の成立,すなわち ($1)が必要である (十分性)
定理の条件の成立を仮定する.
定理の条件 ($6)の成立により, p*, RK' RL
>
0が成り立つ.(A) 定理の条件 ($1)のR=RLが成り立てば,
{( 1 ‑a1)σi‑n}( 1‑RL勾 )0'2 = (a20'2 +n) RL T1 0'1 となるから,
(38) {( 1 ‑a1) 0'1 ‑n} / (a2σz+n) =RLT10'1/ ( 1 ‑RLT2) 0'2 を得る.
側の左辺は hLであるから,
(
39) hL二 RLτ1'0'1 /(1 ‑RL勾)σ2
を得る.側と定理の条件 ($3) h=hLを適当に変形すれば,
(40) 0'1 = a1 0'1 + a20'2hL +n ( 1 + hL) (41) 0'2=RL{T10'I(l/ hL)+τ20'2 }
を得る.さらに,側の両辺に K1' (41)の両辺に K2を乗じ,定理の条件 ($4) n=
gl=g2を考慮すれば,
(42)σ'IK1=a1σ'IK1 + a20'2K2 + 11 + 12
11) 側を満たす実質賃金率を黄金均衡実質賃金率RGと呼ぶ.
12)このままではRG>0となったとしても,賞金均衡成長経路は剰余条件を満たさない可能性 があるように見える.しかし,黄金均衡実質賃金率RGは必ず剰余条件を満たしている.この ことは剰余条件(4)を満たすRの上限;R max= (l‑al)/ {( l‑al)均 十a2Tl}>RGの成立 により容易に確かめることが出来る.
(43) 0'2K2二 RL(τ1σiKl + 'Z"20'2K2)
を得る.側側式は,毎期両部門の需給が一致し,かつ両部門の稼働率が1である こと,すなわち非3,非4が成り立つことを示している.
また,定理の条件($4)gl=g2=nが成立すれば, (42)側より両部門の稼働率が1 となるから,両部門の資本蓄積率は初期以降毎期 nで一定となり,両部門の資本 ストックおよび生産量,雇用量Nも共に nの率で増大し,資本ストック編成h, 生産編成λ,雇用率は一定に留まる.さらに,定理の条件($7)ピ=N(0 )/L( 0) が成り立てば,雇用率 u=u.が初期以降毎期成立する.すなわち非5が成立する.
以上より,定理の条件 ($3) ($4) ($7) およひtR=RLが成り立てば,非3,非 4,非5が成立し,長期均衡成長経路が存在する.
(B) 次に,定理の条件 ($1) のR=RKおよび ($2)p=p.が成り立てば,適当 な変形によって,
p(J)2‑RK勾 ) (ρl‑al‑Cl) =pRK'Z"l (a2+c2) RK'Z"lJ)2‑P(ρl‑al一Cl) RK吟=pRK'Z"l(a2+c2) となり,
制 P(Pl ‑al ‑Cl)ニRK'Z"l
を得る.さらに, R=RKを変形すれば,
(向 ‑RK'Z"2) (ρ1一al一Cl)= RKτ' (a2+C21 ) となるが,附を考慮すれば,
(45) (ρ2‑RK勾 )=p(a2+C2) を得る.側側より,
(46)ρlP=pal + RK'Z"l +pCl U力 向 二pa2+RK勾+pC2
となる.(46)仰のρ17J)2, Pを元に戻し, W=Rp2=RKP2を考慮すれば,
(48) Pl = ( 1 +rKl) (Plal十W'Z"l+PICl) 側 P2二 (1+rK2) (Pla2+wむ+PIC2) (50) w = RKP2
を得る.臼鵬9刷)は市場価格体系が各部門の資本家の要求利潤率を含む価格体系と 同一であること,すなわち (P17 P2) = (pe17 pe2)となっていることを示してい
る.
さらに,定理の条件 ($1)のRNニRKが成り立てば,
(51) w=RKP2=RNP2
となるから,側側(51)より,市場価格体系が労働者の要求実質賃金率をも満足する 価格体系となっていること,すなわち (P1o P2. w) = (pe1o pe2. We)が成立して
いることが分かる.すなわち非1.非2が成立する.
(C)最後に. (A) (B)の議論より.R=RN=RK二九が成り立てば(定理の条件 ($1)が成り立てば).条件非1‑非5を同時に満たすことができ,従って黄金均衡 成長経路が存在する
Q . E . D .
第4節 黄金均衡成長経路の数値例
前節で黄金均衡成長経路の存在条件が明かとなったので.13個のパラメータを 決める具体的な手順と数値例を示そう.
(1) 純生産可能条件を満たす生産技術体系を定める.
[a1mi l 0 4 1 l
I
=I 1 .
(σ'10 0'2) = (0.4. 0.4) a2 '<2J
l 0.25 1J
(2) 条件n<( 1 ‑a1) 0'1の成立に留意して労働供給の増加率nを定める.
n=0.07
(3) RL• hL.λLが決まる.
RL=0'2{ (1 ‑a1)σ.1‑n}
/[{(l‑a1)巧 十a2'<1}0'1的+(τ1σ1ーむの)nJ =0.5 hL={ (1 ‑a1)的‑n}/ (a20'2 +n) = 1
λL= (ぬ/0'1)hL二 1
(4) RN=RLとなるように RNを定める.
RN=0.5
(5) 条件rK1<(1/ (a1+b1))の成立に留意して.rK10 rK2. C10 C2を定める.
rK1=0.1. rK2=0.2. c1=1/1l0. c2=1/12
13) λLは長期均衡成長経路上の生産編成.
(6) p*が決まる.
P*=Jl2't"1/{ (ρ1‑a1一C1)'t"2+(a2+C2)'t"1}=1 (7)均衡雇用率tを定める.
u*=0.8
(8) 上記の諸関係を満たすように初期条件を決めてゆく.
hL= 1ゆえ, K1(0)=1000とすれば, K2 ( 0 ) = 1000 g1二 g2=n=0.07ゆえ, 11 ( 0 ) = 70, 12 ( 0 ) = 70 p*= 1ゆえ, P1(0)=10とすると, P2 (0) =10 RN=0.5ゆえ, w(0)=5
o1=ch=1ゆえ, X1 ( 0 ) = X2 ( 0 ) = 400, N ( 0 ) = 800 u*ニ0.8ゆえ, L(0)=(1/0.8) .N(0)=1000
よって,黄金均衡成長経路の存在を保証する13コのパラメータは次の様になる.
(alo 't"1) = (0.4, 1), (a2'句)= (0.25, 1), (ι の)=(1, 1), (rKlo rK2) = (0.1, 0.2), (clo C2) = (1/110, 1/12), n=0.07,
R N
二 0.5,u本=0.8.上記の数値例を100期間にわたって実行した結果を下に示す.
t K1 K2 X1 X2 N L
100 867716 867716 347087 347087 60740.2 60740.2 694173 867721 P1 P2 w h λ O1 O2 U g1 g2 p R r1 r2 10 10 5 1 1 1 1 0.8 0.07 0.07 1 0.5 0.1 0.2 みられるように,この13コのパラメータは確かに黄金均衡成長経路の存在を保証 している.この経路は以下の我々の寡占経済分析の基軸となるものである.
第
5
節 黄金均衡成長経路の意義とその規定因黄金均衡成長経路の特徴は,両階級の要求が全て実現され,産業構造(資本ス トック編成や生産編成)や利潤率,雇用率も一定に留まり,また資本蓄積率も両 部門とも同一で一定に留まる, という点にある.それは資源・環境問題や国際的 な不均等発展を視野の外におくとすれば,蓄積機構の内部からは物的再生産的の
観点からも,階級対立の観点からも,諸資本聞の対立という観点からも破綻は生 じない,という意味で,一種の産業的平和共存状態を維持し続ける成長経路であ る.また,国民経済の観点からは社会的分業や地域聞の発展格差の生じない,極 めて調和的なバランスのとれた成長経路である.
こうした経路の存在は,①寡占経済といえども,混沌たる無秩序な成長を行っ ているのではなく,実現問題を自律的に解決してゆく潜在的可能性をもっている こと,②寡占経済といえども国家間・地域間・産業間・資本聞の均等発展が可能 であること,を示している.と同時に,③現実の経路が決して黄金均衡成長経路 の近傍をたどりえない,ということもまた明らかである.
実際,黄金均衡成長経路が存在するためには,両部門の蓄積率が一定かつ労働 供給増加率nlこ等しく維持されることが必要で、あるが,私的・利潤動機により決定 きれる資本家の投資率が常に一定かつ同率に留まることは理論的にも経験的にも ありえない.また,長期均衡成長が必要とする RLと,資本家の要求利潤率を実現 するために必要な実質賃金率の水準RKと,労働者の要求する水準RNとが一致す ることもほとんどありえないことである.
従って,黄金均衡成長経路は現実の成長経路とどのような関係があり,現実経 済の分析にとってどのような意義をもつのか,という問題が提起きれる.
戦 後50年間の現実の経済成長過程を概観すれば,現実の経路は南北格差や過 密・過疎開題の深刻化に見られる地域間格差の増大,産業部門間・資本間不均等 発展に示きれるように黄金均衡成長経路とはかけ離れた成長軌道を描いていたよ うに見える.私見によれば,黄金均衡成長経路をストレートに現実経路の長期平 均的な重心であるとみる立場には懐疑的である.それぞれの国(または地域,産 業,資本.以下同様)には,社会的分業関係,技術,国家の政策など様々な現実 的諸条件に規定された別の長期成長経路(これをA経路とする)があり,現実の 経路はその近傍を動いているのではないか.そしてA経路が黄金均衡成長経路(こ れをG経路とする)より上方にあれば,他方には必ずG経路より低い成長経路(こ れを
B
経路とする)が存在し,A
,B
両国の発展はますます不均等化しているの ではないだろうか.あるいは次のようにも考えられる.強国(優位地域,優位産 業,優位資本)A
の長期成長経路は従属国(従属地域,従属産業,従属資本)B
図1
A
B
の長期成長経路に影響を与え,それを規定し,逆にそれを前提として自らのA経 路の長期的不均等発展を可能にしている,という相互依存関係の存在である.(図
1参照)
もし以上の想定が正しいとするならば,黄金均衡成長経路はあらゆる国家,地 域,産業,資本が平和共存的に均等発展した場合の成長軌道を仮想的に示してい るのであって,現実にはかなりの長期にわたって不均等発展が持続していると考 えられる.
次に,黄金均衡成長経路の規定因について整理しておく.
定理より RL,hLをそれぞれのパラメータで微分すると,次の表が得られる.
すなわち技術進歩 (ah,笥 σi)
0=
1, 2) は長期均衡実質賃金率 RLを引き 上げ,労働供給率nの増加は RLを引き下げる.また,生産財投入係数 (alo a2) の技術進歩や第 1部門の資本設備の生産性的の上昇は長期均衡資本ストック編 成 hLを上昇させるが,第2部門の資本設備の生産性的の上昇は hLを低下させる.また nの上昇は hLを低下させる.
次に,資本家の満足する価格体系の規定因を以下の表に示す.
すなわち,両部門の技術進歩 (at,笥)(i= 1, 2)は資本家の要求実質賃金率
RKを上昇させる.両部門の資本家の要求利潤率rKtの増大(従ってρiの低下)は
RKを低下させる.両部門のその他の生産費の増大 (Ct)はRKを低下させる.ま た,第1部門の技術進歩 (alo'%'1)は均衡相対価格
r
を低下きせ,逆に,第2部 門の技術進歩 (a2,む)は p・を上昇させる.第1部門の資本家の要求利潤率の引 き上げはr
を上昇させ,逆に,第2部門の資本家の要求利潤率の引き上げはfを低下させる.第1部門のその他の費用の増大はp*を上昇させ,第2部門のそれ はfを低下させる.
第6節 シミュレーションの準備と 5つのシナリオ
我々のモデルにおいては,経済の寡占化は次の3つのパラメータの変化で特徴 づけられる.
(i) 要求価格反応係数向(i=1, 2, 3)の増加 (証) 需給反応係数γ (i=1, 2, 3) の低下 u
i D
蓄積反応係数β (i=1, 2)の低下.ただし,より現実的な仮定として,労働者の賃金率wに対する要求価格反応係 数偽および賃金率に対する需給反応係数%は,資本家のそれより常に半分の大
きさを取るものと想定する.
これらの係数は相互にバラバラに変化するのではなく,経済過程の構造変化と 関連しつつ,互いに関連性をもって,次第に変化してゆくものと考えられる.そ こで,具体的には次の5つシナリオを想定し,それぞれ完全競争型 (C),低度寡 占型 (OL),中度寡占型 (OM),高度寡占型 (OH),独占型 (M)と呼ぶことに する.
α1.2 γ1.2 β1.2 α3 γ3 完全競争型(C) 0.00 0.04 0.03 0.00 0.02 低度寡占型(OL) 0.01 0.03 0.03 0.005 0.015 中度寡占型(OM) 0.02 0.02 0.02 0.01 0.01 高度寡占型(OH) 0.03 0.01 0.01 0.015 0.005 独占型(M) 0.04 0.00 0.01 0.02 0.00
すなわち,経済が競争的であればそれだけ,価格支配力(α1)は弱<,代わって 市場の需給関係の影響力(γi)が強〈価格を支配する.また,産業構造の重化学工 業化に伴う固定設備の増大,最低必要資本量の増大は短期的な観点からの投資態 度を慎重化 (sIの低下)きせる.
次に,論点を明確にするため,初期の価格体系は資本家および労働者の満足の いく状態,すなわち, p( 0) =p*, R( 0) =RK=RNの状態にあり,稼働率も均衡 稼働率 Oj*が実現している状態,すなわちOj(O)=Oj*=l 0=1, 2)を出発点
にとる.
さらに,シミュレーションを終結きせるために,稼働率および雇用率にそれぞ れ次のように具体的な上限と下限を設定した.
(52) Ojmin = 0.5三五命(t)三五合nax= 2 (i = ,1 2) (53) umin=0.5~玉 u(t)五三umax=1.5.
また,資本蓄積率の初期条件については次の4つのケースを想定した.
(列島(0 ) = 0.08> n, g2 ( 0 ) = 0.08> n 好況)
( b) g
, (
0 ) = 0.06 < n, g2 ( 0 ) = 0.08> n 消費財部門の優先的発展) (c) g,
(0) =0.06<n,
g2 (0) =0.06<n 不況)( d) g 1 ( 0 ) = 0 . 08> n, g2 ( 0 ) = 0 . 06 < n 生産財部門の優先的発展) 以上で,経済の寡占化が経済の不安定性にどの様に影響するかを検討すること ができる.
14)北原氏は,独占企業の投資行動が「過剰能カ」の発生や旧式設備の廃棄にともなう損失回避 のために慎重化する可能性とともに, ['巨大規模の新生産物の開拓=新生産部門の形成」による 独占段階における突発的発展の可能'性について論議されている.こうした長期的な観点からの 投資行動の変化については本章では考慮きれていない.北原 [38J第三編参照.
15)制約条件闘は以下のシミュレーションでは事実上有効で、ない.
第
7
節 シミュレーションのまとめと要約以上の5つのシミュレーションの個別の結果と特徴については拙稿 [51Jを参 照されたい.以下では 5つのシミュレーションを全体としてみた場合の経済の 寡占化が不安定性に及ぽす影響について,考察する.
(1) どのタイプであろうとも,g, ( 0 ) =g2 ( 0 ) =nでなければ体系は黄金均衡成長 経路の上方かまたは下方に累積的に黍離してゆく.すなわち不安定である.
(2) どのタイプであろうとも, g, ( 0 ) = g2 ( 0 )宇nかつg,( 0 )
+
g2 ( 0 )<
2 nの場 合には経済は下方に黍離する.それ以外の場合には経済は上方に君主離する.(図2参照)
(3) 資本蓄積率が両部門で均等な場合には,価格(p" P2),稼働率(九 O2),資 本ストック増加率,生産増加率も均等な動きをする.従って相対価格p=p,/
P2'資本ストック編成h=K2/K"生産編成λ=X2/X,は一定に留まる.
(4) 資本蓄積率が両部門で不均等な場合には,相対価格p,資本ストック編成h, 生産編成λも不均等性な動きをする.ただし,独占型の場合は相対価格pは一 定に留まる.
(5) 好況であれ,不況であれ,その上限ま
たは下限に到達する期聞は長期化する. g2
図2
る. (b), (d)の場合も同様で、ある.
(6) 上 限 な い し 下 限 到 達 時 の 稼 働 率 が 好 況時 (a) には次第に低下し (O,および ぬは1.84→1.84→1.82→1.62→1.62), 不 況 時 (c )には次第に上昇 (O,および O
n
g 好 況 (a) の場合には,その期間は 5→ 2n
5→7→11→11と な り , 不 況 (c )の場 合では 3→ 3→ 4→ 6→ 6となってい
h
n
唱E目 .
g
n H
qL
ぬは0.59→0.59→0.61→0.68→0.68)し ている.このため,稼働率の変動係数は 両部門とも減少している. (ぬの変動係
領 域a‑d内部は下方不均衡 領 域e‑hは上方不均衡
点Eを除〈直線OL上では均等発展 点Eでのみ長期均衡成長可能