など、インディペンデントアーティストでここまでの規模は前代未聞の快挙である。8 月から 9 月にはアメリカのバンド「KORN (EMI/Virgin Records)」が主催する「THE FAMILY VALUES TOUR 2006」(動員延べ 40 万人)にも参加し、31 公演のライブを敢行。2007 年は、2 月から 14 都市 16 公演全てシアタークラスのヘッドライナーでのライブである。2 月発売のニューアルバムは ビルボード「Top Heatseekers」のランキングで 8 位、「Top Independent Albums」の 21 位の 快挙を成し遂げた。この「Dir en grey」は、日本、北米、欧州とワールドワイドに活躍出来 る初めての日本人バンドであり、彼らの成功は日本人アーティストの海外進出の可能性をさら に押し上げてくれるだろう。
B.前項要素に関わる手配方法
まず重要なのが「現地で英語が出来、音楽業界を知っている代表をつくる」ことである。日 本人というだけで、法外な値段を吹っかけられる可能性もあるため、問題対処/クレームなど に全て対応できる人材の確保が必要となる。
(1)CD販売、ダウンロード販売
北米レーベルとの契約は、「音源を聞いてもらい、ライブを見てもらう」、これが基本。レー ベルと契約出来るまでは、自主盤を製作しライブ会場で手売りするというスタイルがベター。
最も手軽な販売先は「CD BABY」。1 タイトルから、誰でもすぐに販売が開始出来る。ダウンロ ード販売に関しては、インディーズレーベルでは、大手以外は配信サイトと直接契約が出来な いので、アグリゲーターと呼ばれるデジタル・ディストリビューターと契約し、そこから販売 してもらう。CD BABY はダウンロード販売も受け付けている。Web サイトから申し込みが出来 るので利用しやすい。
自分達の音楽を理解してくれる良いレーベルと出会えたら、手持ちの音源をライセンスする か、パッケージまで製作し販売委託するかの方法で、そのレーベルとの取引を開始するのが良 い。
<主なアグリゲーター>
・ The Orchard - http://www.theorchard.com/
世界最大規模のアグリゲーター。世界中の 150 を越えるダウンロードストアへ音楽を卸して おり、カタログ数は 100 万曲を越える。
・ IODA - http://www.iodalliance.com/
インディーズ音源中心のデジタルアグリゲーター。オンラインで全ての曲情報登録/管理が 出来るシステムを導入している。250 以上のデジタルストアへ卸している。カタログはウェ ブサイトで検索/閲覧可能。
・ CD BABY - http://cdbaby.com/
・ Digital Musicworks ‒ http://www.digitalmusicgroupinc.com/
2006 年にデジタルアグリゲーターである DRA を買収してアグリゲーターとなった。インディ ーズ音源だけでなく映像(ビデオ、フィルム)も扱い、それを数多くのオンラインビデオス トア/サイトに卸している。
・ IRIS Distribution - http://www.irisdistribution.com/
インディーズレーベルを専門に扱うデジタル音楽アグリゲーター。
・ Rightsscale - http://www.rightsscale.co.jp/
日本のインディーズ音源を数多く扱うデジタルコンテンツアグリゲーター。コンテンツ自体 のマーケティングやプロモーションも積極的に行い、様々なプロモーション展開をストアと も共同で行う。海外音源の日本配信への橋渡し役にもなっている。
(2)ツアー
ツアーを行うには、「ブッキングエージェント」に所属する必要があるが、ブッキングエー ジェントは、無名のバンドとは契約したがらない為、始めは自分達でブッキングすることにな る。一緒に周ってくれるバンドを見つけられれば尚良い。その為には、現地バンドとコミュニ ケーションを取る必要がある。My Space などを利用しているバンドが非常に多いので、My Space を通じて趣味の合いそうなバンド、音楽的にリスペクト出来るバンドと交流を持つのも一手。
まずは渡米して実際に会い、ライブを見てもらい繋がりを持つ。これがスタートとなる。SXSW などの音楽コンベンションの参加も有効。逆に、日本でのツアーをコーディネートしたり、サ ポートしたりして交流を深め、現地ツアーをセッティングしてもらうというのも有効な手段で ある。
(3)パブリシスト
音楽専門のパブリシストやエンターテインメント全般を扱うパブリシストなど、多数のパブ
リシストが存在するが、フリーで活動している人も多く、音楽性をきちんと理解していないと 効果的な広報ができない可能性もある。実際にパブリシストを起用したことのある人の紹介を 受けるのがベター。
(4)契約方法や契約種類、契約フォーマットの紹介、留意点
レーベルとの契約は、所有の原盤をライセンスする場合は「LICENSE AGREEMENT」を締結す る。始めに主な条件項目が書かれた「Deal Memorandum」を作成して条件を確認する。条件交 渉がまとまれば契約書のドラフトを受け取り、問題なければ手書きのサインで契約を締結する。
<Deal Memorandumの主な項目>
・Title of Recordings ‒ 原盤のタイトル(アーティスト名)
・Territory ‒ ライセンシーが複製領布する地域
・Term ‒ 契約期間
・Advance ‒ MG(Minimum Guarantee)と同義
・Garant Of Rights ‒ ライセンシーに許諾される権利
・Reserved Rights ‒ ライセンサーに留保される権利
・Royality ‒ 原盤印税
・Mechanical Fees ‒ 楽曲の著作権印税
・Delivery Materials ‒ 原盤引き渡し日
・Accountings - ライセンシーの会計報告(支払い)
アドバンスは初回プレス分ほどのロイヤリティーを、契約締結直後に前払いしてもらうとい うもの。昨今のCDセールスの減少から、アドバンス無しの契約を望まれることが多くなってき ている。
ライセンシーに許諾される権利は、基本的にはCDその他のレコードにおいて原盤を複製領布 する権利のみだが、現在は配信権も要求される場合が多い。どの権利をライセンスしてどの権 利をライセンスしないのかの確認が重要となる。ロイヤリティーはPPD(Published Price to Dealers)(卸売価格)の何%と提示されている。Mechanical Feesは通常ライセンシーが全額 支払う。Accountingsに関しては四半期ごとに決算し、60日あるいは90日以内に支払われると いったケースが多い。北米では、レーベルがディストリビューターとの契約で返品を100%可 にしている場合が多いので、10%〜25%のリザーブを条件にしている場合がある。
その他の項目として、「契約期日から XX 月以内に最低 XX 日のツアーをしなければならない」
といったものが入っている場合もあるので注意が必要。レーベルは基本的に、「ツアーを頻繁 にできるバンド」でないと、契約自体を締結したがらないので、1年先ぐらいまでのスケジュ ールを考える必要がある。ツアーなどの渡航費および宿泊費は、バンド負担となるケースがほ とんど(大型レーベルを除く)。
また「契約破棄」の項目に注意し、万が一の場合にすぐ契約を破棄できるポジションを有し ておく事も重要。
注意点:
印税の支払いが米国小切手の場合には、銀行送金としてもらう必要あり
(手数料の負担も交渉するべき)
(5)VISA申請/取得について(例:SXSW出演時におけるVIS申請/取得の流れ)
毎年 3 月中旬に開催されている SXSW という音楽見本市に出演するには VISA の取得が必要で ある。ここでは時間軸も合わせ、3 月に入国するための VISA 申請、取得を解説する。
①該当 VISA について
P-1 ビザ:このビザは特定の運動選手、芸能人、芸術家および必須補助要員に米国入国を認 める。芸能人の場合、特定のイベントに対してのみビザが発給される。
9.11 以降、アメリカは安全保障上 VISA 発給の審査が厳格化され、2003 年8月1日には米国 の非移民査証の審査方法が変更された。また 2004 年 7 月 20 日からは、指紋を採取するなど の新方式が採用されている。出演者にとっては、新たな制度に対応しなければならないなど、
頭の痛い問題となっている。
VISA 関連最新情報はアメリカ大使館のホームページを参照。
URL: http://japan.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-important.html
②P-VISA 取得までの流れ
VISA 取得までの時間が重要な問題になる。「普通申請手続」だと SXSW に間に合わない可能性 がある。その為、高額だがほとんどの SXSW 出場者は「特急申請手続」(US$1,000 を USCIS に 申請時に支払う)を選択する。また、VISA に精通した米国人 VISA コンサルタントに依託す るケースも多い。また、大使館に提出する必要書類の記入項目にも驚かされる。学歴には担 任名、職歴には上司名など、調べるのに時間が掛かる内容が多いので、予め調査をしておき たい。