2 章
2. 実験装置・方法 1 実験装置
2.4 作成した高分子被覆壁面
2.4.1 単一濃度溶液による単層被覆壁面
Name of Test plate
Concentration (%)
Number of applications
PVA PEO
N
PVA-H 11 2
PVA-L 5 3
PEO-H 10 1 2
PEO-L 5 0.5 3
Table.2.1 Concentration of painting solution
2.4.2 多層被覆壁面
異なる濃度の溶液を複数回被覆することで,多層被覆をもつ壁面を作成し た.先述の通り,本研究の被覆は,抵抗低減効果を期待できるPEOを,PVA でつなぎ留めて抵抗低減効果を狙うものである.添加剤の濃度が高いほど抵抗 低減効果が増加するというToms効果の傾向から考えると,抵抗低減効果が確 認されているPEOの濃度が高い被覆のほうが,より高い抵抗低減効果が狙え る.一方で,PVAの溶液はのりの材料としても使われているように高い接着性 を持つため,PVAの濃度は被覆と壁面の接着に大きく影響する.PVAの濃度が 低い被覆は被覆と壁面の接着性が不足し,被覆が壁面から剥落してしまう.こ のように,抵抗低減効果を増加させるにはPEOの濃度が高い溶液を,壁面との 接着性を向上させるにはPVAの濃度が高い溶液を用いた被覆が望ましいと考え られる.
つまり,抵抗低減効果を得るには,作動流体と接している被覆の表面にPEO が存在していることが重要であると考えられ,壁面と被覆の接着面に存在する PEOは抵抗低減効果に影響しないと考えられる.一方,被覆との接着性を向上 させるには,壁面と被覆の接着面にPVAが存在していることが重要であり,作 動流体と接する被覆表面に存在するPVAは抵抗低減効果に影響しないものと考 えられる.
仮に,壁面と被覆の接着面にはPVAが多く存在し,作動流体と接する被覆表 面にはPEOが多く存在する被覆を作成することが出来れば,壁面と被覆の接着 性と抵抗低減効果をともに向上させることが出来ると考えられるが,既存の報
告(5,46)や2.4.1節のように単一濃度の溶液を被覆することではこのような被覆の
作成は困難である.そこで,図2.10のように濃度の異なる溶液を複数回に分け て被覆することで,壁面と被覆の接着面にはPVAが多く,作動流体と接する被
覆表面にはPEOが多く存在する多層被覆を作成した.始めに被覆する溶液は PVAのみの溶液で,これを下地として壁面に塗布する.その後,PEOを多く含 んだ溶液を下地の上から表面に被覆することで,多層被覆を作成した.
下地として塗布する溶液は,PVAのみを5%溶かしたものと,11%溶かした 溶液の2種類を用いた.下地の上から表面に塗布する溶液は,PEOのみを1%
溶かした溶液, PVAを2%溶かした溶液にPEOを2%添加した混合溶液の2種 類を用いた.PEOのみを1%溶かした溶液,PVA2%,PEO2%の溶液はどちら も,単体で壁面に被覆しても壁面との接着力が不足し壁面に留まらないため,
長時間の抵抗低減効果を得ることが出来ない溶液である.
下地としてPVA5%の溶液を使用する際には,PVA5%の溶液を2回塗布した 後,表面へのPEO混合溶液の被覆を行った.下地としてPVA11%の溶液を用 いた場合は,下地の塗布を1回行なった後,表面にPEO混合溶液を被覆した.
下地の被覆回数を溶液の濃度によって変更したのは,下地として塗布する溶液
がPVA5%の場合,1回の塗布では被覆が十分な厚さにならず,下地として十分
機能しないためである.この被覆により,図2.11のように壁面との接着面には
PVA,被覆表面にはPEOが多く存在する被覆が作成されているはずである.ま
た,下地と同じ溶液を表面に重ね塗りした壁面も,比較のために用意した.
PVA-LはPVA5%の溶液,PVA-HはPVA11%の溶液のみを複数回塗布したもの
であり,先述の単層被覆壁面と同様の被覆である.壁面の被覆に用いた溶液の 濃度を表2.2に示す.
Fig. 2.10 Image of Coating with multiple (a) Coating with single solution
(b) Coating with multiple solution
Fig. 2.11 Image of multi-layer coating
Name of test plate
Concentration (%)
Under coat Surface coat
PVA PEO PVA PEO
PVA-L 5 5
Multi-L1 5 1
Multi-L2 5 2 2
PVA-H 11 11
Multi-H1 11 1
Multi-H2 11 2 2
Table.2.2 Concentration of multi-layer coating
2.5 高分子被覆壁面での実験