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半単純環,単純環

ドキュメント内 完全非連結群の表現の基礎 (ページ 43-47)

定義A.3.1 AA-加群として半単純のとき,A を半単純環と呼ぶ.Aの 両側イデアルがA{0}に限るとき,Aを単純環と呼ぶ.

命題A.3.2 Aが半単純環のとき,単純A-加群M と単純左イデアルa⊂A に対して,aとMA-加群として同型なるための必要十分条件はa·M ̸= 0 なることである.

[証明]十分なることは命題A.1.2で示した.逆にA-加群の同型写像f :a˜ M があったとする.A=abなる左イデアルb⊂Aがとれるから,直和分解 A=abに関するAからaへの射影をπ:A→aとして,x=f◦π(1)∈M とおく.任意のa∈aに対してf(a) =f◦π(a) =axとなるから,a·M ̸= 0 である.

Aは半単純環であるとすると,任意の単純A-加群M に対して,M と A-加群として同型な単純左イデアルa⊂Aが存在する;実際,命題A.1.5から Aは単純左イデアルの和 だからa·M ̸= 0なる単純左イデアルa⊂A が存 在する.よってM と aは A-加群として同型である.

Aの単純左イデアルのA-加群としての同型類全体をC(A)と書く.c∈C(A) に対して

⟨c⟩=∑

ac

a⊂A

とおく.

命題A.3.3 A が半単純ならば

1) 任意のc∈C(A)に対して⟨c⟩A の両側イデアルである,

2) 相異なるc, c∈C(A)に対しては⟨c⟩ · ⟨c= 0,

3) C(A)は有限集合である.

[証明]c∈C(A)とする.cに含まれない 単純左イデアルb⊂Aに対しては命 題A.1.2より⟨c⟩ ·b= 0となる.よって=c∈C(A)に対して⟨c⟩ · ⟨c= 0 である.又,a,b∈cとして,a·b̸= 0 なるb∈bをとるとa·b=bとなる から,a·b⊂ ⟨c⟩である.よって

A= ∑

aA:単純左イデアル

a

より⟨c⟩ ·A=⟨c⟩ · ⟨c⟩ ⊂ ⟨c⟩. よって ⟨c⟩Aの両側イデアルである.最後 にA= ∑

cC(A)

⟨c⟩だから

1 =e1+· · ·+er, 0̸=ei∈ ⟨ci⟩, ci∈C(A)

として,c1,· · · , cr は互いに相異なるとする.任意の単純左イデアルa ⊂A に対して

0̸=a=e1a+· · ·+era

だからeia̸= 0 なるei ∈ ⟨ciがある.よってb·a̸= 0なる b∈ci があり,

よってa∈ci となる.よってC(A) ={c1,· · ·, cr}である.

命題A.3.4 A は半単純環であるとする.A が単純環となる必要十分条件は

♯C(A) = 1なることである.

[証明]Aは単純環であるとする.c∈C(A)として,⟨c⟩ ̸= 0はAの両側イデ アルだからA=⟨c⟩となる.よって任意の単純左イデアルb⊂Aに対して

b=b=∑

ac

a·b

よりa·b̸= 0 なるa∈c がある.よって命題A.1.2よりb∈cとなる.

逆に♯C(A) = 1とする.両側イデアル0̸=b⊂Aに対してb0bなる単 純左イデアルb0 ⊂A がある.一方任意の単純左イデアルa⊂Aに対して,

a=b0aなるa∈a がある.よってabab.よってb=Aとなる.

Aを半単純環としよう.命題A.3.3よりC(A) ={c1,· · ·, cr}は有限集合 である.Ai =⟨ciとおくと

A=A1⊕ · · · ⊕Ar (A.6) となり,1 =e1+· · ·+er (ei∈Ai)とおくと,Ai=Aeiei∈Ai を1 と する単純半単純環である.

[証明]まずA= ∑

cC(A)

⟨c⟩=A1+· · ·+Arであり,i̸=j ならばAi·Aj= 0 である.任意のa∈Ai に対して

a=a1 =ae1+· · ·+aer=aei,

同様にeia=aだから,Aieiを1とする環である.一方a1+· · ·+ar= 0 (ai ∈Ai)とすると,ai =eiai = 0.よってA=A1⊕ · · · ⊕Ar である.Ai

Ai-部分加群はA-部分加群だからAi は半単純環である.更に,単純左イ

デアルa⊂Ai をとると,a は Aの単純左イデアルでeia =a ̸= 0.よって a∈ci.よって♯C(Ai) = 1となり命題A.3.4よりAi は単純環となる.

直和分解(A.6) をAの単純分解と呼ぶ.

さてAを半単純環として

A=A1⊕ · · · ⊕Ar, 1 =e1+· · ·+er (ei∈Ai)

Aの単純分解とする.ai⊂Ai を単純左イデアルとすると,aiA の単 純左イデアルで

C(A) ={[a1],· · ·,[ar]} である.このとき

命題A.3.5 A-加群M に対して,M は半単純A-加群であり,aiA-加群 として同型な単純A-部分加群N ⊂M の全体をSi とすると

eiM = ∑

N∈Si

N

となり,更にM =e1M⊕ · · · ⊕erM である.この直和分解をM の等型分 解と呼ぶ.

[証明]適当な直和

Λ

AからM への全射A-加群準同型写像があって,

Λ

A は半単純A-加群だから,M は半単純である.Mi =eiM ⊂MA-部分加 群だから半単純である.そこでN ⊂Mi を単純A-部分加群としよう.適当 なx∈N をとれば或aj に対してN =ajxとなる.ここで =i とすると,

x=eiy(y∈M)と書けるから,任意のa∈aj ⊂Ajに対してax=aeiy= 0.

よってN = 0となり矛盾する.よってj=i,即ち,ai·N̸= 0だからNとai

A-加群として同型である.逆に単純A-部分加群N ⊂MA-加群として aiと同型ならば,N =aix(x∈N)となり,N=aix⊂eiAx⊂eiM となる.

上で述べたことからM =e1M +· · ·+erM である.一方x1+· · ·+xr= 0 (xi∈eiM)とすると,eiej= 0 (i̸=j)よりxi= 1xi=eixi = 0となる.

A-加群の完全系列

0−→L−→f M −→g N−→0

が分裂するとは,g◦φ=idN なるφ HomA(N, M) が存在することを言 う.このとき

M = Im(f)Im(φ), f :L→˜ Im(f), φ:N→˜ Im(φ).

[証明]x∈M ならばx−φ◦g(x)∈Ker(g) = Im(f)だから,M = Im(f) + Im(φ).x Im(f)Im(φ) ならばx = φ(y) Ker(g) (y N) より0 = g(x) =y,よってx=φ(0) = 0.

命題A.3.6 A-加群P に対して次は同値である;

1) P は射影的A-加群(即ち,A-加群の準同型写像g:M →N が全射な らばHomA(P, M)HomA(P, N) (φ7→g◦φ)は全射),

2) A-加群の完全列0→L→M g P 0は分裂する,

3) P⊕Lが自由A加群となるA-加群Lが存在する.

[証明] 1)2) HomA(P, M)HomA(P, P) (φ7→g◦φ)は全射だから.2)

3)自由A-加群M をとって完全列0→L→M →P→0を作れて,これ が分裂するから,L⊕P→˜ M となる.3)1)自由A-加群P⊕LA-基底 {eλ}λΛをとる.A-加群の全射準同型写像g:M →Nφ∈HomA(P, N) に対して

Φ = [(x, y)7→φ(x)]∈HomA(P⊕L, N)

として g(zλ) = Φ(eλ) なる zλ M をとり,Ψ HomA(P ⊕L, M) を Ψ(eλ) =zλΛ)により定義すると,gΨ = Φとなるから

ψ= [x7→Ψ(x,0)]HomA(P, M) はg◦ψ=φを満たす.

命題A.3.7 次は同値である;

1) Aは半単純環,

2) 任意のA-加群は射影的,

3) 任意のA-加群は半単純.

[証明] 1)2) A-加群P をとる.自由A-加群MA-加群の全射準同型写g:M →P がとれて,M は半単純A-加群だからM = Ker(g)⊕L なる A-部分環群L⊂M がある.このときA-加群の同型L→˜ P (x7→g(x))が成 り立つから,Ker(g)⊕P が自由A-加群となり,P は射影的A-加群である.

2) 3)A-加群MA-部分加群N ⊂M に対して,A-加群M/N は射 影的だから,A-加群の完全列

0−→N −→M −→M/N −→0

は分裂する.よってM =N⊕LなるA-部分加群L⊂M がとれる.

3)1)明らか.

ドキュメント内 完全非連結群の表現の基礎 (ページ 43-47)

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