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第 2 章 全節巻 SRM の駆動原理と発生トルク

2.4 全節巻 SRM の制御

第2章第1節で述べた全節巻SRMの駆動原理に基づいた制御手法について説明する.

全節巻SRM の連続トルクを発生させるため,図 2-4に示すような電流が必要となる.

この電流を図2-2の駆動回路により生成するため,SRMの駆動法として一般的なヒス テリシス制御法により全節巻SRMの駆動を行う.図2-7にヒステリシス制御法の概念 図を示す.ヒステリシス制御法は,電流指令値の上下に電流制御に用いるための一定の 幅を設定する.これをヒステリシス幅とする.SRM は,指令電流波形を維持するため にヒステリシス幅により駆動回路のスイッチ素子のON,OFFを制御する.全節巻SRM は,図2-4に示すような矩形波状の波形を電流指令値として図2-2に示す駆動回路によ り電流を供給する.ここで,A相の巻線への電流の供給に着目する.矩形波状の電流指 令値に対して,図2-2の駆動回路において巻線の両端のスイッチ素子Sw1,Sw2を同時 にONする.これにより,A相巻線には正の電圧が印加されるため,巻線に電流が供給 される.これにより電流が増加する.次に電流値がヒステリシス幅の上限値に到達する と,駆動回路の上段スイッチ素子Sw1をOFFする.この動作により巻線への印加電圧 はゼロとなる.この時,巻線電流は下段スイッチ素子Sw2 とダイオードを通じて巻線 内を還流しながら自然減少する.次にヒステリシス幅の下限値に到達すると駆動回路の 上段スイッチ素子Sw1をONする.これにより再び巻線の両端に正の電圧が印加され ることにより電流は増加する.この動作を繰り返すことにより矩形波状の指令電流に応 じたSRMへの電流を生成する.また,電流指令がゼロとなると,駆動回路の上下段の スイッチ素子Sw1,Sw2 の両方をOFFする.この時,A相巻線に接続されたダイオー ドを介して電流が流れる.この時,巻線両端には電流供給時と逆極性の電圧が印加され る.これにより巻線電流が減少し,やがて巻線電流がゼロに到達する.

図2-8に最大トルク207 Nm,回転速度1000 rpmの時の駆動電流波形のシミュレー ション結果を示す.電流制御振幅の指令値は179.6 Aに設定している.ヒステリシス幅 は,電流制御指令値に対して上下それぞれ10 %とした.ヒステリシス幅の上限電流値

は197.6 Aである.ヒステリシス幅の下限値は161.6 Aである.ここで,全節巻SRM

における印加電圧に対する電流波形は電圧方程式(2-1)により決まる.全節巻SRMの各相 巻線における電圧方程式は式(2-3)から式(2-5)で表される.

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 

 

 

 

 

aa a a ab b ac c a a b ab c ac

a

i M i M

i L dt M di dt M di dt L di i R

V

(2-3)

 

 

 

 

 

bb b b ba a bc c b b a ba c bc

b

i M i M

i L dt M di dt M di dt L di i R

V

(2-4)

 

 

 

 

 

c c c c cb b ca a c c b cb a ca

c

i M i M

i L dt M di dt M di dt L di i R

V

(2-5)

ここで,Vは巻線へ印加される電圧,Rは巻線の抵抗値,i は巻線の電流値,Lは巻 線の自己インダクタンス,Mは巻線の相互インダクタンス, は全節巻SRMの回転子 位置,はモータの回転速度をそれぞれ示す.全節巻SRMにおける巻線への印加電圧 に対する電流の応答は,巻線のインダクタンス L により一定の変化量を持つ.したが って,全節巻SRMの電流指令値に対して実際に供給される電流は,一定の時定数を持 つ電流の変化を有する.これに対応するため,巻線への通電開始タイミングは発生トル クに対して必要電流が最小となるように電流位相を調整した.ここでは,電流位相は図 2-4の駆動電流理想値に対して,電気角で 45 deg.早めている.これにより,図2-4に 示す理想電流波形に対して,A相電流に着目すると電気角240 deg.で電流指令値に到達 し,電気角480 deg.において電流をゼロに低減することができる.以上のように,全節 巻SRMは,駆動電流についてヒステリシス制御により駆動する.

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Fig.2-7 Schematic diagram of hysteresis control for SRM

Fig.2-8 Current waveform (@207 Nm, 1000 rpm)

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参考文献

2-1:F.Hensley, A.Wah Wong, W.Chung Yu, J.Ye. Comparative Analysis of Conventional Switched Reluctance Machines and Mutually Coupled Switched Reluctance Machines. IEEE Transportation Electrification Conference and Expo (ITEC) pp.180-185, 2017

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