図 5-4:PDおよびPVE同時計測システムデータ解析プログラムのダイアログ
比較的強いパワー密度と適当なビーム径をもち,光の拡がり角が小さい光ビームを手 軽につくることが難しいので,本研究では励起光源として半導体レーザを使用するこ とにした.
以上より,本研究では表 5-1に示すように,a-As2Se3および a-SeのPVE その場計 測においては,635 nmおよび532 nmの半導体レーザを,a-As2Se3のPDおよびPVE 同時計測においては635 nmの半導体レーザを使用した.
表 5-1:a-As2Se3およびa-Seのバンドギャップと光吸収端波長
試料材料 バンドギャップ Eg[eV]
光吸収端波長
0[nm]
励起光波長 [nm]
a-As2Se3 1.76 705 635
532
a-Se 2.05 605 532
5.2.2 励起光のパワー密度およびビーム径
まず,励起光のビーム径について検討する.3.2.3の「位相シフト干渉計の膜厚変化 その場計測への応用における改良」で示したように,励起光によりPVEが起こる領域 と,励起光の影響を受けずPVEが決して起こらない領域が,明確に区別することがで きる必要がある.一方,4.2.2の「分光分析システムによるPD計測の原理」で示すよ うに,励起光の中心部のPDが起こる領域を,直径約0.5 mmの分光分析システムのプ ローブ光が通過する必要がある.これらの条件から,図に示すように,励起光のビー ム径は約1.0 mmとした.
図 5-5:励起光とPD計測プローブ光,PVE計測プローブ光
次に励起光のパワー密度について検討する.励起光のパワー密度は,従来から PD およびPVEの観測には,100 mW/cm2程度が使われている.光吸収による他の変化の 影響があるほど強過ぎず,PDおよびPVEが効率的に起こる強さであるということで あるから,本研究でもこれに倣った.また本研究では,PVEのパワー強度依存性につ いて実験を行い確認したので,後述する.
5.2.3 プローブ光の影響について
励起光,位相シフト干渉計のプローブ光および分光分析システムのプローブ光の,
パワー密度,波長,ビーム径を,表 5-2にまとめた.
表 5-2:3つの照射光のパワー密度,波長,ビーム径
照射光の種類 パワー密度
(mW/cm2)
波長
(nm)
ビーム径
(mm)
励起光 ~100 635
532 ~1
位相シフト干渉計・プローブ光 1.2 405 12~20 分光分析システム・プローブ光 0.038 白色 0.5
表 5-2 に示すように,励起光のパワー密度が~100 mW/cm2であるのと比較し,位 相シフト干渉計のプローブ光は 1.2 mW/cm2であり,分光分析システムのプローブ光
は38 W/cm2である.いずれのプローブ光のパワー密度も,励起光と比較して十分小
さく,光誘起変化への寄与を無視することができる.また,位相シフト干渉計のプロ ーブ光については,波長が試料の光吸収端波長と比較し,はるかに短いので,試料内 部への侵入長は著しく小さく,光誘起変化への影響はさらに小さいと考えられる.
参考文献
[1] Peter de Groot, Appl. Optics, 34, 4723(1995).
[2] Y. Ikeda and K. Shimakawa, J. Non-Cryst. Solids 338-340, 539 (2004).
[3] Y. Ikeda and K. Shimakawa, J. Non-Cryst. Solids 352, 1582 (2006).