• 検索結果がありません。

5.6.1.

前節までに詳述した北部 3回廊について、本節では各回廊の特徴を述べるとともに相互に比較し た場合の長所および短所を取りまとめる。

北部3回廊の経路および経路ごとの輸送形態を表5.6.1に示す。同表には各回廊の出発地点から外 航船への積込港までの全輸送距離、および内陸水運あるいは鉄道による輸送距離も合わせ示して いる。なお、輸送距離はGoogle Earthの地図上で求めており、正確な値ではない。

5.6.1 北部3回廊の経路と輸送形態

出典:調査団作成

マデイラ回廊 (1)

マデイラ回廊の経路図を図 5.6.1 に示す。この回廊では穀物産地からポルトベーリョ港のバージ 積出用穀物ターミナルまでトラックで輸送され、そこからバージに積み替えられて、イタコアチ アラ港あるいはサンタレン港の穀物ターミナルまで輸送され、そこで外航船に再度積み替えた後 輸出される。この回廊はすでに実現化され稼働している。今後は、既存ターミナル会社が能力増 強を図る計画を持っている。イタコアチアラ港およびサンタレン港にはパナマックス型の穀物船 が寄港できるので、今後も引き続いて既存のターミナルオペレータが取扱能力を拡充しながら事 業を続けてゆくものと考えられる。

穀物ターミナルへのアクセス道路バージ積み替え地 水路/鉄道

水上/鉄 道輸送距

積替/輸出港

経路 Km 積出港 水路 Km

BR 364 1,370ポルトベーリョ マデイラ河 960イタコアチアラ港

マデイラ河 1,486サンタレン港

BR163 1,375ミリティチューバ タパジョス河 282サンタレン港

1,613 道路輸送 サンタレン港

1,375ミリティチューバ タパジョス河 829サンタナ港

1,375ミリティチューバ タパジョス河 1,082ビラドコンデ港

MT リベイラオン・カスカレイラ BR 158 1,630 道路輸送

TO コンセイサンド・トカンチンス BR010 225ポルトナショナル 南北鉄道 1,130

TO/MA/Pマンダカル BR226/230 399パルミランチ 南北鉄道 640

MA インペラトリス周辺 Secondary Road 100ポルトフランコ 南北鉄道 550 MA マラニョン州南部 BR135/BR222 502 道路輸送

PI 州中央 BR316 704 道路輸送

各回廊の経路

イタキ港 アラグアイア

・トカンチン ス回廊 タパジョス回

マデイラ回廊 MT

MT クイアバ クイアバ

回廊 生産州 代表地点

道路輸送、 内陸水運、 外航船の航路 出典:調査団作成

5.6.1 マデイラ回廊の輸送経路と輸送形態(現況および将来)

タバジョス回廊 (2)

タパジョス回廊は、現在ミリティトゥーバにおけるバージ用穀物ターミナルを建設中であるため、

マトグロッソ州からBR163経由で直接サンタレン港に輸送し、外航船に積み込んでいる(図5.6.2 参照)。

道路輸送、 外航船の航路 出典:調査団作成

5.6.2 タパジョス回廊の輸送経路と輸送形態(現況)

ミリティトゥーバのバージ用穀物ターミナル群が稼働開始すれば、ミリティトゥーバ港において バージに積み替え、ビラドコンデ港やその周辺の民間港あるいはサンタナ港付近の民間港に運ば れ、そこから海外へ輸出されるようになる(図5.6.3)。

道路輸送、 内陸水運、 外航船の航路 出典:調査団作成

5.6.3 タパジョス回廊の輸送経路と輸送形態(将来:2016-2030)

タパジョス河の水運を活用するため、ミリティトゥーバより上流側にダムを建設することが計画 されている(図5.6.4参照)。ダムと水運のための閘門が設置されれば、この回廊は約1,900kmの 距離にわたって内陸水運が利用でき大幅な輸送コストの低減が期待されるが、その実現は 2030 年以降と思われる。

道路輸送、 内陸水運、 外航船の航路 出典:調査団作成

5.6.4 タパジョス回廊の輸送経路と輸送形態(将来:2030~)

アラグアイア・トカンチンス回廊 (3)

上記 2 回廊がマトグロッソ州で生産される穀物の輸出ルートであるのに対し、アラグアイア・ト カンチンス回廊は図5.6.5に青色で示すマピト地域(マラニョン州・ピアウィ州・トカンチンス州)

で生産される穀物の輸出のための回廊である。イタキ港の新穀物ターミナル、南北鉄道の内陸穀

物ターミナルが建設されるまでは国道BR15、BR158 および一部は南北鉄道とカラジャス鉄道を利 用して穀物がイタキ港に運ばれていた。

道路輸送、 鉄道、 外航船の航路 出典:調査団作成

5.6.5 アラグアイア・トカンチンス回廊の輸送経路と輸送形態(現在:~2015)

2015年にイタキ港内でTEGRAM が稼働開始するとともに、鉄道アクセスも完成、さらにカラジ ャス鉄道の複線化工事も進み、穀物をイタキ港へ運ぶための鉄道の輸送能力が確保された(図

5.6.6)。さらに、南北鉄道の 3か所に内陸鉄道ターミナルが稼働中であり、鉄道周辺の生産地か

らの集荷が効率的となる。

トカンチンス河の水運に関しては、図 5.6.7 に示すようなダム群を建設する計画があるが、その 実現時期は2030年以降であろう。

道路輸送、 鉄道、 外航船の航路 出典:調査団作成

5.6.6 アラグアイア・トカンチンス回廊の輸送経路と輸送形態(現在から中期:2015~2030)

出典:調査団作成

5.6.7 アラグアイア・トカンチンス回廊の輸送経路と輸送形態(長期計画:2030)

各回廊相互間の有利性の比較 5.6.2.

以下、種々の観点から各回廊の長所・短所を整理する。

インフラ整備の観点 (1)

マデイラ回廊 ポートベーリョ - サンタレン/イタコアチアラ

内陸水運を利用した穀物輸送システムとしてはほぼ完成している。民間資金によるターミナル施 設の拡張が進んでいる(民間投資と公共による促進計画が逐次実施)。

課題: マトグロッソ州の穀物産地からポルトベーリョへの道路の整備・改良が望まれる。イ タコアチアラ港・サンタレン港まではパナマックス型の穀物船が寄港可能であるが、

さらに大型船を寄港させるのは困難。

タパジョス回廊 ミリティトゥーバ - ビラドコンデ/サンタナ

現在、穀物ターミナルへの民間投資が進んでおり、1-2 年の間にミリティトゥーバとビラドコン デ周辺に多数の民間穀物ターミナルが稼働を始めるため、マデイラ回廊をしのぎマトグロッソ州 で収穫された輸出穀物を北部地域へ輸送する最大の回廊になると考えられる。

課題: 内陸水運の利用範囲の拡大に関する課題。タバジョス河のミリティトゥーバより上流 域にダムと船舶通航用の閘門を建設することにより、マトグロッソ州内から内陸水運 を利用することが可能となる。ダム建設に多大な投資が必要であり、実現するのは 2030年以降と考えられる。

アラグアイア・トカンチンス回廊(マラニョン、トカンチンス、ピアウイ州-イタキ港)

将来はアラグアイア河やトカンチンス河を経由して、直接ビラドコンデ港および周辺の穀物ター ミナルへ接続する計画もある。しかし、ダム建設のために必要な投資が多大であることから、今

後20年間は鉄道を第一の輸送手段とした穀物輸送回廊として利用されるものと考えられる。VLI 社はトカンチンス州パルマスからイタキ港穀物ターミナルまでの穀物一貫輸送サービスを開始し ており、すでに年間12百万トンの穀物輸送能力を有している。

パルマスからゴイアス州までの鉄道軌道はすでに完成しており、この回廊の穀物の集荷範囲がゴ イアス州まで拡大することが期待できる。

課題: 穀物生産農場から鉄道ターミナルへのアクセス道路の改善

以上、すでに内陸水運を利用して実績のあるマデイラ回廊、新たな内陸水運ルートを整備しつつ あるタバジョス回廊、鉄道を利用したアラグアイア・トカンチンス回廊、と 3 回廊には輸送方法 に違いはあっても、共に幹線路のインフラ整備は数年以内に完了し、輸出穀物を北部地域の港湾 まで輸送するのに十分な能力が確保できる。

残された課題として、短期的には生産地から内陸ターミナルまでの陸上輸送路の整備、長期的に はタパジョス回廊およびアラグアイア・トカンチンス回廊のダム群および閘門の建設による内陸 水運の利用範囲の拡張である。

輸送競争力の観点 (2)

北部 3 回廊の第一の役割は、南部港湾回廊と互いに競合するのではなく、取扱能力や輸送能力が 需要に追いつかなくなってきたこれまでの主要輸出港である南部地域港湾やそれに接続するアク セス道路や鉄道を補完することである。

北部地域における輸送インフラ整備は、混雑した南部地域に比べ開発用地の選定および取得面で 有利であり、さらに港湾法の改訂により民間企業が港湾ビジネスに参加し易くなったことも北部 地域回廊整備の大きな原動力となっている。

一般に、穀物の生産業者・物流業者・ターミナルオペレータはグループを形成しており、南部あ るいは北部いずれの回廊を利用して穀物を輸出するかは、そのグループメンバーと関連の深い企 業が所有し運営する回廊およびルートに基づき選択され、必ずしも輸送距離・時間が短いルート を使って穀物を輸出するとは限らない。

いずれにしろ、伯国では南部と北部の回廊相互間、および北部 3回廊相互間において競争や競合 が起こるのではなく、相互に補完しながら今後も生産増加が期待される穀物を分担して輸出する ものと考えられる。

なお、北部地域の港湾は南部の港湾に比べてパナマ運河により近い位置にあるため、パナマ運河 を通ることにより、アジアまでの海上輸送コストを縮減できるという有利性があると考えられて いた。パナマ運河は大型船が通行できるよう拡張工事を実施中であり、これが完成すればより大 型のオーバーパナマックス型ドライバルク船を使用することにより、南部地域の港湾よりも国際 海上輸送費においてさらに有利になるという期待があった。しかし、パナマ運河庁が2015年5月 に発表した拡張運河の通航料金は、パナマ運河を通ることによる航海日数短縮効果の数倍に匹敵 する金額である。そのため、伯国からアジア向けの穀物輸送は喜望峰回りの航路をとることが現 実的であり、北部港湾の方が南部港湾に比べて逆に不利になることが判明した。