つ.

証明. Nicholls [10, Theorem 7.2.8]を参照.

また,エルゴード性の類似の性質として,次の保存性が挙げられる. 定義 6.4 (保存的な流れ).

x∈X に対してコンパクト集合F ⊂X と無限個のtn Rが,各n∈Nについてϕtn(x) F 且つn→ ∞に対してtn +∞となるように取れるとき,xを流れϕに対して保存的な点という. 保存的な点全体のなす集合をCと書く. また,ν(C) =ν(X)となるとき, ϕXνに関して保 存的に作用するという.

例えば,次のような条件下ではこの保存性が成り立つ. 定理 6.5 (Nicholls [10, Theorem 7.2.9]).

Borel測度νが有限測度のとき,ϕXνに関して保存的に作用する. 次節以降で扱う“測地流”では,エルゴード性と保存性は同値なものとなる.