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第 2 章 スイッチモード RF パワーアンプの熱電気連成シミュレーション

2.4. 高速スイッチング電源の解析

2.4.3. 出力電圧が時間変化する時

図 2-11 の出力電圧が時間的に変化する場合についてシミュレーションと理論

計算を実施した。図 2-14 は振幅信号,のこぎり波信号,Vin,HVin,Lの例である。

振幅信号は,その振幅が0.1から0.9まで変化するサイン波である。変調周波数fM

は10 MHzで,周期TMは1 / fMに等しく0.1 μsである。図 2-15にVLTCH − TA

のシミュレーション結果を示す。VLの変化に応じてTCHは変化している。VLTCH

の時間差はフィルタの遅延特性の影響である。

図 2-14 出力電圧が変調されたPWMインバータへの入力波形

Fig. 2-14 Input voltage waveform to PWM inverter with modulated VL. (a) Amplitude signal and saw signal. (b) Vin,H and Vin,L.

図 2-15 出力電圧が変調されたPWMインバータの熱電気連成シミュレーション 結果

Fig. 2-15 Simulated results for electrothermal co-simulation circuit of PWM inverter with modulated VL. (a) VL vs. time. (b) TCH − TA vs. time.

Vin,L

Saw signal Amplitude signal

TM= 1 / fM

Time (μs) Vin,H(V)

0 1.0

Normalized amplitude 0

0

−5

Vin,L(V) 0

−5

0.1 0.2

0.2 0.4 0.6 0.8

(a)

(b)

Time (μs)

0 0.1 0.2

fM= 10 MHz, D= 0.1 to 0.9 RL= 8 Ω

Time (μs)

0 0.4 0.8 1.0

VL(V)TCHTA(K)

0 20 40 60 0 10 20 30 40

ΔTCH

0.2 0.6

TM = 1 / fM

Time (μs)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

(a)

(b)

理論計算においては,2.4.1項で求めた式のDを(1+0.8cos(2t/TM))/2とし,変調 1 周期分を数値積分した。またシミュレーションにおいては,(2-17)と(2-18)の TTMとしてPoutPDCを求めた。

図 2-16(a)はfMを10 MHzとしてRLを6 Ωから30 Ωまで変化させた時の,EffPout,TCHTAである。RLが20 以上の時は発熱量が少なく,シミュレーション 値と理論計算値は一致する。また,RLが小さくなり発熱量が増えると,その差は 大きくなる。例えば,RL が6 Ωの時のPoutの理論値はシミュレーション値よりも 24%大きい。

図 2-16(b) はRLを8 Ωに固定し,fMを10 MHz,5 M Hz,2.5 MHzと変化させ た時の,EffTCH − TAである。TCHの時間変動幅TCHは,fMが10 MHz,5 MHz, 2.5 MHzの時,それぞれ5.8 K,8.3 K,9.8 Kであった。TCH − TAの平均に対する

TCH の割合を計算すると,fMが10 MHz,5 MHz,2.5 MHzに対してそれぞれ26%,

37%,44%である。

図 2-16 出力電圧が変調されたPWMインバータの熱電気連成シミュレーション 結果と簡易理想モデル計算値

Fig. 2-16 Simulated results for electrothermal co-simulation circuit and calculated results for simplified ideal model of PWM inverter with modulated VL. (a) Pout, Eff and TCH − TA

vs. RL. (b) Eff and TCH − TA vs. fM.

POUT

fM=10MHz Eff

TCH− TA ΔTCH

5 20

60

Pout(W), Eff(%), TCHTA(K)

35 40

80 100

Pout: Electrothermal co-simulation Eff: Electrothermal co-simulation

TCH− TA(max.) : Electrothermal co-simulation TCH− TA(min.) : Electrothermal co-simulation

0

Pout: Simplified ideal model Eff: Simplified ideal model

RL(Ω) 20

TCH− TA: Simplified ideal model

(a)

Eff

ΔTCH RL= 8 Ω

Simplified ideal model

TCH−TA

E

ff

(%) , T

CH

T

A

(K)

f

M

(MHz) 60

40 80

0 20 100

1 10

Eff: Electrothermal co-simulation

TCH− TA(max.) : Electrothermal co-simulation TCH− TA(min.) : Electrothermal co-simulation

Eff: Simplified ideal model TCH− TA: Simplified ideal model

(b)

温度変動について理論計算値と2.2.1項の熱モデルで考える。図 2-16の計算にお いては,Dが0.1の時にPdis,Hは0.7 W,Dが0.9の時にPdis,Hは14.7 Wであった。

その差14.0 Wが変調周期で熱モデルに印加されると考える。図 2-3では,20 W

印加時の0.05μs ( = 0.5/10 MHz)と0.2μs ( = 0.5/2.5 MHz)の温度上昇は13.3 Kと 15.6 Kであった。したがって14.0 W印加時,fMが10 MHzと2.5 MHzのTCH は 9.3 Kと10.9 Kと予想できる。TCH − TAの平均は図 2-16から23.3 Kである。TCH

TAの平均に対するTCH の割合は,fMが10 MHzの時40%,2.5 MHzの時47%と なる。シミュレーションではそれぞれ26 %と44%であったので,シミュレーショ ンの方が温度変動幅の変調周波数依存性が大きい。シミュレーションの場合は

Pdis,Hの時間変動を含めているためである。温度変動について理論計算で定性的な

説明は可能だが,変調周波数が高くなるほど理論値とシミュレーション値の差は 大きくなり,熱電気連成シミュレーションで求める必要のあることがわかる。

図 2-16 (a)においては,RL毎のシミュレーション時間は20分程度であった。計 算機は一般的な仕様のノートPCを使用した。CPUのクロック周波数は1.7 GHz,

メモリーは4 GBである。解析ステップ時間は0.1 nsに設定した。なお,解析時間 を短縮するため,TCHが早く安定な状態となるようにシミュレーションの初期条 件を工夫した。

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