第 4 章 数値シミュレーション
4.3 入力同定:加振点応答を採用した場合
4.3.2 入力同定結果:Case A
本項では各応答(Case A)を用いた入力同定によって得られた加振力のパワースペクトル と同定誤差を比較する.本シミュレーションではf1(x=0.5),f2(x=0.6)の2 つの加振力が得 られるが,パワースペクトルはf2の結果を示していく.
まず逆行列法を用いた入力同定の結果を示す.図4.5 にf2 のパワースペクトルを示す.
図中の縦の実線は固有振動数を示し,M.I.は逆行列法を示す.また図4.6にf1,f2 の周波 数平均誤差を示す.図4.5 よりいくつかの固有振動数付近において誤差が大きくなってい ることがわかる.1次,2次,4次の固有振動数付近においてSFRFを用いた入力同定の方 が精度は高いことがわかる.しかし600~700HzではSFRFの精度が低下している.図4.6 よりSFRFの方が従来法よりも周波数平均誤差が小さくなっており,同定精度が高くなっ ていることがわかる.以上よりSFRFを用いた入力同定は精度が低下する周波数が存在す るが,平均すると従来法よりも誤差が小さくなっていることが確認できる.
次に動質量法を用いた入力同定の結果を示す.図4.7 にf2 のパワースペクトルを示す.
図中の縦の実線は固有振動数を示し,A.M.は動質量法を示す.また図4.8に周波数平均誤 差を示す.図4.7 よりいくつかの固有振動数付近において誤差が大きくなっている.逆行 列法と同様に,1次,2次,4次の固有振動数付近においてはSFRFを用いた入力同定の方 が精度は高い.しかし700Hz付近ではSFRFの方が精度は悪くなっている.図4.8よりSFRF の方が従来法よりもわずかに周波数平均誤差が小さくなっている.また逆行列法と比較す
ると FRF,SFRF 共に動質量法の方が誤差は小さい.これは動質量法が逆行列を用いた計
算を避けていること,また動質量法は入力加振力の予測誤差が最小となるように動質量行 列を推定していることが理由と考えられる.さらに逆行列法によって同定される加振力は 計測値に対して過大評価する傾向があるが,動質量法によって同定される加振力は精度が 高くなっているものの計測値に対して過小評価される傾向があることが確認された.
以上より加振点応答を採用した場合,逆行列法,動質量法共に SFRFを用いた方が入力 同定精度は高くなる傾向があることがわかった.この理由を第3章の周波数応答関数の比 較結果を踏まえて考察する.入力同定では,固有振動数近傍においてその固有モードが支 配的になるため,周波数応答関数行列は悪条件になる.この周波数領域において,高次モ ードの影響を少しでも受けることによって,応答は加振点ごとに異なる振動形状を示し,
周波数応答関数行列の悪条件が緩和されると考えられる.本節では応答計測点に加振点応 答を採用しているため,SFRFはFRFよりも高次モードの影響を強く受けている.よって SFRFを用いた入力同定は精度が上昇したと考えられる.
41
f1 f2
0 1 2 3 4 5
Excitation Force
F re q u e n c y A v e ra g e d E rro r[-] M.I. FRF M.I. SFRF
図4.6 周波数平均誤差(Case A,逆行列法) 2.84
1.21
3.17
1.95
図4.5 同定加振力のパワースペクトル (f2,Case A,逆行列法)
(a)全周波数 (a)拡大
0 100 200 300 400 500 600 700 800 10
010
110
210
3Frequency[Hz]
P o w e r S p e c tru m [N
2]
M.I.FRF M.I.SFRF True
0 20 40 60 80 100 120
100 101 102 103
Frequency[Hz]
Power Spectrum[N2 ]
M.I.FRF M.I.SFRF True
42
f1 f2
0 1 2 3 4 5
Excitation Force
F re q u e n c y A v e ra g e d E rro r[-] A.M. FRF A.M. SFRF
図4.8 周波数平均誤差(Case A,動質量法)
0.16 0.13 0.21 0.20
図4.7 同定加振力のパワースペクトル(f2,Case A,動質量法)
(a)全周波数 (b)拡大
0 100 200 300 400 500 600 700 800 10
-110
010
110
210
3Frequency[Hz]
P o w e r S p e c tru m [N
2]
A.M.FRF A.M.SFRF True
0 20 40 60 80 100 120
10-1 100 101
Frequency[Hz]
Power Spectrum[N2 ]
A.M.FRF A.M.SFRF True
43