内部評価規準の使用に関する指針
「生物」の内部評価は以下の5項目で構成されています。
• 主体的な取り組み
• 探究
• 分析
• 評価
• コミュニケーション
各項目では、生徒の研究能力の異なる要素を評価します。これらの項目の配点の割合は、
研究の質への相対的な重要度によって、それぞれ異なります。研究や研究方法は各生徒に より異なるため、採点の規準は、チェックリスト方式ではなく、文脈全体の中に位置づけ る形をとっています。そのため、採点では、ある程度の解釈が必要となります。以下の説 明は、各項目の意図を理解するためのものです。絶対視されるべき方法というわけではあ りません。
主体的な取り組み
この項目では、研究における個性と創造性を重視しています。ポイントは、生徒が選ん だ研究課題が、生徒の個人的な経験から生まれたものであるかどうかです。生徒の個人的 な環境での観察が基になっている場合もあれば、クラスでの学習や読書、実験の結果とし て生徒が得た考えが基となっている場合もあるでしょう。研究は画期的なものである必要 はありませんが、トピックの選択、探究の方法、研究結果の提示の仕方に独自の考えが含 まれていることを示すものでなければなりません。生徒が選択したトピックが適切な複雑 さであることも重要です。研究課題が非常に基本的である場合や、答えがわかりきったも のである場合には、生徒が自分のスキルを示す機会がないため、「探究」や「分析」の項目 で満点をとることはほとんどありません。
探究
この項目では、全体的な方法論を問題としています。生徒は独自の考えをもち、その考 えを実行可能な方法に転換することが必要です。さらに生徒は科目に関する知識を用いて 自分の考えを裏づける思考を示さなければなりません。提示する情報は、取り扱う問題に 的を絞ったものでなければなりません。トピックの内容を全般的に説明するのではなく、
その問題を対象としたものでなければなりません。
れている必要があります。生徒は、変数、コントロール、生成されるデータの性質の観点 から、 研究で用いる方法を十分に詳しく示すことが求められます。「分析」や「評価」の項 目の基準を満たすには、研究の結論を導き出すことができるように、適切な方法で処理で きるデータを十分に備えていなければなりません。生徒が考案した方法では十分かつ適切 なデータが得られない場合、評価の際に減点されます。
健康と安全の確保は、実験にあたって考慮すべき重要事項です。優れた実験方法には、健 康の確保と安全性を考慮することが欠かせません。生徒が動物や組織を実験に使用する場 合、IB認定校での動物の使用に関するガイドラインを理解し、準拠しているという証
エビデンス
拠 を示していることが期待されます。人間を実験の対象とする場合にもこの方針があてはま ります。生徒が実験に化学物質を使用する場合は、安全な取扱いと廃棄の方法を説明する ことが求められます。どうような潜在的な危険性があるかをすべて特定し、それらにどの ように対処するかについて簡潔に説明されている場合に、完全な認識があると見なされま す。リスクに関する評価の証
エビデンス
拠を提示しなくてもよいのは、研究で用いるデータがデータ ベースやシミュレーションによって生成されたものである場合など、明らかに研究に安全 上のリスクがないと認められる場合に限られます。
分析
この項目は、生成されたデータとその処理の方法に基づいています。データが不十分な場 合は、どのようにデータを扱っても表面的なものに終始するでしょう。このような場合、
生徒には、不足点を認識し、分析を行う前に研究方法を再確認することが望まれます。ま た、データが不十分な場合には、分析に向けて十分なデータを得るためにデータベースや シミュレーションを使用することが役立ちます。
データの扱いは、研究課題に対する答えを導き出すためにあたって、適切なものでなけ ればなりません。導き出された結論は、仮定ではなく、データから得られた証
エビデンス
拠に基づく ものである必要があります。内部評価用の課題として求められる範囲や配分された時間を 考慮すると、得られたデータのばらつきから暫定的な結論となることが想定されます。こ のことを認識した上で、ばらつきの程度について検討しなければなりません。ばらつきを 示して説明した上で、結論に及ぼす影響を十分に説明するのです。「分析」の項目の評価規 準では、「結論」という言葉は、データを直接解釈することによって得られた演繹的結論を 意味します。「グラフが示しているものは何か」「結論を裏づけるために統計学的な検定が 使用されたか」などの問いに基づく推論であることに注意してください。
評価
「評価」の項目においても、生徒にデータの分析を繰り返し、結論を再び導くことが求め
内部評価
「生物」教師用参考資料 82
タや結論はこの項目でも再度精査されますが、「評価」では、結論が研究課題の文脈の中に 位置づけられます。したがって、「分析」で、xとyの間に正の相関関係があると結論づけ られとすると、「評価」では、この結論を研究目的の文脈の中に位置づけるが求められま す。言い換えれば、結論がそのトピックに関する生徒の当初の考えを裏づけるものになっ ているかが重要なのです。そうなっていない場合には、その理由を考えることにより、研 究方法の限界についての評価や、より確かな結論を導くのに役立つデータを生成するため に方法や取り組みをどう調整するべきかの再考察につながります。データのばらつきは、
結論の信頼性に関する証拠となるため、「評価」の中でも再び述べます。これは、研究方法 の限界の評価につながります。「評価」で重視されているのは、研究方法の限界の問題であ り、データにばらつきがあることを繰り返すことが重要なのではありません。
コミュニケーション
「コミュニケーション」の項目の採点では、全体としての書き方が対象となります。レ ポートが明瞭で論理的に書かれていれば、教師はそのレポートを読み直す必要がありませ ん。レポートで提示する情報や説明は、その領域の一般的な解説ではなく、研究課題の問 いに的を絞ったものでなければなりません。言い換えれば、レポートは、特定の焦点を備 えたものである必要があります。研究領域にふさわしい専門用語を使い、DPのレベルに 合った質のものでなければなりません。グラフや表を正しい形式で書くこと、分類名称が 正しいこと、単位が正確に使用されていること、誤差が正しく記録されていることが求め られます。ただし、ミスが1つもない完璧なものでなければ満点を取ることができないと いう意味ではありません。理解や結果の解釈に大きな影響がなければ些細なミスは容認さ れます。