• 検索結果がありません。

第 2 節 調査方法

2.3 共同発明関係とは

発明者となる者について、現行の特許法は明確な定義をしていないが、判例により

「発明に思想を注いだ者」と解釈するのが一般的である(鈴木,2007)。つまり研究開発 業務に携わっていても発案しなかった者、資金を提供しただけの者は発明者として含

0 20 40 60 80 100 120 140

1973 1978 1983 1988 1993 1998 2003

明記された外部者 発明者数

発 明 者/外 部 発 明 者 の 推 移

まれない。インタビューにより確認したところ、前川製作所における発明者の認識は、

発明者は必ずしも技術者ではなく、発明に有益なアイディアを出した者であり、当該 発明になくてはならない人という認識であった。

データベースより情報を抽出して行うネットワーク分析は、長期に渡って同じ指標 で人間関係の構造を調査できるが、もちろん限界もある。特許出願における共同発明 関係において表現されるのは、出願にいたった関係の有無のみであり、特許出願にい たらなかったコミュニケーションネットワークや、発明者間のコミュニケーションの タイミングや量・質の違いは測定することが出来ない(西口,2007b)。

こうした限界を踏まえ、本研究では調査結果が現実と乖離するのを防ぐために、ネ ットワークに登場する発明者にインタビューを行った。しかしそれでも、調査によっ て明らかにされた発明者ネットワークは現実のコミュニケーションネットワークの 一部分に過ぎないことには留意が必要であろう。

これらのことから、本調査で明らかになる「共同発明関係ネットワーク」は、公式・

非公式のコミュニケーションネットワークの一部であり、有効なアイディアを得て、

発明に至った関係つまり成功事例であると考えることができる(図18)。

図18 発明者ネットワーク

2.4 共同発明ネットワークの可視化

本研究では、組織構成員のネットワーク構造の測定のために、特許出願の際の共同 発明関係を指標として用いる。

まず発明者のネットワーク構造を視覚的に理解するために、一年ごとにマエカワの 特許出願に関わった発明者の共同発明関係を抽出し、発明者氏名を「頂点」その年度 内における共同発明関係の有無を「辺」として各年度の共同発明者ネットワークを作 成した(図19)。また、その年度内に全く共同発明関係を持たない発明者は、左上に ならべて記している。ネットワークの可視化には、代表的なソーシャルネットワーク 分析ソフトUCINET(Borgatti, Evarett and Freeman,2002)を用いている。

図19 ネットワークの可視化方法

本章では、実際に作成された可視化図を5年おきに一枚を抜き出して提示する(図 16~22)。(全ての年度のネットワークは、付記にしるしている。)

最初に示される図 20 は 1973 年度の可視化図であるが、この年度において、発明 者5は6と共同発明関係を持つ。7と 10 は 1973 年において共同発明関係を持たな い、単独で特許を出願した発明者である。

図20 1973年の発明者ネットワーク (特許出願数27件)

図21 1978発明者ネットワーク (特許出願数19件)

図22 1983発明者ネットワーク (特許出願数34件)

図23 1988発明者ネットワーク (特許出願数27件)

図24 1993発明者ネットワーク (特許出願数50件)

図25 1998発明者ネットワーク (特許出願数41件)

図26 2003発明者ネットワーク (特許出願数58件)