第 4 章 数値シミュレーション
4.4 入力同定:加振点応答を採用しない場合
4.4.1 入力同定結果
各応答を用いた入力同定によって得られた加振力のパワースペクトルと同定誤差を比 較する.本シミュレーションではf1(x=0.5),f2(x=0.6)の2つの加振力が得られるが,パワ ースペクトルはf2の結果を示していく.
まず逆行列法を用いた入力同定の結果を示す.図4.18にf2のパワースペクトルを示す.
図中の縦の実線は固有振動数を示し,M.I.は逆行列法を示す.また図4.19に周波数平均誤 差を示す.図4.18よりいくつかの固有振動数付近において誤差が大きくなっていることが わかる.パワースペクトルのピークにおいて,SFRF を用いた入力同定は従来法より誤差 が大きくなっていることがわかる.図4.19よりSFRFの方が従来法よりも周波数平均誤差 が大きくなっており,同定精度が低くなっていることがわかる.以上より応答計測点に加 振点応答を含まない場合,SFRFを用いた入力同定は同定精度が低下する傾向がある.
次に動質量法を用いた入力同定の結果を示す.図4.20にf2のパワースペクトルを示す.
図中の縦の実線は固有振動数を示し,A.M.は動質量法を示す.また図4.21に周波数平均誤 差を示す.図4.20よりいくつかの固有振動数付近において誤差が大きくなっている.同定
精度は0~120HzではFRFの方が高いがそれ以降の周波数では,どちらもほぼ同等の同定
精度であることがわかる.しかし図4.21よりSFRFの方が従来法よりも周波数平均誤差が 大きくなっており,同定精度が低くなっている.また加振点応答を採用した場合と同様に,
逆行列法と比較するとFRF,SFRF共に動質量法の方が誤差は小さい.
以上より応答計測点に加振点応答を採用しない場合,逆行列法,動質量法共にSFRFを 用いた入力同定はFRFよりも精度が低くなる傾向があることがわかった.この理由を第3 章の周波数応答関数の比較結果を踏まえて考察する.入力同定では,使用する周波数応答 関数が高次モードの影響を受けていると同定精度が向上するという特徴がある.しかし本 節では加振点応答を採用していないため,SFRFはFRFより高次モードの影響が小さく,
また加振点応答以外ではFRFの方が高次モードの影響を受けやすい傾向がある.さらに本 節で設定した応答点は加振点よりも自由端側にあるため,ひずみ量が小さく,SN 比が小 さい.以上の理由によって,SFRFを用いた入力同定精度はFRFよりも低下したと考えら れる.
52
0 100 200 300 400 500 600 700 800 10
010
110
210
3Frequency[Hz]
P o w e r S p e c tru m [N
2]
M.I.FRF M.I.SFRF True
0 20 40 60 80 100 120
100 101 102 103
Frequency[Hz]
Power Spectrum[N2 ] M.I.FRF M.I.SFRF True
図4.18 同定加振力のパワースペクトル(f2,逆行列法)
(a)全周波数 (b)拡大
f1. f2.
0 1 2 3 4 5
Excitation Force
Frequency Averaged Error[-]
M.I. FRF M.I. SFRF
2.25 4.54
1.88 3.01
図4.19 周波数平均誤差(逆行列法)
53
0 100 200 300 400 500 600 700 800 10
-110
010
110
210
3Frequency[Hz]
P o w e r S p e c tru m [N
2]
A.M. FRF A.M. SFRF True
0 20 40 60 80 100 120
10-1 100 101
Frequency[Hz]
Power Spectrum[N2 ]
A.M. FRF A.M. SFRF True
図4.20同定加振力のパワースペクトル(f2,動質量法)
(a)全周波数 (b)拡大
f1. f2.
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
Excitation Force
Frequency Averaged Error[-]
A.M. FRF A.M. SFRF
0.18 0.19 0.19 0.21
図4.21 周波数平均誤差(動質量法)
54