ここでは、先に予測された穀物生産量予測結果をもとに、回廊別の輸送量の需要予測を行う。輸 出港の選定は、実際には輸送業者のネットワーク状況や輸送頻度、国際航路などの複数要因の影 響を受けるが、穀物の輸送経路は時間価値より輸送コストによる影響が大きいと考えられること から、ここでは内陸輸送費が最低となる港へ輸送されるものと仮定した。
内陸輸送コスト 5.7.1.
輸送コストに関する既往調査 (1)
伯国では、穀物生産地が内陸にあり周辺インフラ整備も不十分であることから、国内の輸送コス トが他国と比べて高コストであるとの指摘がなされている。これに関して、MOT, ANTAQ, CNT などが輸送コストに関する調査を行っている。
PHE(MOT) 1)
MOTは、"Inland Waterways Strategic Plan”においてモード別の輸送コストを以下のように取りまと めている。輸送単価は様々な要因によって変わるが、ここではバラ荷トラック輸送、バラ荷貨車 輸送、2×2 コンボイでの内陸水運輸送で4つの閘門を通る場合を想定して算定されている。算定 の根拠は、サンパウロ大学のコストモデル(道路、水運)とPNLTモデル(鉄道)である。
表5.7.1 PHEにおけるモード別輸送単価
輸送距離 (km) 道路トラック 鉄道 内陸水運
100 0.49460 0.13000 0.05040
250 0.29368 0.10200 0.03800
500 0.22672 0.08600 0.03388
1,000 0.19323 0.07200 0.03181
2,000 0.17666 0.06000 0.03078
出典:PHE、MOT
Entraves Logisticos Ao Escoamento de Soja e Milho (CNT)
2)
CNTは、”Entraves Logisticos Ao Escoamento de Soja e Milho”において、大豆・とうもろこしの主要 輸送ルートごとに輸送コストを算出し、北部輸送インフラの改善に伴う経済効果を簡便法で算定 している。輸送コストは上記PHEと同様にサンパウロ大学のコストモデルを用いているが、具体 的な輸送単価については記述されていない。
PHEL(ANTAQ) 3)
PHELでは以下の情報を基に輸送単価の検討を行っている。
① トラック輸送
Luiz Queiroz 大学(ESALQ)とサンパウロ大学(USP)が、定期的にルートごと、農産品ご との平均値を分析している輸送情報システム(Sifreca)を用いている。
② 鉄道輸送
モニターシステムデータ、鉄道管理(SAFF)、ANTT システムなど鉄道セクターが有してい る情報を用いている。
③ 内陸水運
商船システムとしてANTAQが得た輸送情報、運輸省(MOT)の商船海運基金局(FMM)が 有しているシステムでデータベース化されているものを用いている。その他、オペレーティ ングコストは、LabTransの行った資料を用いている。
表5.7.2 PHELにおけるモード別輸送単価
Distance
(km)
Unit Cost (R$/ton-km)
Road Rail IWT
-200 0.17400 0.08150 0.04200
200 - 500 0.13100 0.08150 0.04200 500 - 800 0.11400 0.06900 0.04200 800 - 1,100 0.10200 0.06900 0.04200 1,100 - 0.08800 0.06900 0.04200 出典:調査団
トラック輸送コスト (2)
上記の既往調査とは別に、本調査ではイタキ港周辺でトラックドライバーへのインタビュー調査 を実施した。輸送単価は概ねR$ 0.147 /トン-キロであった。
表5.7.3 トラックドライバーへのインタビュー調査結果
Origin Route
Time Expend
(days)
Volume
(ton)
Freight Cost
(R$/ton)
Farm Nova Holanda(MA) BR230 3 40 148
Confressa (MT) Colinas, Estreito, Porto Franco, Açailandia 2 40 230 Confressa (MT) Colinas, Estreito, Porto Franco, Açailandia 2 37.5 230
Farm Nova Holanda(MA) BR230 4 52 148
Palmas(TO) BR153, Porto Franco 2 40 185
Palmas(TO) BR153, Porto Franco 2 37 185
Urupi(TO) BR153, Porto Franco 2 50 200
Balsas(MA) BR135 1 36.9 120
Aparecida do Rio Negro(TO) Porto Franco 2 48 185
出典:調査団
鉄道輸送コスト (3)
鉄道輸送コストについては、ヒアリング時に具体的な輸送単価を入手することができなかった。
一方で、VALECが実施している各路線のF/Sレポートには、ANTTが規定する輸送単価の上限額
およびF/Sで提案されている輸送単価が提案されている。平均で約R$ 0.077/トン-キロであっ た。
表5.7.4 F/Sにおける鉄道輸送単価
Route Unit Cost
(R$/Ton-km)
FNS 0.075 FNS_Extension 0.077
Port Flanco - Eliseu Martins 0.082
Flguropolis-Iheus 0.074 Average 0.077 出典:各路線のF/Sレポートより調査団作成
本調査における輸送コスト単価 (4)
本調査で収集した情報やトラックドライバーへのインタビュー結果を考慮し、信憑性が高いと考
えられるANTAQの調査結果を使用して内陸輸送コストを試算した。
輸出港別背後圏の設定 5.7.2.
上記の輸送単価および将来交通ネットワーク情報を基に、輸出港別の背後圏の推計を行った。将 来交通ネットワークは、BR163が完成し南北鉄道が全区間で運行開始しているものと仮定した。
その他の鉄道計画については、見通しが不透明であるため未整備とした。
推計の結果、アラグアイア・トカンチンス回廊の輸出港であるイタキ港の背後圏はマラニョン 州・ピアウィ州・トカンチンス州およびマトグロッソ州とパラ州の東部と推計された。マトグロ ッソ州東部は先住民保護区で分断されており、先住民保護区より東側の地域がイタキ港の背後圏 と考えられる。
出典:調査団
図5.7.1 交通ネットワークと先住民保護区
出典:調査団
図5.7.2 港別の背後圏