• 検索結果がありません。

加工雰囲気が加工レートに及ぼす影響

ドキュメント内 尹, 涛 (ページ 78-83)

第 4 章   高能率を目指した SiC の両面加工

4.2   加工雰囲気が加工レートに及ぼす影響

4.2.1 実験条件

実験条件を表 4.1 に示す.パッドには IC1400-p 溝タイプを,スラリーには COMPOL-80 で用いた.定盤回転速度は上下とも 100min-1に設定した.三種類 のガス(Air,O2,N2)の常圧と高圧雰囲気中で実験を行った.加工時間は電 子天秤の最小分解能による測定精度と実験効率の双方の観点から考慮して 30minとした.

また,ここで言う常圧,高圧ガス雰囲気は,一度密閉チャンバー内の空気を 排除し,-70kPa の真空にした後,ガスを密閉チャンバーに導入し,圧力を元の 大気圧まで戻すか,さらに高圧にする.以下の実験では圧力はゲージ圧で表示 しており, 1大気圧を0kPaとして表示している.

77

Table 4.1 実験条件

加工試料 単結晶4H-SiCウエハ {0001}

50mm×t430m 使用研磨機 DDP-X(両面ベルジャー)

小円揺動速度 [min-1],半径 [mm] 15, 15 上/下定盤回転速度 [min-1] 100/100

パッド IC1400-p

加工圧力 [kPa] 21

加工時間 [min] 30

加工雰囲気 [kPa] Gauge pressure Air 0, Air 500, O2 500, N2 500, Ar 500,

真空-70

スラリー COMPOL-80

砥粒濃度 [%] 10

粒径 [nm] 77

pH 11 4.2.2 実験結果・考察

まず,Air,O2,N2三種のガスの常圧雰囲気中での実験結果を図 4.1 に示す.

縦軸は加工レートを,横軸は加工ガス雰囲気を表している.この図より O2ガス 雰囲気中の加工レートが一番低いことが分かる.

SiC 両面 CMP ではシリコンの CMP と異なり,N2,O2ガスとも加工に促進効 果が見られていない.その原因としては以下の三点のいずれかが考えられる.

①SiC は非常に安定であるから,加工雰囲気中の気体との反応が起こらない.

②O2ガスによるスラリー中の DO濃度の増加が,SiCウエハ表面 Si原子との 反応を促進し,SiO2膜を生成するが,緻密な酸化膜のため,深さ方向の酸 化が抑えられる.

③加工雰囲気中の酸素以外の気体成分もSiC加工に影響する.

ところが,同じ条件下で,もし雰囲気の影響がなければ,加工レートはほぼ 同じはずだが,実験結果から見ると,異なるガス種の加工レートが異なってお り,ガス種の影響があると考えられ,①は原因とならないことが分かる.

78

スラリー中の DO 濃度の影響を調べるため,同じ条件下で真空および高圧雰 囲気中で実験を行った.実験結果を図 4.2 に示す.高圧雰囲気中の加工レート が常圧大気と比べ,いずれも低くなっていた.高圧 N2雰囲気中の加工レート はほぼ真空中の加工レートと同じであり,高圧 O2 雰囲気中の加工レートは真 空中の加工レートより低い.また,高圧雰囲気の加工レートを見ると,高圧 N2

雰囲気中の,加工レートがもっとも高い.以上の結果から,N2ガスは CMP 加 工への影響が少ない.O2ガスの場合,溶存酸素の量が増えると CMP 加工に一 定の抑制作用があると考えられる.このことから,②番は高圧雰囲気中での加 工レート減少の原因と考えられる.

Fig.4.1 SiC-CMPにおける加工雰囲気と加工レートの関係

0 40 80 120

Polishing pad : IC1000−p Pressure : 21kPa

Slurry : Colloidal Silica 10wt% pH 11

Air (open) O2 N2

Removal rate nm/h

Procssing atmosphere kPa(Gauge)

(0 kPa) (0 kPa)

79

一方,高圧 Air 雰囲気中の加工レートが常圧の時と比べ減少した.この理由 は加圧により容器中の O2ガスの量が増え,生成した酸化膜が保護膜となって,

加工を抑制したと考えられる.また,高圧O2,高圧 Air,高圧N2の順に加工レ ートが増加する.この結果から,O2の分圧,いわゆる,填充気体中の O2ガス の比率が,加工レートに大きな影響を与えることが考えられる[1].

それを解明するため,ベルジャーチャンバーに填充する気体の N2と O2成分 比率を調整して,実験を行った.ここで Airは N2と O2が 4:1の混合比率気体 となる.

Fig. 4.2 SiC-CMPにおける高圧雰囲気と加工レートの関係

0 40 80 120

Polishing pad : IC1000−p Pressure : 21kPa

Slurry : Colloidal Silica 10wt% pH 11

Air

(open) O2 N2

R em ova l ra te nm /h

Procssing atmosphere kPa(Gauge)

(500) (500)

Vacuum

(−70) Air

(500)

80

実験結果を図4.3に示す.常圧状態において,混合気体(N2, O2)雰囲気中の N2の量が増加するにしたがって,加工レートが増加していった.O2と N2が 1:9 の時,加工レートが最大値となった.さらに N2の量が増加すると,加工 レートは減少した.つまり,O2と N2の成分比率が 0から 1:9までは,SiCの 加工が促進され,1:9より O2を増加させると,CMP加工の抑制作用となるこ とが考えられる.

Fig. 4.3 SiC-CMPにおけるガス成分と加工レートの関係

81

ドキュメント内 尹, 涛 (ページ 78-83)