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5. 今後の課題と提言:3 年間の試行をふり返って

5.4 制度を支えるための支援体制

験という、一般的な意味では評価軸を得にくい活動に対して、社会や正統的 なものという意味でのシンボルとして感じられやすい「文部科学省」という 認証主体の名称が、多くの参加者を動かしたものと思われる。この意味では、

今後の青少年体験奨励制度の展開を考えた場合、社会的な認知や評価も高ま り、活用という側面から見ても有用性が高まってくるまでの期間は、今後も、

認証主体が文部科学省であることの意味は大きいと思われる。

2) 事務局法人と外部委員会の必要性

一方で、もちろん文部科学省自身が運営するということでは制度の自立的 な発展はないわけであるから、民間の力によって、それが持続安定的に進め られる仕組みが必要となる。

このときに、まず指摘できるのが、これまでの事業でも試行的に取り組ん できた、文部科学省が委託する「外部委員会」の設置である。第三者的評価 組織としての「外部委員会」を設置することで、制度の公共性を担保すると ともに、文部科学省認証の水準を担保することにもなるからである。そして、

このような「外部委員会」の活動を含む、実質の制度運営を担う主体として は、 「事務局法人」が必要である。奨励活動に関わる事務を所掌するとともに、

青少年体験奨励制度自体の「ブランド」性を高めたり、広報を行ったりする 組織である。このような組織を、文部科学省が委託することによって、文部 科学省がバックアップする、制度の骨格が形成されると思われる。

ただ、ここで重要なことは、こうした委託は、制度の自立発展を考えれば、

財政的にも自立した形態で行われる必要があるために、あくまでも、予算処 置を行わない委託であることが望ましい。それは同時に、制度の運営主体で ある「事務局法人」が、財政的な自立運営ができることが前提になることを 意味している。そのために、制度を支える経費が担保されるビジネスモデル を設計することが合わせて求められる。

3) 認定団体制

そうしたビジネスモデルとしてひとつの有効な方法は、 「認定団体」制をと り、青少年体験奨励制度に参加したい若者や子供たちが、認定を受けた団体 を通じなければ、活動への参加を申請することができない、という形式で、

団体認定料を収入として工夫するものである。このような方法をとることで、

参加者の手続き的な事務作業が認定団体の負担となるとともに、一定額の安 定した収入が、事務局法人に入ってくることになる。

このような団体の認定に関わる審議は、外部委員会が合わせて担うことが 望ましい。制度の公共性を担保するために、団体認定作業の透明性が求めら れる。文部科学省が委託する第三者的組織が、その任に当たることが自然で 5.4 制度を支えるための支援体制

5.4.1 必要な支援体制のモデル

1) 認証主体者としての「文部科学省」

青少年体験奨励制度(以下)の構築に向けたこれまでの取り組みから、財政 的にも自立した形の中で、文部科学省とも連携しながらこの制度を発展させ ていくひとつのあり方として、下図のような仕組みを提案してみたい。

まず、文部科学省が今後ともに、体験奨励の認証主体として位置付くこと は大変重要なことであると思われる。これまでの取り組みの中で、参加者や アドバイザーの両者ともに、もっとも大きなモチベーションは、 「文部科学省 が認証してくれる」という仕組みであったことは、これまでのアンケート調 査等からも指摘されてきたところである。

そもそも社会的な認証や資格を与えられる制度については、往々にしてそ の取得が活用に結びつくかどうかで発展性が影響を受ける場合が多い。この 点からすると、これまでのとりわけ生涯学習系の認証制度は、大変重要な取 り組みが多い半面、活用という側面から見た有用性がやや低い傾向にあり、

共通した課題となっているといってよい。

そうした中で、 「文部科学省が認証してくれる」という、参加者が感じる魅 力には、取り組みを通じて、実感させられるところが多かったと言える。体

諸事務

ブランドのコントロール

広報�

文科省�

事務局法人�

外部委員会�

審査�

審査依頼�

委嘱�

委託�

認証団体審査

認証者審査�

文科省が

認定した団体�

認定団体が

認証したアドバイザー�

活動者� �

A B C

¥1,500�¥2,000�¥3,000� ¥100,000��

¥500� ¥600� ¥1,000� ¥0�

¥500� ¥600� ¥1,000�¥80,000�

¥500� ¥800� ¥1,000�¥20,000�

企業協賛�

コンテスト� �

企業協賛�

参加料�

小学生�

中学生�

� 高校生� 大学生��

BIZ��

図 1 青少年体験奨励制度の将

来像

あろう。

4) 参加料とアドバイザー

同時に、青少年体験奨励制度にチャレンジする場合、参加者自身からの受 益者負担を設定することも必要である。体験奨励制度自体の運営経費は、参 加者全員で負担することによって、制度の自立的発展も見込むことができよ う。そして、ここでの参加料を、「アドバイザー」「認定団体」「事務局法人」

の 3 層で配分する仕組みも重要であろう。

ここまでの取り組みの中で、制度を運用する際に、もっとも重要な存在で あるのはアドバイザーであった。参加者が目標を立てるところから始まり、

途中での助言、励まし、そして終了時の認定、申請の手続きなど、本制度の 鍵は、このアドバイザーの存在にあるといっても過言ではない。

しかし、このときに、アドバイザーとしてのモチベーションをボランタリ ーな精神だけに委ねるのは、いささか心もとない。もちろん、営利のために アドバイザーを行うわけでは決してないが、社会的な評価をアドバイザーが 受ける仕組みを合わせて創ることは、やはり必要であろう。このように考え ると、参加者の受益負担分を、 「アドバイザー」 「認定団体」 「事務局法人」の 3 層で配分する仕組みづくりが指摘できるところである。

最後に、今後はさらに企業との連携を深め、人材育成の観点からも協働し て、青少年体験奨励制度を進展させることが重要であろう。この点からは、

協賛やコンテスト等のイベント開催を通じて、このような側面をさらに促進 させていくことが望まれる。

以上のような視点を総合的にまとめたのが、先に示した図 1 である。今後、

このような制度を支援する社会的体制が、現実的に整備されることが必要で はないかと思われる。

5.4.2 支援を広げる体験奨励の体系化

次の表は、ここまでに述べたような制度を支える体制を想定したときに、

制度自体が必要とする構成のあり方についてまとめたものである。

表 1 体験奨励制度の体系性

小学生から社会人までが、内容や活動の期間を拡大させていくとともに、

体験修了者が下の年齢の体験参加者のアドバイザーや指導者として活躍でき る、循環型の発展性が用意されていることが望まれる。

また同時に、国際アワードとの連携など、縦の体系性だけでなく、横の体 系性が整えられることで、青少年体験奨励制度は、より多くの参加者と豊か な質を促されるものとなり、大きく広がっていくのではないかと思われる。

ここでは、 3 年間のこれまでの取り組みの中で考えることのできた、制度を 支えるための体制について、いくつかの視点から検討してみた。提案したモ デルは、具体性に富むものであるだけに、広く検討がなされ、実現への第一 歩が踏み出されることを強く望むところである。

[松田恵示]