日系人、技能実習生は比較的少ないがものづくり現場が集積する地域の企業
3 外国人労働者の雇用
同社では直接雇用においても間接雇用においてもこれまで外国人労働者を雇用した経験は ない。また、外国人労働者の雇用を検討した経験もない。
外国人労働者を雇用しない理由は、同社が従業員に対して求める技術は、比較的長い期間 定着しないと修得できないので、外国人労働者に多い短期的な雇用にはそぐわないからであ るという。また、日本語能力に対する不安、生活習慣が異なる人がはいることへの不安など もあるとのことだった。
外国人の研修生・技能実習生の受け入れは検討したことがない。
4 人的資源管理 4-1 採用
同社では、主にハローワーク経由で募集・採用を行っている。欠員補充によって募集する ことが多いので、年に何回か募集する。
募集に際してなるべく若い人採用したいので、20~40歳程度を対象としている。実際に採 用(予定)の従業員の年齢は、30歳代や40歳代の人もいる。応募者の中には、「同じ工作機 械を扱ったことがある」という広い意味での経験者もいるが、同社の技術が特殊なので、ま ったく同じ仕事の経験者はいない。
4-2 教育訓練・能力開発
同社の作業は大きく分けて成型-熱処理-研磨からなる。それぞれの作業は別個に行われ るが、一通りの作業をこなすことが出来るようになるまで3年程度かかるとのことである。
汎用機械のプログラムはあるが、メインとなる技能が特殊なので、教育訓練は
O J T が中
心である。なお、成型、仕上げなどの経験者から選抜して設計の仕事を担当してもらうこと もある。現場経験者は製品の強度や速度などに関する基礎知識を持っており、それを設計に 反映することが出来るからである。国家試験や技能検定など、従業員が希望する場合には受験を勧めている。ただし、そうい った試験に合格したからといって、それが仕事の能力に反映されるわけではないので、給与 に反映させていない。金一封を出す程度である。
4-3 定着
平均勤続年数は10年くらいである。従業員の定着は比較的よく、9割程度が勤め続けてい る。
4-4 定年
同社の定年年齢は60歳である。その後は1年契約の嘱託社員として再雇用される。嘱託社 員の仕事内容は定年前と同じであるが、賃金は定年前の60%程度になる。現在の適用者は1 名である。なお、再雇用されるのは希望者全員というわけではない。再雇用するかどうかは 明確な基準があるわけではない。個人の技術について明確なランク付けがあればいいのかも
しれない。
上述の通り、同社の従業員数は減少傾向で推移しているが、それを補完するために、N C 化、自動化・機械化を積極的に進めているとのことである。
5 その他
I S O の取得は製品の品質向上、従業員の仕事に対する責任感、職業意識にプラスに作用
している。従業員の構成を若い人中心にシフトさせていきたい。中高年齢者は技術を持っているが、
機械化への対応がやや遅い。技術の伝承を機械化・自動化と若い人へ直接伝える部分とうま くバランスさせていかが課題である。
工業高校の生徒3名程度をインターンシップで受け入れているが、採用にはつながってい ない。