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危険分析:地雷および不発弾(UXO:Unexploded Ordnance)

第 2 章 所得貧困以外の方法による分析

2.4 危険分析:地雷および不発弾(UXO:Unexploded Ordnance)

地理的に、カンボジアは、タイ、ベトナム、ラオスと国境を接しており、長年にわたる政 情不安、緊張状態、植民地化および内戦、国境紛争など、地域全体の歴史に大きく影響を 受けてきている。地政学的な動向の結果、カンボジアは数十年にわたる紛争・戦争に巻き 込まれ、多くの人命を失い、深刻で広範な被害を受けた。さらに、これらの紛争・戦争は、

国中に広がる不発弾および地雷という負の遺産をカンボジアにもたらした。

1979

年から

1993

14にかけて、戦争に関与した全てのグループが、集中した地雷敷設作戦 を行い、カンボジアは世界でも地雷および戦争残余爆発物(ERW:Explosive Remnants of

Wars)による汚染が最も激しい国の一つとなった。内戦終結後も、非常に多くの犠牲者が

地雷・

ERW

による事故に苦しめられることとなり、年間の被害者数は

1996

年のピーク時に

4,000

人以上に上った。

地雷および

ERW

のインパクト調査を行った、国家レベル

1

調査

2002(L1S 2002:National

Level 1Survey2002)

15によれば、国土の

2.5%に当たる 4,544

平方キロメートルが、地雷、不

発弾およびクラスター爆弾に汚染された。汚染地域は

6,422

村に相当し、国の人口の

45.3%

である

500

万人以上が、リスクにさらされることとなった。

14 内戦は、199110月のパリ和平合意により停戦となった。

15 同調査は、カンボジア政府とカナダ国際開発庁(CIDA:Canadian International Development Agency)に よる合同で行われた。

24

その後、カンボジア地雷処理センター(CMAC:Cambodian Mine Action Centre)16の地雷除 去の取組みにより、過去

10

年間の地雷・ERWによる被害者数は減少している。しかしなが ら、CMACの

2008

年年報によれば、2008年には地雷・ERWによる事故が

269

件発生し、

153

人の被害者が出た17。地雷・ERWによる被害リスクは、タイ国境地域、特に国境沿いの 北西部に多く、Banteay Meanchey、Battambang、Preah Vilhear、Otdar Meancheyおよび

Pailin

では、依然として深刻な問題となっている。

地雷および

ERW

は、人的被害をもたらすだけでなく、戦争終結後もなお長期間にわたって、

人命や肉体の損失による苦しみを与えている。さらに、社会経済的な状況や、国民の健康、

環境に、かつてない広範な負の影響を及ぼしている。

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

Year

No. of Casualties

ERW 1,573 2,069 2,340 2,603 3,025 1,125 1,633 735 391 422 480 410 558 509 262 214 149 Mine 616 466 469 730 1,295 1,173 518 420 467 404 367 362 340 366 188 138 117 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

(出所)Cambodian Mine Action Center, “Annual Report 2008” (2008), p.2, Chart 1

図 2-6:カンボジアの地雷および爆発戦争残余物の被害者(1992-2008)

16 カンボジア地雷処理センター(CMAC:Cambodian Mine Action Centre)は、地雷および不発弾除去を目 的として、カンボジアと国連カンボジア暫定機構(UNTAC:United Nations Transition Authority in Cambodia)

によって、停戦後の1992年に設立された。

17 犠牲者の数が図 2-6と異なるも、CMAC年次報告書(2008年)に言及なし。

(出所)Cambodian Mine Action Center, “Annual Report 2008” (2008), p.6, Figure 2 図 2-7:地雷事故発生地(2008年)

L1S2002

年によると、下記の

21

郡が、地雷および

ERW

による被害を最も受けている。

表 2-4:地雷および

ERW

による被害を最も受けている

21

郡のリスト

Banteay Meanchey Ou Chrov, Thma Puok, Svay Chek and Malai

Battambang Banan, Bavel, Moung Ruessei Rotonak Mondol, Samlout, Sampov Lun, Phnom Proek, Kamrieng and Koas Krala

Preah Vihear Choam Khsant Pursat Veal Veaeng

Takeo Samraong

Otdar Meanchey Anlong Veaeng, Banteay Ampil and Trapeang Prasat Palin Krong Pailin and Sala Krau

26

(出所)Kingdom of Cambodia and Cambodian Mine Action Centre, “Five-Year Strategic Plan 2010-2014”

図 2-8:地雷および

ERW

による被害を最も受けている

21

郡の分布状況