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日系人、技能実習生は比較的少ないがものづくり現場が集積する地域の企業

4 ものづくり現場の状況について 4-1 ものづくり現場の概況

かつては1万件以上の工場があったが5,000件に減り、今では3,000数百件になっている

(注文が来れば仕事をやるという企業を含む)。同社が加盟している団体でも加盟企業数が 900件あったのが1/5ほどになっている(廃業した企業、会費未納で退会の企業を含む)。 これは、中国シフトの影響が大きい。工場が少なくなったが、そこで働いていた人がどう なったかはわからない。高齢で辞めた人もいるだろうし、関係ない仕事に就いた人もいると 思う。閉鎖する工場から従業員を受け入れてほしいという申し出を受けたことはない。経営 者の姿勢もあるのだろうが、工場を閉鎖することは他人に黙っているので、人材のことも外 部からはわからない。

現在のような状況が続けば10年後には企業数が半分から1/3になるのではないか。仕事 をしたくても仕事がない。忙しい企業はない。工場を維持するのに四苦八苦である。巷間、

人手不足ということも聞くが、実感が伴わない。

しかし、一時期中国に進出していた仕事が、最近、日本に戻ってきている。これは、日本 で生産した製品の材料、精度、見た目が良いといった理由による。ただ、周辺の企業で中国 に進出した企業はない。中国ではノウハウがわからないので、金型を求めてくることもある らしい。

4-2 ものづくりにおける変化

同社が取引のあるH社、Sz社、T社、A社など大手企業関連の部品にはそれぞれ独自の 規格があり、製品も脱脂洗浄、パッケージなどすぐに使えるようにして出荷することが求め られる。

仕事のやり方が以前に比べて変わってきた。図面をメールで送ってきて、「数量を多く注 文するから材料を確保して中国と同じ値段でやってほしい」という仕事が多い。

以前は「親会社」が材料費をもっていたが、最近は業者が材料を調達するように求められ る。昨春から材料費が4割程度上昇しているため、材料代が高騰しているが、値上がり分は 出ない。そのため、指定単価で仕事を受けると加工費がなくなる。しかし、加工はしっかり したものが求められる。単価が厳しく、ものを作ってもお金にならない。

また、設計と現場が離れてしまった。作った部品が製品のどこに使われるかは教えてもら えない。部品を作るにも「急所」があるので、それを知った上で仕事をしたい。ドイツでは 現場と設計がつながっているときく。理屈が合っていても、実際にものを作ってみないとわ からないことがある。技術と技能とは別のものである。

最近、中学生が工場の見学に来て「大企業と敵対して仕事をやっているのはなぜか」と聞 かれた。しかし、大企業と敵対してやっているわけではなく、町工場が存在しているから大 企業が製品を作ることが出来ると説明した。町工場があるから大企業もやっていけるし、そ の逆もある。

2000年問題で騒がれたとき、機械に使われている時計が2000年問題に対応しているか取引 先から報告が求められてことがあった。その後、大手企業から「後継者がいない企業ところ には発注しない」との連絡が来たことがあった。部品調達の厳しさが表面化してきて、その 前後の期間は忙しかった。メーカーが安定した部品供給に危機感を持っているのではないか。

5 ものづくり現場の人材育成について

一人前に仕事が出来るようになるためには2~3年かかる。以前は見習い期間があり、5 年くらいかかった。

機械がコンピュータ制御の機械が中心で、加工技術の継承にも影響がでている。大手会社 では汎用機械を扱える若い人がいないので、定年後の人が若手を指導している。汎用旋盤を 使える人材がいなくなった。

海外の人材育成として、中国にものづくりを教えに行く人もいる。

6 今後の展望

現在のものづくりの状況は世の中に振り回されている感じがする。経済産業省から調査が 来て、若い人の考え方を知りたいとⅢ-7社社長の息子にインタビューした。「今後、どこ かで見極めて、だめなら(工場を)やめる」という回答に衝撃を受けていた。

現実はかなり厳しい状況にある。何のためにものづくりをやっているのかわからないし、

先がわからない。将来については悲観的である。

日系人、技能実習生は比較的少ないがものづくり現場が集積する地域の企業

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