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内航海運事業の効率化のための 5 つの提案

内航海運の効率化の方法としては、事業者のグループ化を推進することが考えられるが、

事業者にその意識が薄い現状ではグループ化が進んでいくとは思えない。

そこで、内航海運業界全体に安全管理の風土を植え付け、徐々に組織的な管理へ移行せ ざるを得ないような環境を作ることが適切と考えられる。

また、グループ化を行い安全管理に努めようとする事業者に対しては、より自由度の高 い船舶管理の方法を認める方向性が良いものと考えられる。

よって、安全管理の風土形成とグループ化に対する支援としては以下について検討する 必要がある。

① 統一した安全管理基準の導入による船舶管理の容易化の推進

② 内航海運における船舶管理業の位置付けの検討

③ 組織的な船舶管理の普及と船舶管理の自由度の拡大

④ グループ化促進のための在籍出向要件の緩和

⑤ 船員養成促進のための在籍出向の容認

以下では、各取組みについて具体的に解説する。

9.2.1 統一した安全基準の導入による船舶管理の容易化

内航海運において、安全に輸送することは当然のことであるが、現在の内航海運、特に タンカー業界においては、ISM コード、メジャーインスペクション、オペレーターによ るインスペクション、更にはTMSA(Tanker Management and Self Assessment)と様々 な検査に対応しなければならず、その書類を作るために1名の従業員が必要になると言わ れている。このことは、事業者の費用負担を増やすだけでなく、船員の労務環境の悪化(労 働時間の長期化)を招き、船舶の安全の低下を招く原因となるという本末転倒な結果とな っている。

よって、国内の船舶管理において一つの共通した船舶管理基準を設け、荷主、オペレー ターにおいても一つの安全管理基準に基づき安全管理を容易に行えるよう検討をすべき である。なお、その基準は、内航船舶の運航実態の実状にあったものでなければならず、

当該管理基準の判定及び運用を公的機関が推奨することで、荷主やオペレーターに対して も定着を目指すべきと考えられる。

が船舶管理事業者普及への障害になっていることが考えられる。船舶管理事業者を利用し たグループ化の促進に関しては、船舶管理契約書だけでなく更に細かいルール作りを行っ ていく必要性が存在する。

これらの実行に関しては、現在オペレーターに課せられている運輸安全マネジメントと の協調を図り、実質的な船舶管理(安全の要)を行う事業者に対する基本的な管理方法と その管理実行のために必要な専門家の位置付け(例えば、一定隻数の管理に対して船舶管 理者を置く)を行えば、組織的な船舶管理の普及に有効であると考えられる。

9.2.2 内航海運における船舶管理業の位置付けの検討

現在、オペレーター、船主、船舶を所有しない貸渡し業者、船員派遣許可事業者、内航 海運業者と様々な事業者が船舶の運航に関わってくることから、運輸安全マネジメントの 面からみても、安全管理上の責任の所在と実務上の安全管理を行う場が離れていることか らも、末端船員における迷いが生じることとなり、このことを含めて整理を行う必要があ ると考えられる。

内航運送をする事業者 船舶を単独所有する事業者 船舶を所有しない事業者

内 航 海 運 業 者

内航の用に供される船舶の 貸渡しをする事業者

自社せるが条件

100%

船舶を所有する事業者 船舶を共同所有する事業者 所有船の船舶管理人であることが条件

図 4 内航海運業者の種類

特に、船舶を所有しない貸渡し事業者は、実質的には船主から預かった船舶の管理を行 っているのであり、船員派遣許可事業者においては、一部の船員管理を請け負っていると 考えられることから、これらを含めた船舶管理の定義について整理する必要があると考え られる。

表 80 内航海運業法の適用

「内航海運グループ化について~マニュアル~」平成 20 年 3 月付(国土交通省)より 法律に基づいた登録等 船舶管理事業者からの

船舶管理業務

自らの雇用する船員 以外の配乗 内航運送をする事業者 内航海運業法による

登録義務 受けられる 可能

船舶を所有 する事業者

内航海運業法による

登録義務 受けられる 可能

内航海運業者 内 航 の 用 に 供

さ れ る 船 舶 の 貸 渡 し を す る 事業者

船舶を所有 しない事業

内航海運業法による 登録義務

一部受けられる 船舶の保守、運航実施管 理に関しては受けるこ とができるが船員を指 揮して行なう船舶管理 契約は結ぶことができ ない。

※自ら雇用した船員以 外を乗船させること ができない

不可

※ 自 ら 雇 用 し た 船 員 以 外 を 乗 船 さ せ る ことができない

船舶管理事業者 必要なし

受けられる 船舶の管理契約は法律 上規制を受けていない。

船舶管理を一括して 受けた場合には可能

外航海運においても、船主に最終的な責任が残るものであり、船主と船舶管理業を分け れば、組織的船舶管理の位置付けとその責任の所在が明確となるものと考えられる。

9.2.3 組織的な船舶管理の普及と船舶管理の自由度の拡大

内航海運業界においては、船舶管理契約は、船員管理、保守管理、運航実施管理の3つ を同時に行うことにより、船員労務供給事業に当たらないとされている。

また、船員派遣事業においては、基本的に同一船舶、同一職種に対して1年間(最大で 3年間)とされている。

しかしながら、外国船籍に対する船員派遣契約においては、期間の制限もなく、1船に 対して船員だけの管理を一括して受けることもあり、外航海運(FOC 船)のいわゆるマ ンニング会社は、船員管理を専門とする管理会社である。つまり、船員管理のみを請け負 う部分管理を行う管理会社であると言える。

したがって、外航海運(FOC 船)のように自由度を増すほど活発な船員育成活動及び 船員市場を構築できるものと考えられるが、市場拡大のため船員の不利益にならないため

め、しっかりとした管理を行う船舶管理事業者には、部分管理を認めるといった基本的な ルール作り(船員派遣事業の許可を受けた事業者に限定等)が必要と考えられ、今後の船 員確保・育成を行う上でも、船員育成を行う事業者に対して船舶管理契約及び船員派遣契 約の自由度を認めることを検討する必要がある。

9.2.4 グループ化促進のための在籍出向要件の緩和

現在、船員の在籍出向の条件は、以下のように非常に限られたものである。

1) 出向が基本的に緊密な資本関係がある等のグループ間の移動であること。

〔例〕

親子会社関係(株式の過半数取得)

同族会社関係(3名以内の株主により、過半数の株式取得又は出資金)

会社の代表が同じ

会社の代表同士が親族関係

2) 出向の目的が以下のものであること。

船員を離職させることなく、関係会社において雇用機会を確保するため。

技術指導のため。

出向の対象となる船員の能力開発の一環として実施するため。

企業グループ内の人事交流の一環として実施するため。

このため、密接な資本関係が存在しないと、在籍出向は認められていない。

しかし、この在籍出向を条件付きで認めれば、グループ化が促進されるものと考えられ る。

例えば、条件は、以下の通りとする。

① 違法な労務供給の抜け道とならないようにするため、出資した割合が100%÷出 資者÷2以上の場合に限り認めることとする。

② オーナー間の在籍出向は認めない。

グループ化によって設立された船舶 管理会社

オーナーA

(20%出資)

オーナーB

(20%出資)

オーナーC

(30%出資)

オーナーD

(21%出資)

オーナーE

(9%出資)

船 員の 在籍 出向 が 可能

船 員の 在籍 出向 が 不可能

船 員の 在籍 出向 が 不可能

図5 グループ化された船舶管理事業者を利用した在籍出向

9.2.5 船員養成促進のための在籍出向の容認

小型船においては、予備船員室を確保できず、見習い期間の船員を育てられない環境に あるが、船員教育を目的とした大型船等(予備船員室が確保される船舶)への在籍出向を 認めれば、船員教育におけるグループ化が形成され、その後の経営に関するグループ化も 促進されるものと考えられる。

例えば、条件は、以下の通りとする。

1) 在籍出向出来る船員は、5年未満の海上経験(船員手帳にて確認)を持つ者又 は、海技免状を所有しない者に限る。

2) 出向先は、船舶の運航を行う内航海運業者又は、一括した船舶管理を行ってい る船舶管理事業者の管理する船舶に限る。

3) 出向元は、出向する船員を常用雇用又はトライアル雇用していること。

事業者A

・ 内航海運業者

・ 船舶管理事業者

・ 船員派遣事業者 のいずれかに該当す ること

事業者B

・ 内航海運業者

・ 船舶管理事業者

のいずれかに該当し、それぞれの事 業者がフル管理を行っている船舶 に乗船させる場合に限る

資本関係無し 船員Aの在籍出向

※ 船員 A は、海上経験 5 年未満の者又は海技免状を持たない者に限る。

図6 船員教育を目的とした在籍出向

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